羽毛布団の選び方を解り易く説明
羽毛布団購入時には、価格や品質ランクなどで選び方に悩むことがあるでしょう。誰しも、西川など有名メーカーの羽毛布団がお買い得な値段で買えないか探すでしょう。
そこで、羽毛布団を選ぶ際に必要な知識をこの道30余年のプロの寝具店主がわかり易く教えます。
羽毛布団の暖かさ・軽さ・快適性等の魅力は、羽毛と側生地とキルト構造(内部仕切)が奏でるハーモニーの様なものです。
暖かさ |
軽さ |
快適性 |
|
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羽 毛 |
★★★ |
★★★ |
★★★ |
側生地 |
★ |
★★★ |
★★ |
キルト |
★★ |
★★ |
★★★ |
★の数が多いほど関係性は強くなります。羽毛布団のランクは羽毛品質が要と言えます。
羽毛と生地とキルト構造には羽毛布団の良し悪しを分ける品質指標があり、これらの指標の意味が解れば羽毛布団の基本的な選び方は理解できます。
しかし、例えば羽毛の品質指標のダウン率やダウンパワーの真相は品質ランクを示す長所もありますが短所もあります。この短所が同じ品質指標での謎の価格差の原因なのです。
まずは、主な指標情報が記載された品質表示票と添付ラベルの写真をご覧ください。
羽毛布団を選ぶ際に『日本製』を条件に探す方は多いはずです。しかし、『日本製羽毛布団』の真相は海外製の生地を海外で縫製した製品は驚くほど存在します。
そこで当サイトでは、羽毛布団選びのポイントを前編・後編に分けて、理想の羽毛布団を選ぶためのポイントをわかりやすくご紹介します。
前編では、羽毛布団の基礎知識と品質指標の見方や本当の意味(真相)を詳しく説明します。例えば、ダウンパワーやダウン率の意味と真相、さらに、鳥種(グース・ダック)の違いや羽毛の産地による特性の違いなど、羽毛布団選びに必要な知識をお届けします。
後編では、あなたにピッタリの羽毛布団を見つけるために、寝室環境(室温)や体質を踏まえながら羽毛布団の魅力の暖かさ・軽さ・快適さのどれを重視するか、あるいは全てをハイレベルで満たす羽毛布団を選ぶかなど、条件に合った最適な羽毛布団の種類やタイプをご案内します。
目次
羽毛布団選びのポイントと指標知識
羽毛布団を選ぶ際のポイントとなる羽毛と側生地とキルト構造の主な指標10+1をダイジェスト版として紹介します。
メーカーの信頼度がベース |
羽毛布団を選ぶ際の各指標のおすすめ基準を案内します。ダウン率などの業界用語の意味は後ほど説明致しますので意味が解らなくても読み進めて下さい。
品質指標 |
おすすめ品質 |
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羽 毛 |
羽毛の鳥の種類 |
グース・マザーグース |
ダウン率 |
90% |
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ダウンパワー |
400dp以上 |
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羽毛の充填量 |
dp値に応じた適量 |
|
羽毛の産地 |
北欧産 |
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側生地 |
重さと吸湿性 |
合繊・超長綿80番手 |
クリーニング |
超長綿(出来れば国産生地) |
|
キルト |
1層・2層・3層 |
1層・ハイマチ |
- 1.羽毛の鳥の種類グースとダックでは羽毛の大きさだけでなく構造が異なり暖かさ・保温力のレベルが違うため羽毛の鳥の種類の確認は必須。おすすめはグースとマザーグースです。
- 2.保温力に関係する指標ダウン率、ダウンパワー、充填量の確認は必須。おすすめは90%以上、400dp以上のグース、ダウンパワーに応じた充填量(本文で説明)!同じ400dpのグースとダックではグースが暖かい!
- 3.側生地素材の種類をチェック!おすすめは超長綿か合成繊維(合繊)!羽毛布団の重さの約半分は生地です。
- 4.内部キルト構造の種類を調べる!立体1層キルトでも良いが暖かさ重視なら2層・3層キルトがおすすめ!
- 5.純日本製の羽毛布団を選ぶには国産生地・国内縫製であること!見分け方はあります。
- 6.布団のサイズ(体を被う十分な丈と幅)!
- 7.メーカー名の記載の有無?寝具メーカーの信頼度のチェックは重要!おすすめは老舗メーカー西川(株)、山甚物産(株)などです。
西川をはじめ多くのメーカーの羽毛布団に触れてきた店主の感覚では、同じ品質指標でもメーカーによりボリュームに違いを感じます。
羽毛布団の品質指標は寝具メーカーの信頼度がベースになります。
値段・口コミ・ランキング等も気になるでしようが、羽毛布団の選び方を理解してご自分に合う種類やタイプの羽毛布団を選んで下さい。
それでは、羽毛布団の品質指標と選び方のポイントを、羽毛・側生地・キルトの順に説明をします。
羽毛の種類や品質ランクでの選び方
羽毛とはどのようなものか?構造、熱を蓄える仕組みについて説明します。
ダウン羽毛とはどのようなものか
羽毛はダウンとも呼ばれ、写真左の様に立体的に羽枝と呼ぶ枝を広げたダウンボールと、写真右の様に平面的な小さな羽根(スモールフェザー)を含む混合物です。
ダウンボールのことを単にダウンとか羽毛と呼びます。
ダウンの構造と蓄熱の仕組み
ダウンは温度が低いと小羽枝を広げ羽枝の間を密にして蓄熱します。温度が高くなれば小羽枝を閉じ羽枝の間を疎にして放熱します。羽枝とは下図のようにダウンボールの中心の核から放射線状に伸びる枝状の組織です。この羽枝には小羽枝と呼ぶ小さな枝が生えています。
羽毛は大きく羽枝が密生している方がより多くの熱をさえぎることができるため上質です。
羽毛布団が暖かいのは、一粒一粒の羽毛が羽枝の隙間を密にして熱の移動を防風林の様に『遮断』した結果です。羽毛は蓄熱材ではなく熱の移動をさえぎる断熱材です。
羽毛布団の保温力と温度調節機能の差は、布団内部の温かい空気(熱)の移動を調節する羽毛の性能差でもあります。
羽毛の性能の良し悪しは、ダウンボールの大きさと羽枝と小羽枝の密生度・フサフサ感で判定されます。詳しくは、こちらの羽毛布団はなぜ暖かく適温をご覧下さい。
水鳥の種類により羽枝の長さや密生度と小羽枝の付き方は異なります。
羽毛をランク分けする指標
羽毛をランク分ける指標は、水鳥の種類、採取時期、飼育期間、ダウン率、ダウンパワー、充填量、産地、洗浄度等であり順番に説明します。
羽毛の鳥の種類ダック、グース、マザーグースの違い
羽毛は採取された水鳥のダック(アヒル)とグース(鴨)と産卵用に長く飼育されているマザーグースの3種類です。ダック、グース、マザーグースの順に羽毛は大きく羽枝が長く密生度が高くなり『保温性能』と『温度調節機能』に優れます。おすすめはグースとマザーグースです。
マザーグースはグースより飼育期間が長く成熟しているため、ダウンもグースより大きく羽枝の密生度も高く保温力に優れています。
ダウンの真相グースとダックの違い
グースはダックと比べるとダウンボールが大きく小羽枝も満遍なく付いていますが、ダックの小羽枝は中央部に少なく先端部に片寄っていて熱の移動を遮断しにくく保温力が劣ります。また、ダックの羽枝の軸は太く張りが強いため保温力の割に後で説明するダウンパワーが高くでます。
別格の極上羽毛としてアイダーダックダウンがありますが通常のダックとは別物です。
ダウンの鳥の種類による品質差の詳細は、グースとダックのダウンの違いとマザーグースとグースのページをご覧ください。
水鳥の種類の確認方法
ダックかグースかは品質表示票に記載されています。ただしマザーグースの場合は品質表示票にマザーグースと記載する場合もあれば、単にグースと記載して添付ラベルにてマザーグースと産地情報を表す場合もあります。
ダウン率とは?その真相
羽毛の内訳はダウンとフェザーであってダウンの割合がダウン率です。保温・温度調節機能はダウンボールの働きによるものなので、ダウン率が高い羽毛布団は良質であり、ダウン率は90%できれば93%以上をおすすめします。また、この比率が高いと耐久性も良くなります。
ただし、ダウン率だけでは羽毛布団の善し悪しは判断できません。
ダウン率の真相
ダウン率の短所は、未成熟ダウンとか羽枝が折れたファイバーもダウンにカウントされるため正常なダウンの割合は解りません。この短所は次章のダウンパワーにて解決します。
ダウン率が高くなると未成熟ダウンとかファイバーの割合が少なくなるため、羽毛布団を選ぶ際はダウン率の高い方がおすすめです。
ダウン率は、JIS規格により誤差の許容範囲が±5%認められています。ダウン率は93%は最悪88%でも許されています。
ダウン率50%未満の布団は羽根布団・羽ふとんであり羽毛布団ではありません。
ダウンとフェザーの割合について詳しくはダウン率のページをご覧ください。
ダウン率の確認方法
ダウン率は例えばダウン率95%の場合ですと、品質表示票に「詰めもの」として「ダウン:95% フェザー:5%」と表示されます。
ダウンパワーとは?表向きの意味
ダウンパワーは、羽毛布団内の羽毛の膨らみを示す指標で、羽毛布団の中と同じ状態を想定して加重された1グラムあたりの体積であり単位はdpで表されます。羽毛はこの値が高いほど大きく密集していて保温性や温度調節機能が優れ、羽毛布団の暖かさと軽さの指標にもなります。
また、ダウンパワーはダウンボールの平均的な大きさや未成熟ダウンやファイバー化した羽枝の割合を推測でき、ダウン率の欠点を補う指標ともなります。
ダウンパワーが異なる同じ重さの羽毛をそれぞれ透明の容器に入れたのが下図で羽毛のボリュームが棒グラフの様に示されています。図の矢印は熱をイメージしたもので保温力の違いを示しています。ダウンパーが高い羽毛が基本的に保温力は高いと言えます。そのためダウンパワーが低い羽毛は増量して保温力を補います。
ダウンパワーを表示しない羽毛布団
ダウンパワー表示をしない羽毛布団があります。アイダーダックダウンはダウン率と充填量と産地の記載だけです。
理由は、アイダーダックダウンに代表される保温力に優れたスティッキーダウンと言われるダウン同士が絡み合う特性にあります。羽毛が絡み合うため、かさ高が出にくくダウンパワーを記載する意味が無いためです。
スティッキーダウンは絡む程度は違いますが、アイダーダックダウンだけでなくダックダウンとかグースダウンにもあります。
西川(株)の羽毛布団には、ダウンパワーの表示がないものがありますが西川の品質基準を知ることで選べます。詳しくは西川羽毛ふとんの選び方のページをご覧下さい。
ダウンパワーの真相と正しい羽毛布団選び
ダウンパワーは、羽毛の保温力を測る指標ですが、鳥種のグース(ガチョウ)とダック(アヒル)の羽毛をまたいで単純に比較はできません。これには、鳥種ごとの羽毛の構造が関係しています。
ダックダウンは、羽毛の羽枝(放射線状に生えた軸)が太く弾力性が高いため、ダウンパワーの試験で加重しても潰れにくい特徴があり、実際の保温力以上に高い数値が出やすい傾向にあります。一方で、ダックダウンの中央部分にある小羽枝(羽枝の枝)の密生度はグースダウンより低いため、保温力ではグースダウンに劣ります。
つまり、ダウンパワーが高いからといって、必ずしも保温性能が優れているとは言えません。鳥種と合わせて保温力を総合的に判断する必要があります。
筆者の30余年の経験知では、ダックダウンのダウンパワーはグースダウンより約20dp程度低く評価しています。
さらに、同じ鳥種で同じダウンパワーの羽毛であっても、詳細は後章で説明しますが産地や飼育環境(特に湿度)の違いによって耐久性(ヘタリ具合)に差が生じることがあります。飼育環境の湿度が高いアジア産の羽毛よりドライな気候のヨーロッパ産の羽毛が耐久性に優れる傾向があります。
この耐久性の差を可視化するために、日本羽毛製品協同組合(日羽協)では、ダウンパワーの試験後に羽毛がどれだけ元のふくらみを取り戻せるかを計測する「圧縮回復性試験」を導入しています。
まとめると、ダウンパワーは羽毛品質を測る重要な指標ですが、それだけで品質を判断するのは不十分です。羽毛の種類(ダック or グース)や産地の飼育環境(気候)、羽毛の絡む特性の有無、さらにはメーカーの測定誤差への認識の違いを合わせて考慮する必要があります。
実際、同じダウンパワーやダウン率、充填量を謳った羽毛布団でも、メーカーごとにボリューム感に差があります。このような違いを理解したうえで羽毛布団を選ぶことが大切です。
羽毛布団に触れて選ぶ際の注意点
羽毛布団に触れて買う際に、布団を手で押し離し速くふくらむのはグースよりダックです。したがって、速くふくらむ羽毛布団が必ずしも良いとは言えません。
ダウンパワーの高いグースの羽毛布団は、布団を手で押して離すとある程度までは早く復元しますが、そこからは「ジワジワ」とゆっくりゆっくり復元します。
ダウンパワーの測定方法
ダウンパワーの測定方法はJIS L1903に規定されていて、30gのダウンを筒に入れて加重して1g当たりの体積を算出した値です。加重されていない440dpのダウン1gの体積は500mlのペットボトル約2本分です。
羽毛のかさ高を表す別の指標にはフィルパワーがあります。詳しくは、こちらのダウンパワーとフィルパワーのページをご覧ください。
ダウンパワーは保温性能だけでなく温度調節機能とも関係しています。
ダウンパワーの確認方法
ダウンパワーは羽毛布団に貼付されている下の画像の様なラベルで表されます。あるいは下段の日羽協のゴールドラベルでもおおよそのダウンパワーは解ります。
ゴールドラベルを基準にした羽毛布団の選び方
ダウンパワーは下記のゴールドラベルでもおおよそのランクの判別ができます。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)のゴールドラベルはダウンパワーとダウン率により下記の4ランクにあります。おすすめランクはプレミアムゴールドとロイヤルゴールドです。
- プレミアムゴールドラベル:93%440dp以上
- ロイヤルゴールドラベル:90%400dp以上
- エクセルゴールドラベル:80%350dp以上
- ニューゴールドラベル:50%300dp以上
ゴールドラベルの真相
プレミアムゴールドラベルが付いていればマザーグースだと勘違いしないで下さい。
プレミアムゴールドラベルは、440dp93%以上のダウンであれはマザーダック・グース・マザーグースのどの羽毛布団にもつきます。
ロイヤルゴールドのダウン率は90%と93%の2種類あって、93%の方が400dpの条件を余裕でクリアしているものが多いので、ロイヤルゴールドの羽毛布団を選ぶ際はダウン率93%以上をおすすめします。
西川(株)は工場単位では日羽協に加盟していますがゴールドラベルは添付していません。理由は西川基準とゴールドラベルのページをご覧下さい。
マザーグースダウン?その真相と選び方
マザーグース羽毛の特徴は保温力と温度調節の速さや耐久性です。「暖かさ・軽さ・快適性」と言った羽毛布団の寝心地を探求される方とか室温が5℃以下や寒がりの方におすすめです。
マザーグースダウンの品質にはランクがあり品質基準もメーカー毎に違います。マザーグースの羽毛布団を選ぶ際にはダウン率、ダウンパワー、充填量を調べて下さい。
マザーグースダウンの真相
マザーグースダウンのランクは、ダウン率93%ダウンパワー400dpもあればダウン率97%ダウンパワー470dp以上のランクまであります。通常グースでも93%400dp以上の品質は珍しくありません。
西川(株)製のマザーグース羽毛布団にはダウンパワーの表示が無い場合もありますが、羽毛ふとんの西川基準においては西川のマザーグースの品質基準は430dp以上です。
マザーグースには種類があります。
マザーグースには、高評の『ホワイト・コーダ種』に代表されるマザーのマザーと言うべき『グランドマザーグース』が存在して、そのマザーグースから採取された羽毛は希少ですが最高ランクの品質です。
詳細はこちらのマザーグース羽毛布団のページをご覧下さい。また、こちらに寝心地と羽毛布団のランクと相場との関係もご覧下さい。
1羽のマザーグースから採取された羽毛にも品質差がありダウンパワーに表れます。
採取時期により品質ランク差があり、晩秋に採取されたダウンが上質です。採取時期は添付ラベル等にさりげなく記載されている場合があります。夏採取のダウンはダウンパワーも低く保温力も低いため価格も安い傾向です。
羽毛の保温力と充填量の関係
羽毛の充填量はダウンパワーとダウン率と羽毛の鳥種により適量があります。
羽毛布団は季節とか室温に応じて保温力が異なる3種類あります。内訳は冬用の羽毛布団と秋春用の合い掛け羽毛布団、さらに夏用の肌掛け羽毛布団の3種類です。
冬用の羽毛布団を充填量で選ぶ際は、90%・400dp未満のダックならシングルで1.4kg-1.5kg、90%・400dp以上のグースならシングルで1.2kg-1.3kg、93%・430dp以上のグース・マザーグースならシングルで1.2kg、95%・450dp以上のマザーグースならシングルで1.0~1.1kg、ダブルなら1.6kg-1.7kgを目安にお選び下さい。
秋春の合い掛け布団の充填量は冬用の掛け布団の50%~60%程度であり肌掛けは25%~30%程度です。季節と室温に応じた保温力が必要なため羽毛充填量も異なります。
ダウン率・ダウンパワーが低いと保温力を補うために羽毛を増量します。そのためダックはグースより100g~200g程多く入れる傾向です。
羽毛充填量の真相
羽毛の増量は暖かいイメージですが、増量分が重くなるのと羽枝の開閉がしにくく温度調節機能が低下します。過度な増量は布団が張りすぎてフィット性が低下して保温力が低下します。
ダウンパワーが低いと充填量を多くして保温力を確保しますが、過度の羽毛の増量は例えば満員電車で手足が動かせない様な状態となり羽枝の開閉がしにくく温度調節機能が低下します。
羽毛布団の重さの半分は羽毛の充填量です。軽い布団を選ぶなら充填量が少なくても暖かなマザーグースをお選び下さい。
耐久性と保温性を重視するなら100gまでの増量は効果があります。ダウンの充填量の違いは、羽毛布団の重さとダウン品質のページをご覧ください。
羽毛充填量の確認方法
羽毛の量は品質表示票に「詰めもの重量」として記載されています。ダウンパワーに応じた量か確認してください。
ダウンの色と性能
ダウンの色はホワイト、シルバー、茶系です。色の違いによる性能差はありませんがホワイト系が人気なので価格はやや高くなります。シルバー系のダウンが野生種に近くホワイト系より丈夫だと言われています。
ホワイト系とシルバー系の2種類の鳥が下の写真です。ダウンは胸部(写真の丸囲み)の羽毛なのでシルバーですがほぼ白いダウンです。
ホワイトダウンの真相
通販やショッピングサイトでホワイトダウンとの記載はダックダウンのことです。ダックがグースより一般的に劣るためダックの文字を略していると思います。
ダウンの色に関しては詳しくは羽毛の色の違いのページをご覧下さい。
ダウンカラーの確認方法
ダウンの色は品質表示票に記載される場合もあれば、羽毛の鳥の種類を説明した添付ラベルに記載される場合があります。
羽毛の産地と選び方のポイント
羽毛の産地のランクはポーランドとハンガリーは定評があり、次にドイツ、ロシア、カナダ、ウクライナ、中国の順にランク分けされます。ダックダウンはイギリスとかフランスが産地に加わります。
羽毛布団選びでは羽毛の産地の国名のチェックは重要ポイントです。羽毛の産地国の有無はトレーサビリティ(追跡可能性)の必須条件です。産地国以外にANIMEX社とかFBZ社等の精毛会社名の記載が有ればより信頼度は増します。
羽毛の産地の真相
「欧州産の羽毛」は寝具店の視点では「原産国不明のダウン」となります。
『ダウンベルト』と言われる北緯45度から53度に位置するダウンの産地を示した地図です。
羽毛の質と気候の関係は寒くてドライな地域で飼育された方が良質で耐久性に優れます。産地は地方の都市とか地域名、例えばポメラニア(ポーランド・ドイツ)とかマズルカ(ポーランド)、ジーリン(中国吉林省)の場合もあります。
ハンガリーのFBZ社の説明では、リカバリングパワーの違いとして、初期のダウン率・ダウンパワーが同じでも、湿気の少ない環境下で飼育された鳥の羽毛はヘタリにくいと言われています。この説明の裏付けとなるのが日羽協における「かさ高性の圧縮回復性(圧縮率、回復率、反発率)の試験」であり『回復かさ高』を計測しています。
羽毛の産地国を示すJ-TAS(JBA 羽毛産地認証)ラベルが今後普及するとより安心できます。このラベルをつけるとお値段が高くなります。
羽毛の産地に付いての詳細は、こちらの羽毛の産地とダウン品質のページをご覧ください。また、j-tasに付いての詳細は、こちらのJBA日本寝具寝装品協会のサイトをご覧下さい。
羽毛の産地の確認方法
ダウンの産地を調べるには、下の様な添付ラベルをご覧ください。ポーランド産の場合「ポーランド」と記載する場合もあれば「ポーリッシュ」と記載したり「ハンガリー」は「ハンガリアン」と記載される場合もあります。
羽毛の洗浄度とは
洗浄度とは、羽毛を洗浄した水の透明度であり500mmとか1000mmと表示されます。洗浄度の目安は1000mm以上がおすすめですが500mmでも問題はありません。
プレミアムゴールドかロイヤルゴールドラベルが添付されていれば1000mm以上の洗浄度であり他のゴールドラベルは500mm以上です。
羽毛の洗浄度の真相
羽毛の洗浄度は洗った回数ではありません。洗浄回数が多いと油脂分がなくなり髪の枝毛の様に羽毛が割れやすくなり耐久性が下がります。
IDFL(国際羽毛検査機関)のヘルシーダウンプログラム(羽毛のクリーン度の検査)の合格基準は清浄度500㎜以上であることからも洗浄度500mmで問題はないと考えます。
羽毛の洗浄度の確認方法
日羽協に加盟しているメーカーはゴールドラベルで判断できます。洗浄度を記載した添付ラベルが一般的です。
羽毛の臭いの原因
羽毛の獣臭は洗浄度も無関係ではありませんが、未成熟ダウンに多く残っている油脂分が主な原因です。
低ダウン率のダックは飼育期間が短かいためか未成熟ダウンが多い傾向です。
信頼できるメーカーのグース90%以上なら羽毛の臭いの問題はほぼ回避できます。
上質のダウンでも高温多湿の条件下では僅かに臭いはします。特に9月10月の暑い日の輸送トラック内で蒸し込まれると一時的に臭いは強くなりまが、この場合はエアコン等で風を当ててやることにより臭いは和らいできます。
羽毛の臭いの真相
羽毛の臭いの原因である油脂分は洗剤で洗えばある程度除去できますが、この油脂分は人の髪の毛のトリートメント効果に似た作用を羽毛にもたらします。そのためメーカーでは羽毛の耐久性のことを考慮して微妙なさじ加減で洗浄しています。油脂分はある程度残す必要がありそのため高温多湿の条件下では少し臭います。
以前は抗菌・防臭加工ダウンの表示がありましたが、抗菌防臭効果が証明しにくいため最近は少なくなっています。
最近、古い羽毛布団を回収して再生羽毛(エコダウン)として再利用されています。これにより、ほとんどニオイのない羽毛布団が作られています。ただし、バージンダウンのように産地とかダウンの種類が表示されていて低ダウン率のダックの羽毛布団で無臭の場合は、再生羽毛が使われている可能性があるため注意が必要です。
羽毛の臭の確認方法
通販サイトで臭いのレベルを判別する方法はありませんが、回避方法は上記の様に低ダウン率のダックをさけるぐらいでしょうか。
羽毛品質での選び方まとめ
羽毛の保温力は、鳥の種類(ダック<グース<マザーグースの順に良く)、ダウン率、ダウンパワー、充填量で決まります。おすすめは、93%400dp以上のグース、さらに良いのはマザーグースです。
羽毛の充填量は前章の説明の通りダウンパワーにより適量があるため購入時は調べてください。羽毛布団としての保温力は側生地とキルト構造も関係しています。
羽毛の産地はポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシアなどが有名です。産地偽装があるため国名を確かめてください。
臭いの問題は、90%未満のダックダウンは心配です。
洗浄度は500mmでも問題はありませんが1000mm洗浄をおすすめします。
羽毛の詳細は、羽毛品質の見分け方のページをご覧下さい。
側生地素材での羽毛布団の選び方
羽毛布団の側生地素材の選び方のポイントは、国産か海外製かの見極めと軽さと柔らかさと蒸れ感を軽減するために吸湿性・通気性・温度調節に関係する熱伝導率です。
側生地素材の種類には、シルク(絹)、絹交織、超長綿、合繊、ポリエステル等があり特徴に違いがあります。主流は超長綿と合繊です。
側生地素材の確認方法
品質表示票には、ふとんがわとして、シルク、綿、指定外繊維(テンセル)、ポリエステル等の記載があります。超長綿については添付ラベル等で詳細な説明がある場合もあります。
クリーニングの可否
クリーニングが可能か否かは羽毛布団を購入する際の重要なポイントです。シルク、テンセル、ゴアラミネート加工の側生地の羽毛布団はクリーニングが出来ません。テンセルはクリーニング店が増えいます。ゴアラミネートの羽毛布団はクリーニグ対応店があるとの情報もあります。
シルクの側生地の特徴
シルクの長所は吸湿性に優れ柔らかく肌触りも良いことです。そのため高級羽毛布団に使われています。
シルクの短所はクリーニングが出来ないのと耐久性にやや劣り価格が高いことです。
超長綿の側生地の特徴
超長綿の側生地は繊維の長い綿花を紡いだ糸で織った生地であり柔らかく熱伝導率と吸湿性に優れています。ただし、単糸、双糸、精紡交撚糸と言った3種類の糸の紡ぎ方とか糸の太さや側生地の織り方により側生地の厚みや重さと柔らかさや通気性が違います。
糸の太さを表すのが糸番手でありこの数字が大きいほど糸は細くなります。単糸は50~140番、双糸は200~340番、精紡交撚糸は360tとか480tです。100番単糸と200番双糸が同じくらいの太さです。細い糸の側生地は薄くて柔らかく軽くてフィット性と通気性に優れています。逆に太い糸の生地は耐久性に優れます。
織り方は、サテン織り・ツイル織り・平織りの3種類があり主流はサテン織りです。
サテン織り側生地の1平方メートル当たりの重さは、60番手で140g、80番手で115g、100単糸で105g-110g、140単糸で100gぐらいです。60・80・100番手は同じ20番手の差ですが重さは60番手はやや重くなっています。超長綿の側生地は軽いほど品質も良く価格も高くなります。
ツイル織り・平織りは軽くて通気性に優れますが、細番手の100単糸でも「カパカパ」と少しペーパー音がします。
超長綿のランクと真相
超長綿は糸番手以外に綿花の種類によりランクが分かれます。
高級素材の綿花には、最高ランクの海島綿、新疆綿、スーピマ、ラムコ、ギザ綿があり、同じ糸番手でもこれらの綿花のものは側生地に艶がありなめらかで上質です。
細い糸番手の生地は薄く軽くて柔らかいですが寿命はやや短くなります。
100単糸の側生地には経糸と緯糸共に100単糸と経糸が80番手の2種類あります。
お子様とか寝返りが多い方には、60番手か80番手までの側生地をおすすめします。60番手には生地表面を削り生地を薄くするピーチスキン加工がされたものがあります。この加工をすると軽くなりドレープ性がアップしますが、耐久性は少し低下するのと白桃の皮の様に生地表面が毛羽立っているため花粉等のアレルゲンが付着しやすいのでアレルギー体質の方は注意してください。
精紡交撚糸の側生地は少ないですが、ユニチカテキスタイル(株)の『ジュエルコット』の名称で呼ばれています。
合繊の側生地の特徴
合繊とは、天然素材の綿と化学繊維のポリエステルとか指定外繊維のテンセル(リヨセル)、中空繊維のエアキープ等を混合した側生地です。柔らかく軽いのが特徴です。
テトロン・コットンの合繊の特徴と真相
T/Cいわゆる合繊は綿の割合が少ないと蒸れ感が増し、綿の割合が多いと重くなるので綿の割合をチェック下さい。テンセルのセールスポイントは柔らかで吸湿性に優れている事ですが放湿性は綿ほどではなく湿気るとその分重くなるため乾燥させてください。
ポリエステルの側生地の特徴
ポリエステルは安価で軽いのですが蒸れ感が強いのと静電気の発生が短所です。
ポリエステルには安いのものだけでは無く、近年は室温が低いとか冷え性の方向けにラクティス等の蓄熱加工を施した繊維があり高級品に使われています。
吸湿性に劣るポリエステルと吸湿性に優れたテンセルとの組合わせもあります。
ポリエステル系側生地の特徴と真相
1番の特徴は軽い点ですが、低品質のダウンを使用した羽毛布団のボリュームを出すために使用されている可能性があります。
生地の重さと羽毛布団の総重量
羽毛布団の重さの約半分は側生地の重さです。生地の素材と糸の太さと織り方により重さが違います。
側生地素材の真相・実際の重さ
シングルサイズでシンプルなキルト構造の仕切り布等の重さ約85gを含むサテン織りの生地の重さを素材毎に案内します。
軽い順に並べると、精紡交撚糸480t(710g)<ポリエステル(750g)<100単糸超長綿(810g)<合繊(900g)<80単糸超長綿(840g)<60単糸超長綿(1010g)の順に重くなります。シルクの重さは幅があり精紡交撚糸から100単糸の間です。
サテン織りよりツイル織りが軽く更に平織りが軽くなります。
側生地での選び方のまとめ
おすすめの側生地は、柔らかさ・軽さ・耐久性・吸湿性・通気性・クリーニングの可否を考慮すると超長綿80番手サテン織りの国産生地です。
快適な寝心地を求めるなら超長綿の100番単糸、200双糸、精紡交撚糸360t以上の細番手の側生地をおすすめします。耐久性に重点を置くなら60番手です。
暖かさ重視なら蓄熱加工のポリエステル繊維も選択肢の一つです。
側生地は国産と海外製があり国産をおすすめします。国産生地には、染色前の生地を生機は海外生産も含みます。
側生地の詳細は、羽毛布団の側生地のページをご覧下さい。
羽毛布団のキルト構造の種類と選び方
羽毛布団の内部は、羽毛が布団全体に均一に配置されるように基本的に格子状に仕切られています。この仕切り方(内部構造)のことをキルティングとかキルト方式と呼びます。
冬用羽毛布団のキルト構造は大きく分類する立体1層キルトと2層・3層キルトとハイマチ密閉キルト(完全立体キルト)の3種類に分けられます。ヨーロピアンキルトはマチがなく夏用の羽毛肌掛け布団ダウンケットに採用されています。2・3層にすると保温力はアップしますが少し重くなります。
羽毛布団のキルト(縫製)は、次章でも説明しますが海外で縫製されるものが多くなっています。縫製の丁寧さは国内です。
代表的なキルトの断面図が下の画像です。各キルトの特徴を説明します。
立体1層キルトとは
立体1層キルトは単に立体キルトとも呼ばれて、マス目の数はシングルで横3マス×縦4マスの12マスから横5マス×縦6マスの30マスぐらいまであります。
一般的なマス目はシングルでは20マスです。このマス目の数を増やすとフィット性が良くなり保温性が少しアップします。
画像は横4×縦5の20マスと縦に1列増やした25マスのイメージ図です。
縦方向に1マス程度増やすとフィット性は良くなりますが、マス目を増やすと値段は高くなります。
羽毛布団の内部は基本的に格子状に仕切られています。図のように布団の表と裏の側生地はマチ布を介して立体的に縫合されています。
通常の1層キルトは安くて軽いのですが、マス目の境界部で布団の厚みが薄く熱が逃げやすいのが短所です。
立体1層キルトの真相
一般的な立体1層キルトは、羽毛を吹き込むために隣のマス目との間にスリット状の吹き込み口があり羽毛を投入すると吹き込み口は閉じた状態になります。しかし、布団を叩いたり布団に飛び乗るなど強い圧力が加わると、吹き込み口から隣のマス目に羽毛が移動して片寄った状態になる短所があります。
マチ布の幅は4cm~5cmが一般的ですが、この幅を狭くすると凹凸感が増すので極端にボリューム感がある羽毛布団は注意してください。
夏用のダウンケット(肌布団)は表生地と裏生地を格子状にダイレクトに縫合するヨーロピアンキルト(たたきキルト)等があります。このキルトはマチ布を使わないため立体1層キルトではありません。
2層3層キルトとは
2層キルトは、上下の層でマス目の数を違えて境界部の位置をずらし布団の厚みを平均化することで熱が逃げにくく1層キルトより暖かいのが特徴です。3層キルトは2層キルトよりさらに1層多いため保温力は増します。
2層3層キルトは層を仕切る布の分シングルサイズでは1層毎に約200g程度重くなりますが、布団は広げて使うので重さは分散されるため気にならないと思います。室温が5℃以下とか寒がりの方は2層・3層キルトの羽毛布団をおすすめします。
2層3層キルトの真相
2層3層キルトは層を仕切る布があるため、布団内部の空気の対流が遅くなり僅かに温度調節機能の低下と少し蒸れ感が出でます。
多層にすることでの保温力が増す量は毛布1枚分ぐらいであり2倍とか3倍になるわけではありません。
3層キルトには、中層に羽毛を入れるタイプと入れない空気だけのタイプがあります。
暑がりの方は立体1層キルトがおすすめです。
ハイマチ密閉キルトとは
ハイマチキルトとは、図の様にマス目の境界部で布団の厚みが薄くならないように、マチ布を広くして布団の厚さを平均化して保温力を上げています。また、2層のように層を仕切る布がないため軽くて温度調節機能も優れています。
ハイマチの幅は7cm~10cmと広いため羽毛の片寄りを防ぐため密閉キルトとセットで採用されます。
密閉キルトとは、羽毛が片寄りにくい構造なので長く安定してお使い頂けます。完全立体キルトと呼ぶ場合もあります。
ハイマチ密閉キルトは、縫製行程と羽毛の吹き込み作業が複雑なので価格が高くなりますが、1層と2・3層構造の短所を補った仕様であり一番のおすすめです。
ハイマチ密閉キルトの真相
ハイマチを実現するためには羽毛のマス目感の移動を防ぐ必要がありますが、ほぼ完全に羽毛の移動を防ぐ密閉キルトから移動しにくい弁を設けたセミ密閉キルトのタイプがあります。
キルトでの選び方のまとめ
羽毛布団の魅力である「軽さ・暖かさ・快適性」の3拍子全てを活かすキルトはハイマチ密閉キルトです。
暖かさ重視なら2層・3層キルトがおすすめです。価格を重視するなら通常の立体1層キルトです。
縫製は国内と海外の2パターンあり、おすすめは国内縫製です。
キルトの詳細は、羽毛布団のキルトのページをご覧下さい。
『純』日本製羽毛布団の選び方
日本製は強力なセールスポイントです。しかし、『純』日本製羽毛布団を見分けるのが難しいのが現状です。
『純』日本製羽毛布団の選び方のポイントは、『国産生地・国内縫製』の8文字か『J∞QUALITY認証』の記載、または高級羽毛布団の指標ともいえるグランドマザーグース、精紡交撚糸、特殊キルト等のキーワードです。
上記の項目の記載が無い日本製はほぼ海外縫製ではないでしょうか。
これまで何千枚もの羽毛布団を検品出荷してきた経験から言うと国産生地が総じてなめらかで柔らかく重さも僅かに軽く、国内縫製が丁寧であり技術力の違いを感じます。
また高級羽毛布団は全製造工程が国内で仕上げられています。さらに海外縫製の製品にも日本製ラベルを付けている事が純日本製の素晴らしさの証明です。
詳細は、純日本製羽毛布団の見分け方のページをご覧下さい。
海外生地・海外縫製でも日本製
『日本製』と表示している羽毛布団の製造工程は全て国内とは限りません。海外生地を海外縫製して日本国内で仕上げれば日本製羽毛布団なのです。
日本製羽毛布団の真相
日本製羽毛布団の製造工程は、海外生地を海外縫製・国産生地を海外縫製・国産生地を国内縫製のいずれかのパターンで最終工程の羽毛の吹き込み充填工程が国内であれば日本製と表示できます。
30余年にわたり羽毛布団を目視により縫製部分も検品してきた筆者の実感では国内縫製の羽毛布団をオススメします。製造工程の違いが、同じ指標の羽毛布団での価格差が生まれる一因です。
メーカーの信頼度での羽毛布団の選び方
消費者が見ることが出来ない羽毛布団の羽毛品質を知っているのは、羽毛を入れたメーカーでありメーカーの信頼度にこだわることは大切です。品質指標はメーカーの信頼度が前提なので羽毛布団を選ぶ際にはメーカー名の確認は大切です。
「西川 羽毛布団 マザーグース 日本製」の条件から『西川』を除くとさらに価格差は大きくなり価格差は基本的に品質ランク差です。
メーカーの許容誤差の認識
当店が羽毛布団を企画した際に、(株)京都西川(現:西川株式会社)の商品部の方から「当社が430dpと表示している羽毛は、社内でのダウンパワー測定値の平均値が440dp以上です」と説明を受けました。そして現物の羽毛布団に触れた筆者の手の感触も納得できる説明でした。他方95%1.2kgマザーグースと記載の羽毛布団のボリュームが合い掛け羽毛布団かと思えるメーカーの製品も見たことがあります。
許容誤差を認めない厳しい会社もあれば、日羽協の試買テストで品質表示との乖離が大きく退会に至ったメーカーもあります。
少なくともメーカー名の記載の無い羽毛布団は避けて、信頼できるメーカーの羽毛布団をお選び下さい。信頼度においては、西川(株)とか山甚物産(株)は定評があります。
メーカーの信頼度の調べ方
メーカー名は一般的に品質表示票に記載されていますが、極希に羽毛を吹き込んだメーカーと異なる場合があります。日羽協に加盟しているメーカーが羽毛を吹き込んだのであればゴールドラベル裏面にメーカー名かIDが記載されています。
ゴールドラベルの注意点は、ラベル裏面に記載の羽毛を吹き込んだ会社名(ID)のチェックが重要です。
日羽協は経済産業省の認可団体であり、日羽協に加盟しているメーカーは一応の信頼感はあります。ただ、加盟していても西川(株)のようにラベルを付けないメーカーもあります。
品質表示を信頼するしか他に選ぶ方法のない羽毛布団においては、顧客満足をめざし総合的な国際規格の『ISO9001認証』取得したメーカーの信頼度は高いです。
おすすめメーカーの西川(株)は、マザーグース羽毛布団の鳥種混合率を1%以下に設定しており日羽協の10%未満と比べると厳しい基準です。
メーカーの信頼度は販売店の数に比例します。多くの寝具店が選んでいるメーカーが信頼度は高いと言えます。また、日羽協への加盟も信頼度アップになります。
こちらにおすすめの西川羽毛布団と選び方の視点を紹介しています。
ちなみに欧州のEU加盟国の鳥種混合率は30%まで認められています。30%は間違って混入する量ではあり得ません。海外製の羽毛布団を購入する際は注意してください。
メーカーの信頼度に関しては、おすすめメーカーでの羽毛布団の選び方のページをご覧下さい。
自分に最適な羽毛布団の種類とタイプ
快適な睡眠を得る羽毛布団の条件は、暖かさ・軽さ・温度調節機能の3項目が程良く調和して寝室の環境やご自分の体質に合う品質性能が必要です。
3項目の中でも冬季においては暖かさが重要なポイントです。そこで羽毛布団の暖かさのレベルと種類を案内します。
室温と羽毛布団の種類とタイプ
冬用の羽毛布団の保温力は室温が18℃以下の冬季を想定した掛け布団です。
羽毛布団の暖かさのレベルは、真冬の1月と2月の最低室温を目安にして個人の体質(暑がり寒がり)に合うタイプを選んでください。
羽毛布団の保温力は、羽毛の鳥種✕ダウン率✕ダウンパワー✕充填量✕側生地のフィット性✕キルト構造で決まります。
羽毛布団の種類毎に快適使用温度帯を示したのが下図です。おすすめする羽毛布団の品質仕様は最低室温が15℃、10℃、5℃を境に異なります。15℃以上なら羽毛合い掛け布団でも暖かくお休み頂けるものもあります。
最低室温が5℃違うとおすすめする羽毛布団の種類と仕様は異なります。最低室温を目安に羽毛布団の種類をご提案します。
室温15℃以上の羽毛布団
室温が15℃以上なら、羽毛布団の種類は上質羽毛を700g(SL)程度入れた合い掛け羽毛布団で暖かくお休み頂けます。高気密高断熱マンションとか集合住宅では最低室温が15℃以上のケースもあるようです。詳しくは高断熱マンションにおすすめの羽毛布団のサイトをご覧下さい。
室温10℃以上の羽毛布団
室温が10℃以上なら、400dp以上グースダウンを1.2kg(SL)入れた1層キルトの羽毛布団で快適にお休み頂けます。もちろんマザーグースの方がより快適です。
室温5℃以上の羽毛布団
室温が5℃位まで下がる場合は、400dp以上グースダウンを1.2kg(SL)入れた2層キルトまたは430dp以上のマザーグースダウンを1.2kg入れた1層キルトの羽毛布団をおすすめします。
室温0℃前後の羽毛布団
室温が5℃以下になる場合は、430dp以上のマザーグースで充填量1.2kg(SL)ハイマチ1層キルトまたは2層・3層キルト、あるいは400dp以上グースダウンなら1.3kg入れた2層キルトの羽毛布団がおすすめ条件です。
羽毛を100g増量とか2層キルトの羽毛布団は快適温度帯の下限温度も下がりますが上限温度もが下がります。
上の図にはありませんが、肌掛け羽毛布団と合い掛け羽毛布団を組み合わせたツインダウンは、オールシーズン使えて一見便利に見えますが重さと耐久性の点からおすすめはしません。
室温と羽毛布団の種類は一応の目安としてください。個人の体質とか敷き寝具の保温力さらにベッドなのか床敷きなのかにより差が出ます。冷え性とか寒がりの方は実際の室温より少し低いとご判断ください。
特に温度に敏感な体質の方は暑がり寒がりの羽毛布団選びのページをご覧下さい。
羽毛布団の種類と快適温度の関係は、こちらの季節と室温に応じた羽毛布団の選び方のページをご覧ください。
ご自分の寝室の最低室温は、一般的な戸建ての場合は外気温+5℃前後(暖房なし自然温度差)であり、高気密高断熱の場合は外気温+7℃~8℃であり、外気温より10℃以上暖かい寝室は少ないようです。最も寒くなる1月と2月の地域毎の最低温度は気象庁のサイトを参考にしてください。
羽毛布団の暖かさを優先した選び方
羽毛布団の暖かさをレベルアップする条件は、上質グースとかマザーグースダウンを使い充填量を標準量より100グラム増量とか2層・3層キルトです。
暖かさ最強の羽毛布団
羽毛布団の重さに着眼した選び方
羽毛布団の重量は、羽毛と生地と内部を仕切る布の重さです。暖かく軽い羽毛布団の条件は、マザーグース等の上質羽毛と軽い100単糸以上の超長綿と1層キルトです。
詳しくは、羽毛布団の重さのページをご覧下さい。
寝心地での羽毛布団の選び方
温度・湿度の調節を重視した羽毛布団の条件は、上質のグースかマザーグースダウン、通気性・吸湿性・熱伝導率に優れた超長綿の中でも100単糸以上の細番手の生地、熱の対流を妨げない1層キルトとハイマチキルトです。
羽毛布団の通気性ムレ感の真相
一般的な羽毛布団の側生地は、裏面に羽毛の吹き出しを防ぐダウンプルーフと呼ぶ織り目を塞ぐ加工を施しています。そのため100単糸サテン織りの側生地の通気性は1㎝角あたり1秒間に約2ccの空気を通しますがムレ感は少し出ます。
ダウンプルーフ加工は生地の通気性が低下しますが一般的な羽毛の場合は吹き出しを抑えるため必要です。そのため蒸れ感を完全になくすことはできません。
この加工をせずに通気性に優れたノンダンプ生地もありますが、アイダーダックのようなスティッキーダウンとの併用になるため別格の高級羽毛布団になります。
羽毛布団の寝心地を重視した選び方
軽さ・暖かさ・温度調節機能の全てをランクアップするには、羽毛を上質マザーグースにして国産の細番手の超長綿の軽い側生地を採用して、キルト構造をハイマチ密閉キルト等にすれば可能です。
羽毛布団のサイズの選び方
羽毛布団を選ぶ際は、体格に合ったサイズの布団をお選び下さい。布団から足が出たり寝返りを打つと背中が出るようでは快眠できません。
成長期のお子様の布団のサイズには注意ください。
羽毛布団のサイズの真相
180cm以上の高身長の方に向けの掛け布団にはロングロング丈の230cmのタイプとか、太い方にはシングル以外にセミダブル、ダブル、クイーン、キングサイズの幅広タイプもあります。通常のシングルロング(SL)はロングとありますが幅150cm×丈210cmなので、丈の長い掛け布団を選ぶ際はシングルロングロング(SLL)とロングが二つ付いたサイズで探してください。
お二人で寝る場合は、背の高い方とか体格が大きい方に合わせたサイズをお選びください。
詳しくは、羽毛布団のサイズのページをご覧下さい。
値段とコスパでの羽毛布団の選び方
満足のいく羽毛布団のお値段はどれくらいか?寝室の環境とか個人の体質さらに敷き寝具の保温力等により異なります。
羽毛布団の値段はピンからキリまで幅広くあり買う際に悩みますが、まずは羽毛・側生地・キルトの品質ランクを決めてから信頼できるメーカーとか販売店より何点かリストアップをおすすめします。この選び方をすれば羽毛布団の相場価格がある程度絞れます。
暖かさのレベルはある程度の品質からは値段の差ほどは無く寝心地の違いになります。問題は下限価格になりますが正直なところ難しい問題です。そこで当店ではグースダウン400dp90%・日羽協のロイヤルゴールドラベル品質のグースダウンを下限条件にしています。
コスパ重視の羽毛布団選び
お値段が安いだけではコスパ的とは言えません。寝心地と耐久性が良くてお値段がお手頃であればコスパは良いのでしょうが、寝心地とお値段は比例関係にあります。しかし、側生地素材においては寝心地と耐久性は必ずしも比例関係ではありません。
コスパを重視する場合は、寝心地と耐久性と値段が程よくバランスがとれたポイントとなります。まずは、寝心地と耐久性のバランスを考慮すると、羽毛は93%400dp以上のグースが条件になり、側生地は超長綿80単糸、キルトは国内縫製の立体一層キルトで出来れば密閉キルトが条件になります。
お値段はピンキリで迷うのも当然ですが、こちらの羽毛布団のランクと相場価格のページを参考にしてください。
ご予算を決める前に羽毛布団を平均的な寿命を基に羽毛布団の日割り金額を食費と比較したページをご覧下さい。
リーズナブルなのはダックダウンですが、寝具専門店から見ればグースかマザーグースがおすすめです。ご予算の都合でダックを選ばれる際は、93%400dp以上の羽毛布団をおすすめします。
こちらが当店の羽毛布団商品一覧です。
まとめ
羽毛布団を買う際には、文頭での羽毛布団の選び方の10+1の指標のチェックは重要です。商品説明には短所の記載はありません。品質表示票の行間を読むがごとく説明文を深読みしてください。特にメーカーの信頼度のチェックをおすすめします。
指標をチェックするサイトとして、羽毛布団購入時チェックリストもご覧下さい。
羽毛布団選びで気になる『お手入れの仕方、洗濯、価格・アウトレット、レビュー』については下の関連サイトをご覧ください。
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