西川の羽毛布団の選び方
西川羽毛布団の選び方は、基本的に一般の羽毛布団の選び方と同じく、羽毛のランク、側生地素材、内部の仕切り方(キルト)を調べることで選ぶことができます。
しかし、西川の羽毛布団は羽毛品質を判断するダウンパワーの表示がなく、日羽協のゴールドラベルの添付もないため、羽毛品質を何を基準に選べばよいのかわからないのが最大の悩みです(ダウンパワーを表示している製品もある)。しかし、西川基準と業界の一般的な羽毛品質基準を知ることで、非表示のダウンパワーを推測する方法があります。
この道30余年のプロが、非表示ダウンパワー(dp)値の算出方法と西川の羽毛布団の選び方を紹介します。
結論から申し上げると、西川羽毛布団の選び方のポイントは、
① 羽毛の品質(ダウンの鳥の種類、ダウン率、産地)
② 側生地の品質
③ キルト方式
④ J∞QUALITY認証のラベルの有無
の4ポイントです。
西川ブランドの羽毛布団の品質ランクはピンからキリまでありますが、おすすめの西川羽毛布団の具体的な品質指標は、ポーランドまたはハンガリー産のグース93%(実質400dp以上)、シングルなら1.2kg、超長綿80番手サテン織り、羽毛のマス目間の移動がない密閉キルト、製造工程が純日本製のJ∞QUALITY認証のラベル付き羽毛布団です。

西川の羽毛布団の選び方:目次
西川羽毛布団の選び方:羽毛編
羽毛の良し悪しは、採取される鳥の種類で基本的には決まります。ダック、グース、マザーグースの順に良質になります。
羽毛品質での選び方のポイントとなる指標は、ダウン率、ダウンパワー、ダウン充填量があります。
羽毛布団の選び方において、西川製と他メーカーとの違いは、ダウンパワー表示の有無にあります。
西川の羽毛布団にはダウンパワーの記載がないものがありますが、羽毛の鳥の種類により西川基準が設けられており、下限値が決まっています。

水鳥には、ダック、グース、マザーグースの順に体格が大きくなる特徴があり、それに伴いダウンボールも大きくなります。その結果、ダウンパワー値も高くなります。
西川基準での鳥種別ダウンパワー下限値
西川ブランドの羽毛布団のダウンパワーは、ダックなら340dp以上、グースなら360dp以上、マザーグースなら430dp以上となっています。
ダウン率から西川羽毛布団のダウンパワーを推測
ダウン率から西川羽毛布団のダウンパワーを、一般的な基準値をベースに推測すると、下の表のようになります。
ダウン率とダウンパワーの標準的な対比
この表にはマザーグースのダウン率は掲載していませんが、西川ブランドでは93%以上です。また、ダウン率90%未満のデータも掲載していませんが、西川基準の下限値340dpから90%のダウンパワーの平均値350dpの間と推測できます。西川ブランドの羽毛布団でも、ダウン率90%未満はおすすめできません。
おすすめ下限条件は、鳥の種類はグースで93%(ダウンパワー400dp以上)です。
グースを薦める理由は、こちらのグースダウンとダックダウンの違いのページをご覧下さい。
西川ブランドのダウンパワーと日羽協の基準
上記の数値は多少の誤差があるかもしれませんが、概ね納得できる数値です。西川ブランドのレギュラーグースのダウンパワー値の最大値は私の知る限りでは440dpです。
この表での注意ポイントは、グースダウンの90%と93%において両方に400dpが有ることです。日羽協のロイヤルゴールドラベルでも羽毛の品質としてダウン率90%ダウンパワー400dp以上とされています。
羽毛布団に携わって30余年の経験から言うと、90%・400dpのダウンは珍しく、400dp以上となると通常はダウン率は93%以上は必要となります。
西川(株)は、工場単位で日羽協に加盟していますが、ゴールドラベルは貼付していません。西川基準とゴールドラベルの基準を比較すると、西川基準はゴールドラベルより一部基準を厳格にしています。

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ダウン率95%の西川のダウンパワー
ここで問題となるのが、ダックダウンでダウン率95%以上の場合と、マザーグース95%以上の場合のダウンパワーをどのように評価すべきか?と言う課題です。
ダック羽毛95%の西川のダウンパワー
マザーダックダウンを手選別すると、ダウン率95%以上になりダウンパワーも440dpぐらいになるダウンが存在します。マザーと手選別というキーワードが付いた95%ダックダウンなら、鳥の種類によりダウンボールの構造に違いがあるため当店ではグースダウンの410dp-420dp相当と評価します。
マザーグース95%の西川のダウンパワー
西川品質においてマザーグース95%以上は厳選された羽毛になります。ダウンパワーは440dp以上に相当します。さらに手選別とかポーランド産においてはホワイト・コーダなどのキーワードが付けば450dp以上と判断します。
京都西川ブランドの羽毛布団はダウンパワー表示がされています。そして430dpのラベルが添付されているものは、京都西川の工場で測定されたダウンパワーの平均値が440dp以上の羽毛が充填されています。(西川統合後も2021年までは京都西川ブランド)
このクラスのマザーグースダウンには、ダウンボール同士が絡む特性を持つ『スティッキーダウン』や『リンケージダウン』と呼ばれるダウンがあります。絡むためダウンパワー値は出にくいですが、保温力は向上するため、一概にダウンパワー値だけで品質を判断しにくいダウンもあります。
マザーグース95%以上で絡む特性を持つ場合はダウンパワー以上に絡む特性を評価すべきです。
西川羽毛ふとんのダウンパワーと羽毛充填量
羽毛布団のサイズとか種類により羽毛の充填量は異なりますが、冬用の羽毛布団でシングルサイズを例にして説明をします。
羽毛の品質(ダウンパワー)によって、必要な保温力を確保するための羽毛量が決まります。発想を逆転すると、西川マザーグース95%の羽毛布団のダウンパワーは、羽毛の充填量を調べることで推測できます。
通常のマザーグース93%の場合シングルだと充填量は1.2kgですが、マザーグース95%だと充填量が1.1kgとか1.0kgの場合があります。この場合はダウンパワーは440dp以上または450dp以上あると考えます。
ただし、この事例はマザーグースにおいて通用しますが、ダックダウンやグースダウンの場合は、製造コストの関係と思われますが羽毛充填量が1.1kgとか1.0kgの製品もあります。冬用羽毛布団のシングルサイズにおいて、おすすめの羽毛充填量は、一般的なダックダウンで1.3kg~1.4kg、グースダウンで1.2kg~1.3kgです。
ダウンの産地
西川の羽毛布団に使用されている羽毛の産地は、ハンガリー、ポーランド、ドイツ、カナダ、ロシア、中国、フランス、アイスランド(アイダーダックダウン)などがあります。ハンガリーとポーランドは共に上質の羽毛の産地です。
西川(株)のカタログには、羽毛の産地として『ジーリン』と表示がありますが、この産地は中国吉林省の都市名です。
産地国の表示に加えて、羽毛の精毛会社の記載がある羽毛は、最上質ランクである傾向があります。例えば、animex社やFBZ社が有名です。

羽毛の産地が分かる『産地認証システム』があり、J-TASラベルが縫合されている羽毛布団があります。このラベル情報から羽毛の精毛会社まで解るシステムとなっています。このラベルが付いている羽毛布団は、上質な羽毛を使用している可能性が高いと言えます。
羽毛の産地と輸入方法において直輸入と記載があれば同じスペックでもワンランク上の品質と評価します。
西川ダウン®は+2℃のふっくら感
西川独自の羽毛の精毛加工として「バイオアップ®加工」や「フレッシュアップ®加工」があります。これらの加工により、羽毛本来のパワーを引き出したものが「西川ダウン®」です。

バイオアップ®加工とは
簡単に言うと、圧縮梱包されて輸入した羽毛に蒸気をあて、元の姿に戻す工程で冷却除塵する処理のことです。日羽協に加盟しているメーカーも、同様の処理を行っていると考えられます。
フレッシュアップ®加工とは
バイオアップ®加工を施した羽毛をソーティングマシンにかけ、さらに上質な羽毛を選別する処理です。この工程は、ソーティングマシンと品質を均一にするミキシングマシンを備えている工場でなければ実施できません(国内では限られています)。この処理を行うことで、プラス2℃の膨らみを実現していると説明されています。
これらの加工により羽毛の品質ランクは向上します。ただし、加工後の品質ランクを判断する目安はダウンパワーですが、西川(株)の羽毛布団では非表示の場合もあります。その場合はダウン率が目安にしてください。
西川羽毛布団の選び方:側生地編
羽毛布団の側生地素材に関しては、まず羽毛布団の生地素材のページをご覧ください。
ここでは、西川デジタルカタログでの羽毛布団の側生地での選び方を説明します。
側生地品質もマザーグースダウンと同様に、キーワードを参考にすることで、品質ランクを見極めることができます。超長綿の場合、以下のキーワードが記載されていれば上質な生地と判断できます。
海島綿、ギザ綿(GIZA45)、スーピマ綿、新疆綿、ピマ・コットン、SUVIN(スビン)、ラムコ
また、日本製のふとん側生地を表すJラベルや国産にこだわった証として製品に添付されるJ∞QUALITYラベルが付いていれば日本製の生地です。
西川羽毛ふとんの選び方:キルト編
キルトとは縫製のことですが、羽毛布団では布団内部の仕切り方も含めた意味合いで使われています。「1層キルト」や「2層キルト」などのように説明されることがあります。
・最低室温が低い場合や冷え性の方には2層または3層キルトがおすすめです。
・最低室温が10度以上であれば1層キルトでも十分だと考えられます。
西川独自のキルト方式
西川独自の羽毛布団のキルトには、「ユニステークキルト」と「ソリッドステークキルト」があります。
ユニステークキルト:隣のマス目へ羽毛が移動しにくい仕様のキルト
ソリッドステークキルト:隣のマス目へ羽毛が移動しない密閉キルト(完全立体キルト)、均一な布団の厚みを長く維持できる
さらに高度なキルト技術
ソリッドステークキルトを採用している羽毛布団のキルトには、以下のような高度な縫製技術が用いられたキルトがあります。
グランポリゴンキルト:マス目の形状を三角形と四角形で組み合わせ、体にフィットしやすくしたキルト
スーパーソリッドフレームキルト:表生地より裏生地を広くたわませることでフィット性を向上させたキルト
これらのキルトは、国内の高度な縫製技術によって丁寧に仕上げられているため、「J∞QUALITY」のラベルが添付されています。
西川オリジナルキルトを紹介します(下図参照)。

キルト方式の違いにより、保温力に少し違いが出るため、寝室の室温や暑がり・寒がりと言った体質を考慮した羽毛布団の選び方をしてください。
純日本製羽毛布団の選び方:西川編
西川のカタログに掲載されている羽毛布団の多くには「日本製」との記載がありますが、「J∞QUALITY」のラベルは認証を受けた製品にのみ付いています。

J∞QUALITYのラベルが付いている羽毛布団は、国産生地を使用し、国内で縫製・羽毛充填が行われた製品です。
「『日本製』と記載されていても、海外製の生地を海外で縫製し、最終工程の羽毛充填のみ国内で行っている場合が多くあります。
純日本製にこだわるなら、J∞QUALITYのラベルが付いた製品を選ぶのがおすすめです。
西川羽毛布団の選び方まとめ
西川の羽毛布団と他のメーカーの羽毛布団の違いは、ダウンパワー表示がない点です。
西川の羽毛布団のダウンパワーを推測する方法として、以下の基準を活用できます。
- 西川独自の基準に基づいた、ダウンの鳥の種類ごとの下限ダウンパワー
- ダウン率を参考にしたダウンパワーの目安
さらに国産生地か海外生地と国内縫製か否かに付いては、「日本製」だけでなく「J∞QUALITY」あるいは特上の側生地、ダウン率95%以上のマザーグース等を判断基準にして「純日本製」か否かを判断してください。
羽毛布団の保温力は、体質や寝室の温度だけでなく、敷き寝具の保温性にも影響されます。詳しくは下の関連サイトの「羽毛布団の選び方」のページをご覧ください。
西川羽毛布団の品質ランクを見極める4つのポイント
西川の羽毛布団を選ぶ際には、以下の4つのポイントをチェックすることで、品質ランクを見極めることができます。
- ダウンの鳥の種類とダウン率
- 側生地の糸番手やギザ、ラムコ等の超長綿の種類
- キルト方式(西川オリジナルキルトの種類)
- J∞QUALITYラベルの有無
この4つのポイントを確認することで、自分に合った高品質な羽毛布団を選ぶことができます。
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