毛布はどれも大差は無いと考えている方は多いのではないでしょうか。確かに毛布は防寒の目的に使用します。

では、冬に使う毛布と夏に使う毛布では、同じ防寒目的でも素材と製法が大きく違い使用感も異なります。そこで、毛布の素材と製法・構造毎に特徴を説明します。

毛布の暖かさは、素材が作る空気層に如何に熱をためるかにより差がでます。この空気層の熱を如何に留めるかは素材の熱伝導率が関係しています。さらに素材の吸湿性は体から出る湿気を熱(凝縮熱)に変える限界値と比例しています。

平たく言えば冬向きのウールとかカシミヤ素材と、夏向きの麻の毛布では同じ防寒目的でも使用感が異なります。

毛布には掛け敷き両方ありますが、敷き毛布は敷きパッドに取って代わったので掛け毛布を中心に説明を致します。

毛布の素材・種類と特徴

毛布の素材には天然繊維と化学繊維が有り、天然繊維にはウールとかカシミヤ、シルク、綿、麻等があります。化学繊維にはポリエステル、アクリル、レーヨン等があります。

毛布の保温力と快適性

毛布の素材のなかでも特に起毛部分の素材の特性は保温性と快適性に深く関係しています。毛布の素材特性の中でも熱伝導率と吸湿性は注目すべき特性です。

素材毎の熱伝導率と並べて吸湿性を表にしました。

繊   維熱伝導率水分吸収率
0.6312.0
レーヨン0.5813.0
綿0.548.5
シルク0.4411.0
ナイロン0.384.5
ウール0.3716.0
アクリル0.211.3
ポリエステル0.200.4

熱伝導率が高いことは保温性が無いわけではなく、放熱性に優れているとご理解ください。吸湿性は水分をためる力とご理解ください。

この表から解ることは、季節に応じた素材を使用した毛布がおすすめであることです。

例えばレーヨンとか麻の毛布は夏に使用すれば熱伝導率が高くひんやり感が味わえ、吸湿性が良いのでシャリと感であったりサラッと感を味わえます。

綿、シルク素材の毛布は、特に保温性に優れているわけではありませんが、適度な吸湿力があるので端境期におすすめの毛布です。

ウール、アクリル、ポリエステルは保温力の点から冬向きの毛布です。この中でもウールは吸水性に優れているので蒸れ感も少なく快適にお使い頂ける毛布です。

アクリル、ポリエステルは熱伝導率が低いため温かいですが、吸湿性が低いため寝汗をかく方にはお勧めできない毛布です。

吸湿力が低いことは、凝縮熱による水分を貯める限界点が低いことなので、限界を超えると発熱はしなくなり汗と同様に気化熱を奪いひんやりと寒さを感じるようになります。

吸湿発熱繊維の毛布

全ての繊維が吸湿発熱繊維といっても間違いでは無いのですが、体から出た湿気を効率よく発熱するようにしたものが『吸湿発熱繊維』と呼ばれています。身近なものではユニクロのヒートテックなどです。

吸湿発熱繊維の毛布は、温かいのは間違いありませんが寝汗の原因になる場合もあります。寝汗をかく場合には寝床内の湿気のコントロールが必要です。

合繊繊維は、複数の繊維の特徴を活かした繊維のことです。吸湿性が悪い場合は吸湿性に優れた繊維と合わせることで吸水性をアップすると言った繊維のことです。毛布の素材も単一素材で無く合繊素材を使用したものがあります。

寝床内の簡単な湿気コントロールは、素材を吸湿・撥水性に優れたパジャマに交換する事です。

毛布のお手入れ

毛布は特性毎に季節に応じて使うため、当然オフシーズンは収納する必要があります。収納前には洗濯をしないといざ使用する際に汚れが酷く使えない事になります。また、天然繊維のウールとかシルクはクリーニング後は虫食い予防のため防虫剤を入れて収納下さい。

毛布の素材によっては家庭で洗濯が出来ないものもあります。天然繊維の毛布には家庭で洗濯できるものもありますが、綿以外はクリーニングに出すことをおすすめします。

洗えるウール毛布

化学繊維のなかでもレーヨンなどは水洗いが出来ない素材です。毛布を洗濯する際は品質表示票をチェックしてください。

毛布の製法・種類と特徴

毛布の製法を大別すると、織り毛布・タフト毛布・マイヤー毛布の3種類です。各製法毎の特徴とおすすめの使い方を説明します。

織物毛布の製法と特徴

織物毛布はその名の通り「織り」による製法です。タテ糸とヨコ糸を織り糸を起毛する伝統的な製造方法です。

この製法の素材は、カシミヤをはじめウール。シルク、綿などの天然素材が多く使われています。

特徴は軽さと暖かさです。難点は起毛部に出来る毛玉です。毛玉の対処方法は丁寧にカットしてください。

タフト毛布の製法・種類と特徴

タフト毛布の製造方法は、土台となる基礎の布である『基布』にパイル糸を植毛後に起毛する量産ができる方法です。

量産が出来るのて価格的にお手頃品ですか、パイルが抜けやすい欠点があります。

マイヤー毛布の製法と特徴

マイヤー毛布の製法は、2枚の地布の間をパイル糸を掛けわたして編みつけたあと、2枚の地布の間をセンターカットして作ります。2枚の地布の間の間隔を調整することで毛足の長さを調節することが出来ます。

特徴は、毛足が長くなめらかな肌触りで2枚をはりあわせることで2重になり暖かですが、シングルサイズで羽毛布団1枚分の 2.5gkgと重くなります。主な素材は、ポリエステルとアクリルです。

改良版としてニューマイヤー毛布が1重構造で作られ軽くなっています。

ベッドで掛け布団と併用は、毛足が長く毛に方向性があるため滑りやすく布団がベッドからズレ落ち安くおすすめできません。

気になるシール織り毛布

シール織とは、和歌山県高野口産地のパイル織物であり、基布にパイル糸を織り込んだ毛布です。パイルのふんわり感がおすすめポイントです。

毛布の特徴まとめ

毛布を選ぶ際には、素材の熱伝導率と吸湿・吸水・撥水性をチェックすることで保温力と蒸れ感が判断できます。また毛布の製法を知ることでどのように空気層を作り保温しているかが解り、かつまた重さを判断する事が出来ます。

毛布を掛けて心地良く眠るためには、保温力。吸湿撥水性、重さをチェックする必要があります。

筆者:野口 英輝

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