プロの羽毛布団の選び方とは
羽毛布団を選ぶ際、価格や品質の違いに迷うことがよくあります。実は、羽毛布団の暖かさ・軽さ・快適性といった魅力は、羽毛・側生地・キルト構造(内部仕切り)が生むハーモニーのようなものです。
そして、これら3要素には羽毛布団の品質を左右する指標があり、それらを理解すれば羽毛布団の選び方の基本がわかります。
しかし、満足のいく羽毛布団を選ぶには、指標の欠点を踏まえた専門家の知識が必要です。そこで、寝具専門店が羽毛布団の選び方を分かりやすく解説します。

羽毛の選び方?羽毛の種類と暖かさ
羽毛とは、どのようなものか?構造、熱を蓄える仕組み、種類について説明します。
羽毛とは

羽毛は、中心の核から放射状に広がる「羽枝」と、さらに細かい「小羽枝」で構成され、ボール状の形から「ダウンボール」と呼ばれます。一般的には「ダウン」や「羽毛」と呼びますが、「羽毛」にはスモールフェザー(小さな羽根)を含む場合もあります。
ダウンの構造と蓄熱の仕組み
ダウンは温度に応じて構造を変え、寒い時は羽枝を密にして熱を閉じ込め、暖かい時は羽枝を広げて熱を逃がし、快適な温度を保ちます。さらに、大きくて羽枝が密生したダウンほど、熱をより多く蓄えられるため保温性が高まり、羽毛布団の優れた暖かさと快適性を生み出します。

羽毛の暖かさやランクを見分ける指標
羽毛のランクを決める基準には、水鳥の種類、採取時期、飼育期間、ダウン率、ダウンパワー、充填量、産地、洗浄度などがあります。
どの羽毛が暖かい?ダック、グース、マザーグースの違い
羽毛が採取される水鳥は、主にダック、グース、マザーグースの3種類です。これは、羽毛布団を選ぶ際の最も重要な指標の一つです。

これら3種類の鳥のダウンボールの断面をイメージしたのが下図です。

羽毛のサイズは、ダック → グース → マザーグースの順に大きくなり、羽枝も長く密度が高まります。これにより、保温性・温度調節機能・耐久性が向上し、品質も優れます。特にマザーグースは核が成熟しているため、より丈夫で耐久性に優れます。
おすすめのダウンの種類は、グースかマザーグースです。
羽毛毎に適した環境や布団の種類
ダック |
グース |
マザーグース |
|
---|---|---|---|
適した環境 |
室温12℃以上 |
室温5℃以上 |
室温5℃以下でもOK |
適した布団 |
ダウンケット、合い掛け布団、保温力の弱い羽毛布団 |
ダウンケット、合い掛け布団、中暖タイプの羽毛布団。 |
ダウンケット、合い掛け布団、高暖・軽量・快適タイプの羽毛布団 |
水鳥の種類の確認方法
ダックかグースかは品質表示票に記載されますが、マザーグースは「グース」と表記し、添付ラベルで産地とともに示される場合もあります。
ダウン率とは

羽毛はダウンとフェザーで構成されており、ダウンの割合を示すのが「ダウン率」です。保温性や温度調節機能はダウンボールの働きによるため、ダウン率が高い羽毛布団ほど高品質であり、90%以上、理想的には93%以上を推奨します(ダウン率90%と93%の違い)。さらに、ダウン率が高いほど耐久性も向上します。
ダウン率の確認方法
ダウン率は品質表示票の「詰めもの」に記載され、例えば95%の場合は「ダウン95%、フェザー5%」と表示されます。
羽毛布団の暖かさが分かるダウンパワーとは
ダウンパワーはダウンのボリュームを表す指標であり保温力の目安となります。単位はdpで値が高い羽毛布団が基本的に上質です。ただし、ダウンパワーは羽毛の種類により暖かさが異なり、マザーグースは430dp以上、グースは400dp以上、ダックは420dp以上が冬用羽毛布団では推奨品質です。羽毛布団の暖かさ・快適さ・耐久性の指標になります。
ダウンパワーと暖かさの関係
下図は、同じ重量の羽毛を透明な容器に入れ、ダウンパワーの違いによる膨らみ具合を比較したものです。赤い矢印は熱の流れを示しており、ダウンパワーが高いほど膨らみが大きく、優れた保温性を発揮することが分かります。

ダウンパワーと羽毛布団の種類
ダウンパワー値に応じた羽毛布団の種類を案内します。
- 400dp未満:肌掛け・合い掛け羽毛布団向き。冬用なら室温10℃以上推奨。
- 400dp以上:標準的な冬用羽毛布団向き。最低室温は5℃~10℃(充填量の調整が必要)。
- 440dp以上:寒がりや寒冷地対応の冬用羽毛布団向き。軽量で高保温性。最低室温は5℃以下でもキルトにより対応可。
- 450dp以上:高品質な羽毛布団向き。保温力も優れているが軽さや寝心地を重視。
ダウンパワーの確認方法
ダウンパワーは品質表示票には記載されておらず、添付ラベル(下図参照)で確認できます。また、日羽協の「ゴールドラベル」によってランクが分かります。
添付ラベル

ゴールドラベル
ゴールドラベルは、ダウンパワーとダウン率に応じて以下の4ランクに分類されます。

- プレミアムゴールドラベル: 93%・440dp以上(高級品)
- ロイヤルゴールドラベル: 90%・400dp以上(93%ならさらに高品質)
- エクセルゴールドラベル: 80%・350dp以上
- ニューゴールドラベル: 50%・300dp以上
羽毛の保温力と充填量の関係
羽毛布団の適切な羽毛充填量は、ダウンパワー、ダウン率、鳥種によって異なります。また、季節や室温に応じて、以下の3種類が選べます。
- 冬用羽毛布団
- 合い掛け布団(秋春用):充填量は冬用の50~60%
- 肌掛け布団(夏用):充填量は冬用の25~30%
冬用羽毛布団の充填量の目安
充填量はダウンの品質や鳥種によって異なります。選び方の基準は以下の通りです。
- 90%・400dp未満:1.4~1.5kg(シングル)
- 90%・400dp以上:1.2~1.3kg
- 93%・430dp以上:1.2kg
- 95%・450dp以上:1.0~1.1kg
ダウンパワーが低い場合は充填量を増やして保温性を補います。そのため、ダックダウンはグースより多く詰める傾向があります。
ダブルサイズはシングルの約1.4倍が目安です。適量を選ぶことで、快適な保温性が得られます。
羽毛充填量の確認方法
充填量は品質表示票の「詰めもの重量」に記載されています。購入時にダウンパワーに見合った適量かを確認しましょう。
詳しくは「羽毛布団の重さとダウン品質」を参照ください。
羽毛の産地と品質ランク
羽毛の産地は、評価が高い順にポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシア、カナダ、ウクライナ、フランス、イギリス、中国とされています。特にポーランドとハンガリーは高品質で知られています。ただし、産地ごとの差は目安であり、個々の羽毛品質を確認することが重要です。

北緯45~53度の「ダウンベルト」地域は、寒冷で乾燥した気候により高品質な羽毛の産地とされています。
羽毛布団を選ぶ際は、トレーサビリティの観点からも産地の国名を確認することが重要です。産地は国名ではなく、マズルカ(ポーランド)、ジーリン(中国吉林省)など地域名で表示されることもあります。
羽毛の産地を確認する方法
産地は添付ラベルで確認できます。

羽毛の産地を確認する方法として、最近では、J-TAS(羽毛産地認証)ラベルが添付されている場合もあります。

このラベルが付いている羽毛は産地が明確で信頼性があります。ただし、このラベルを付けることで価格は高くなります。
羽毛の信頼性は産地の明確さに左右されますが、品質の良し悪しとは別に考えるべきです。
ダウンの色と性能
ダウンの色はホワイト、シルバー、茶系の3種類です。性能に差はありませんが、ホワイト系は人気が高く価格もやや高めです。
シルバー系のダウンは野生種に近く、ホワイト系よりもやや丈夫とされています。

ダウンの色について詳しくは、羽毛の色の違いのページを参照ください。
ダウンカラーの確認方法
ダウンの色は、品質表示票や鳥の種類を説明した添付ラベルで確認できます。
羽毛の洗浄度とは

洗浄度は羽毛を洗浄した水の透明度を示し、500mmや1000mmで表示されます。1000mm以上が理想ですが、500mmでも十分な品質です。
プレミアムゴールド・ロイヤルゴールドラベルは1000mm以上、それ以外のゴールドラベルは500mm以上です。
羽毛の洗浄度の確認方法
日羽協加盟メーカーの製品はゴールドラベルで判断可能です。また、洗浄度を記載した添付ラベルが一般的です。
羽毛の臭いの原因
羽毛の獣臭は洗浄度も無関係ではありませんが、未成熟ダウンに多く残っている油脂分が主な原因です。
低ダウン率のダックは飼育期間が短く、未成熟ダウンが多いため臭いが出やすい傾向があります。
信頼できるメーカーのグース90%以上なら羽毛の臭いの問題はほぼありません。
羽毛の臭いの確認方法
通販では臭いを確認できませんが、低ダウン率のダックを避けることでリスクを減らせます。
羽毛の品質での選び方まとめ
羽毛の暖かさは、羽毛の種類(ダック<グース<マザーグース)×ダウン率×ダウンパワー×充填量×産地で決まります。
コスパ重視なら、ダウン93%・400dp以上のグースがおすすめ。より暖かさを求めるならマザーグースが最適です。
充填量は羽毛の種類とダウンパワーにより適正量が異なります。低品質な羽毛布団は量を増やしがちですが、重くなり温度調節機能が低下します。側生地やキルト構造も暖かさに影響します。
羽毛の産地は、産地偽装もあるため国名とメーカーの信頼性を確認しましょう。
臭いの問題は、グース90%以上ならほぼ回避可能です。
洗浄度は500mmで十分ですが、1000mm洗浄を推奨します。
側生地の選び方?生地の種類と快適性
羽毛布団の側生地を選ぶ際は、以下のポイントを重視しましょう。
生地素材には、超長綿、合繊、シルク、ポリエステル等があります。主流は超長綿と合繊です。素材ごとに特徴を説明します。
超長綿の特徴
超長綿の側生地は、繊維の長い綿花を紡いだ糸で織られた生地で、柔らかく熱伝導率と吸湿性に優れています。側生地の厚み・柔らかさ・重さは、糸の紡ぎ方や太さ、織り方によって変わります。
糸の紡ぎ方
糸の紡ぎ方は3種類あります。
- 単糸:柔らかくしなやか
- 双糸:適度な柔らかさと耐久性
- 精紡交撚糸:通気性に優れ柔らかい
高級な順番:単糸、双糸、精紡交撚糸の順に高級です。
糸番手
糸の太さを表すのが糸番手であり、この数字が大きいほど糸は細くなり生地は軽く薄く仕上がります。特に、100番手や140番手の単糸、200双糸や340双糸などの細番手は羽毛布団の軽量化に適しています。
糸の太さと1平方メートルの重さを比較した下図をご覧下さい。100単糸と200双糸は太さがほぼ同じですが、200双糸は耐久性に優れ、やや高価です。

後期高齢者の方には、糸番手が大きく、薄くて柔らかく軽い生地がおすすめです。一方、寝返りが多い方やお子様には、耐久性に優れた60番手のやや厚めの側生地が適しています。
生地の織り方

織り方には、サテン織り・ツイル織り・平織りの3種類があります。主流はサテン織りです。
ツイル織り・平織りは軽くて通気性に優れますが、細番手の100単糸でも「カパカパ」と少しペーパー音がします。
合繊とは


合繊とは、天然素材の綿と化学繊維のポリエステルとか指定外繊維のテンセル(リヨセル)、中空繊維のエアキープ等を混合した側生地です。柔らかく軽いのが特徴です。
シルクの特徴
シルクは軽く高級感があり、吸湿性と肌触りに優れるため、高級羽毛布団に使われてきました。しかし近年は、上質な超長綿が主流になっています。
一方で、クリーニング不可・耐久性が低く・高価という欠点があります。
ポリエステルの特徴
ポリエステルはお値段が安いのと軽いのが特徴ですが蒸れ感と静電気が気になります。

ポリエステル繊維のラテックスやエアーキープなどの蓄熱性繊維は、室温が低いとか寒がりの方にはおすすめです。
蓄熱性繊維は、一般的なポリエステル繊維より高価です。
蒸れにくい側生地
蒸れにくい側生地には、通気性・吸湿性に優れたシルクや高級綿の海島綿等の100番手以上の細番手生地が理想的。糸番手が高いほど通気性が向上します。
汗ばむ季節は、冬用ではなく保温性の低い合い掛け布団を使うと快適です。
ダウンプルーフ加工とは
一般的な羽毛布団の側生地には、羽毛の吹き出しを防ぐダウンプルーフ加工が施されています。

この加工により通気性が抑えられるため、若干のムレを感じることがあります。
ゴアラミネート加工もダウンプルーフ加工の一種ですが、通常のラミネート加工より通気性が高く、超長綿100番手の生地と同程度の通気度(1㎝角あたり1秒間に約2cc)を持ちます。
側生地の熱伝導率と保温性
熱伝導率は保温性を左右する重要な要素です。熱伝導率が低い生地は熱を逃がしにくく暖かいですが、羽毛の温度調節機能を活かすには熱伝導率の高い生地が適しています。
熱伝導率(高い順):超長綿(0.54) > シルク(0.44) > 合繊(綿の割合次第) > ポリエステル(0.2)
生地の重さと羽毛布団の重さ
羽毛布団の重さの約半分は側生地の重さです。生地の素材と糸の太さと織り方により重さは異なります。シングルサイズでシンプルな構造の仕切り布を含む生地の重さを素材毎に案内します。
軽い順に並べると、精紡交撚糸480t(700g) < ポリエステル(750g) < 100単糸超長綿(800g) < 合繊(900g) < 80単糸超長綿(950g) < 60単糸超長綿(1100g)の順に重くなります。シルクの重さは幅があり精紡交撚糸から100単糸の間です。
生地素材と品質の違いは、羽毛布団の重さと生地の関係のページをご覧ください。
側生地の選び方まとめ
素材ごとの比較
素材 | 価格 | 寝心地 | 重さ | 熱伝導率 | 手入れ |
超長綿 | 幅広い | 快適 | 700~1030g | 0.54 | 普通 |
合繊 | お手頃 | 普通 | 900g | 綿の量次第 | やや難 |
ポリエステル | 安価 | 蒸れる | 750g | 0.2 | 簡単 |
シルク | 高価 | 快適 | 700~800g | 0.44 | 難しい |
総合的に見て、超長綿80番手サテン織りの国産生地がコスパに優れています。
詳しくは、羽毛布団の側生地の種類や品質や側生地に関するFAQをご覧ください。
キルトの選び方?暖かいキルトの種類
布団内部の仕切り方(内部構造)はキルティングとかキルトと呼びます。
キルト構造の大きな違いは1層か2・3層かの違いです。2・3層にすると保温力はアップしますが蒸れ感と重さが僅かに増します。
1層キルトの軽さと快適性を保ちつつ、2層キルトの保温力を実現した「ハイマチ密閉キルト」もあります。
代表的なキルトの断面図が下の画像です。

立体1層キルト

羽毛布団の内部は基本的に格子状に仕切られています。図のように布団の表と裏の側生地はマチ布を介して立体的に縫合されています。
立体キルトは安くて軽いのですが、マス目の境界部で布団の厚みが薄く熱が逃げやすいのが短所です。
2・3層キルト


2層キルトは、上下の層でマス目の数を違えて境界部の位置をずらし布団の厚みを平均化することで熱が逃げにくく1層より温かいのが特徴です。
3層キルトは2層に中層を設けた構造です。2層よりさらに1層多いため保温力は増します。2・3層キルトは層を仕切る布の分シングルサイズでは約200g程度重くなります。
ハイマチ密閉キルト


ハイマチキルトとは、図の様にマス目の境界部で布団の厚みが薄くならないように、マチ布を広くして布団の厚さを平均化して保温力を上げています。
ハイマチの幅は7cm~10cmと広いため羽毛の片寄りを防ぐため密閉キルトとセットで採用されます。
ヨーロピアンキルト(たたきキルト)

マチ布を使わず、表生地と裏生地を直接縫い合わせた構造で、羽毛のマス目間の移動がなく軽く通気性に優れています。
通常は、夏用の肌掛け布団(ダウンケット)に採用されるキルトであり保温性は低い。
キルト選びのポイント
体質や室温に合わせて、最適なキルト構造の羽毛布団を選びましょう。特に、軽さ・暖かさ・快適性・耐久性を重視するなら、ハイマチ密閉キルトがおすすめです。
価格を抑えるなら立体1層キルトが手頃ですが、コストパフォーマンスを考えるとセミ密閉キルトが最適です。ただし、寒がりの方や室温が低い環境では、2層・3層キルト、またはハイマチ密閉キルトを選ぶとより快適に過ごせます。
暖かさ重視なら2層・3層キルトが人気があり、価格を重視するなら通常の立体1層キルトです。
縫製は国内と海外の2パターンあり、より評価が高いのは国内縫製です。
詳しくは、羽毛布団のキルトやキルトに関するFAQのページを参照ください。
純日本製羽毛布団の選び方
『日本製』を条件に選ぶ方は多いですが、海外生地を海外縫製し、日本で羽毛を「充填・縫製」して仕上げるだけでも日本製と表示できます。
製造工程の違いが、同じ品質指標の羽毛布団でも価格差を生む要因となっています。
日本製羽毛布団の製造工程
羽毛布団の製造は、側生地の染色加工・縫製・羽毛充填の3工程に分かれ、以下の3パターン全てが日本製として認められます。

- 海外生地・海外縫製・国内充填
- 国産生地・海外縫製・国内充填
- 全工程を国内で仕上げる
「純」日本製羽毛布団の選び方
日本製は大きなセールスポイントですが、上記3パターンの違いは分かりにくいのが現状です。
『純』日本製羽毛布団を見極めるには、以下の記載を探しましょう。
- 『国産生地・国内縫製』の表記
- J∞QUALITY認証のマーク
- 高級羽毛布団の特徴(グランドマザーグース、精紡交撚糸、西川のダブルフェイスキルトなど)
これらの記載がない日本製の多くは海外縫製で、市場の90%以上が該当すると考えられます。詳しくは、純日本製の羽毛布団の選び方のページを参照ください。
羽毛布団のサイズの選び方
快適な睡眠のためには、体をしっかり包み込むサイズの羽毛布団を選ぶことが重要です。
布団から足が出たり、寝返りを打つと背中が出ると寒くて寝られません。特に、成長期のお子様には体格に合ったサイズを選ぶよう注意が必要です。
高身長や体格に合わせたサイズ選び
-
高身長の方(180cm以上)
通常のシングルロング(SL)は150×210cmですが、丈が長い「シングルロングロング(SLL)」などの230cm丈タイプがおすすめです。「ロング」が二つ付くサイズを目安に探しましょう。
成長期のお子様には、リフォーム打ち直しでサイズ変更も可能です。
-
体格が大きい方やペアでの利用
幅の広いセミダブル、ダブル、クイーン、キングサイズを検討しましょう。お二人で使用する場合は、背の高い方や体格の大きい方に合わせたサイズを選ぶと快適さが向上します。
詳しくは、羽毛布団のサイズのページを参照ください。
メーカーでの羽毛布団の選び方
羽毛の品質を把握しているのは羽毛を充填したメーカーのため、信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。品質の指標もメーカーの信頼度が基準となるため、購入時はメーカー名を確認しましょう。

羽毛布団の品質指標とメーカーの信頼性
メーカーの許容誤差への認識には差を感じます。厳格な品質管理を徹底するメーカーもあれば、日羽協の試買テストで品質表示と実際の品質に大きな乖離があり、退会に至ったメーカーもあります。
羽毛布団を選ぶ際は、メーカー名の記載がない製品はおすすめできません。特に、西川(株)や山甚物産(株)は、高い信頼性で評価されています。
メーカーの信頼性の調べ方
メーカー名は通常、品質表示票に記載されているため確認をしてください。日羽協加盟メーカーが羽毛を吹き込んだ場合は、ゴールドラベルの裏面にメーカー名またはIDが記載されています。
信頼性の目安

日羽協は経済産業省の認可団体であり、加盟メーカーはゴールドラベルの使用が認められ信頼感はあります。ただし、加盟していても西川(株)のようにラベルを付けないメーカーもあります。
顧客満足を重視し、総合的な国際規格「ISO9001認証」を取得したメーカーの信頼性は高いといえます。
羽毛布団の暖かさでの選び方
快適な睡眠には、暖かさ・軽さ・温度調節機能が調和した羽毛布団が重要です。特に冬は暖かさが重要で、室温や自分の体質に合ったものを選びましょう。
室温と羽毛布団の選び方のポイント
冬用の羽毛布団は、一年で最も寒さが厳しくなる1月や2月の最低室温を基準にし、自分の体質(暑がり・寒がり)も考慮して選びましょう。
羽毛布団の暖かさを左右する要素
- 羽毛の種類(ダック < グース < マザーグースの順に暖かい)
- ダウン率(ダウンの割合を示し、数値が高いほど上質)
- ダウンパワー(羽毛の膨らみを示し、数値が高いほど保温性に優れ暖かい)
- 充填量(布団に詰められた羽毛の量、羽毛の品質に応じた適量がある)
- 側生地のフィット性(薄くて柔らかい生地の性能)・蓄熱加工素材
- キルト構造(1層は軽さ、2層以上は保温性が高い)
暑がり・寒がりの方は、暑がり寒がりの羽毛布団選びのページをご覧ください。また、羽毛布団と快適温度の関係については、季節と室温に応じた選び方のページをご参照ください。
最低室温とおすすめ羽毛布団の種類
最低室温が15℃、10℃、5℃の場合、それぞれに最適な羽毛布団の種類や仕様は異なります。この基準と適した羽毛布団の選定は、筆者が35年間にわたり数多くの羽毛布団を実際に使用した経験に基づいています。

室温が低いほど、ダウンパワーの高い羽毛や充填量を約100g増やしたもの、2層・3層構造のキルトを選ぶと低温環境に対応できます。ただし、2層・3層構造のキルトの場合は、快適温度帯の上限も下限に影響されて低くなる点に注意が必要です。
室温15℃以上
- 最適なタイプ:上質羽毛を使用した合い掛け羽毛布団(シングルなら羽毛量700g程度)
- 適した環境:高断熱のマンションや暖かい寝室(マンションにおすすめの羽毛布団)
室温10℃以上
- 最適なタイプ:
- 400dp以上のグース・マザーグースを1.2kg使用した1層キルト
- 400dp以上のダック1.4kg程度使用した2層キルト
- 快適性を重視する場合:マザーグースをおすすめします。
室温5℃以上
- 最適なタイプ:400dp以上のグースを1.2kg使用した2層キルト
- または、430dp以上のマザーグースを用いた1層キルト
室温0℃前後
- 最適なタイプ:
- 430dp以上のマザーグース1.2kg入りの1層ハイマチ密閉キルト
- または、2層・3層キルト構造の羽毛布団
- 400dp以上のグース1.3kgを使用した2層キルト
購入前に、羽毛布団の暖かさを知るには、こちらの羽毛布団の暖かさレベル診断のページを参考にしてください。
羽毛布団を選ぶ際のプロのアドバイス
羽毛布団は、快適な睡眠を支える重要な道具のひとつです。選ぶ際には、前章にて説明した暖かさだけでなく、快適性、価格、お手入れのしやすさ、耐久性など、さまざまな要素を考慮する必要があります。そこで、各ポイントについて専門家の視点からアドバイスをします。
羽毛布団の快適性
羽毛布団の魅力は暖かさだけでなく、軽さや温度・湿度調節機能にも優れている点です。 これらの観点から、選び方のポイントを紹介します。
軽さを重視する場合

軽い羽毛布団を選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。
- 羽毛の質:少量でも暖かいダウンパワー値が高い羽毛を選ぶ
- 側生地:100単糸または200双糸以上の軽量生地を選ぶ(ポリエステルは軽いがムレやすいため注意)
- キルト構造:1層キルト・ハイマチキルトを選ぶ
これらを組み合わせることで、軽さと暖かさを両立した理想的な羽毛布団を見つけることができます。詳しくは、羽毛布団の重さのページを参照ください。
適温と快適な湿度を重視する場合
快適な寝床環境は、気温33℃前後、湿度50%程度が理想とされています。これを維持するには、温度調節機能に優れたダウンパワーの高いグースまたはマザーグースを選ぶとよいでしょう。
ムレ感を避けるには、1層キルトと通気度の高い100単糸または200双糸以上の超長綿生地を選ぶのがおすすめ。さらにムレ感を軽減したい場合は、ノンダンプ生地とスティッキーダウンを使用した布団を検討してください。詳しくは、羽毛布団の蒸れ感と生地の通気性のページを参照ください。
羽毛布団の価格と品質
コスパを重視する場合、単に安価なものを選ぶのではなく、品質とのバランスを見極めることが重要です。
快適な睡眠環境を整えるためには、グースダウンは400dp以上、ダックダウンは420dp以上のものを選ぶのが理想的です。一般的に、この二つの羽毛を比較した場合、400dp以上のグースダウンの方が高品質とされています。
詳しくは、羽毛布団のランクと相場価格や羽毛布団の価格に関するFAQのページを参照ください。
お手入れのしやすい羽毛布団の選び方
羽毛布団の使い方やお手入れ方法は、種類やランクを問わず同じです。使用時は必ずカバーを掛け、収納する際はカバーを外して十分に乾燥させ、熱が冷めてから収納ケースに入れ、乾燥した暗所で保管してください。
ただし、一部の側生地(シルク、テンセル、ゴアラミネート加工等)はクリーニングができないため、その場合はカバーをこまめに交換することが重要です。また、羽毛布団は基本的に家庭での洗濯ができないため、汚れた際はクリーニング店に依頼しましょう。洗濯可能なのは「ウォッシャブルタイプ」のみですので、購入時にクリーニングや洗濯の可否を確認することをおすすめします。
詳しくは、羽毛布団のお手入れ収納のFAQや羽毛布団の洗濯のページを参照ください。
耐久性で選ぶ羽毛布団のポイント
長持ちする羽毛布団を選ぶために、以下のポイントを押さえましょう。
- 高品質な羽毛:ダウンパワーの高いグースまたはマザーグースを使用
- 丈夫な側生地:60番手以上の厚手の超長綿生地
- 安定したキルト構造:羽毛の偏りを防ぐ密閉キルトや完全立体キルト
- 高品質な縫製:国内縫製など、丁寧な仕立て
ただし、厚手の側生地は耐久性を高める一方で、快適性がやや損なわれる可能性があるため、バランスを考慮することが大切です。耐久性と快適性を両立させるには80番手の超長綿がおすすめです。詳しくは、羽毛布団の寿命のページを参照ください。
プロがおすすめする羽毛布団の選び方
プロが羽毛布団を選ぶ際に重視するポイントは、暖かさ、快適性、価格、お手入れのしやすさ、耐久性などがあります。専門的な観点から総合的に判断すると、最適な羽毛布団の品質条件は下記のようになります。
おすすめ羽毛布団の品質条件
- 羽毛:ダウン率 93%、グース 400dp以上 または マザーグース 430dp以上
- 充填量(シングル):1.2kg~1.3kg
- 側生地:80番手以上の超長綿で国産生地
- キルト構造:国内縫製
- 暖かさを重視するなら:ハイマチキルト・2層・3層構造
- 値段と通気性を考慮するなら:立体一層キルト
- メーカー:信頼できるブランド・メーカー製を選ぶことが重要
上記の基準を満たした羽毛布団を選ぶことで、コスパに優れ、上質の寝心地と快適な睡眠環境を実現できます。
詳しくは、下記のページをご覧ください。

口コミ・レビュー、ランキング情報の見方
口コミやレビューは参考になりますが、投稿者が異なるランクの布団を複数使用した上で比較しているとは限りません。また、ランキングは販売数を基準としたもので、高品質な商品が必ずしも上位にくるわけではない点に注意が必要です。
詳細は、羽毛布団ランキングと口コミ・レビューの見方をご参照ください。
まとめ:後悔しない羽毛布団選び
羽毛布団を選ぶ際は、羽毛・側生地・キルト構造の各指標の基本的な意味だけでなく指標の欠点を理解して、品質表示票の行間を読むがごとく深読みしてください。商品説明には短所の記載はありません。特にメーカーの信頼度のチェックをおすすめします。
指標をチェックするサイトとして、羽毛布団購入時チェックリストも参照ください。
羽毛布団の選び方について説明をしましたが、いざ購入となると新たな疑問が生じることもあります。下の関連サイトも参照ください。
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