最近、羽毛布団が購入時のように暖かくない…寿命なのか?買い替えるべきか迷っていませんか?羽毛布団の寿命か否かを判断する方法や延命のコツ、さらに買い替え時に知っておきたい耐久性の違いについて、羽毛布団のプロがわかりやすくお答えします。
目次
羽毛布団の寿命は何年?買い替えの時期
羽毛布団を買い替える方の話では、寿命は15年±5年程度です。「一生もの」という販売文句は誇張です。使用年数の違いは何によるものでしょうか。
羽毛布団の寿命は、中味のダウンの質と量、側生地素材の違い以外にも手入れ方法、使い方、保管方法により異なります。
羽毛布団を買い替えるタイミング
羽毛布団はいつまで使えるか?高級品の寿命が長いと言うことはありません。側生地の耐久性は高級品の方が側生地が柔らかく薄くしなやかなため短い傾向です。また、西川をはじめ有名メーカーの製品だから耐用年数が長いこともありません。
羽毛布団を使って10年を過ぎた頃から少しずつボリュームがなくなり15年ぐらいで、保温力の問題で買い替えを考える方が多いように思います。羽毛布団の平均寿命は15年程度ではないでしょうか。もちろん素材とか手入れ方法により長くも短くもなります。
羽毛布団の寿命は、寒くて買い替えを検討されたタイミングでしょう。
布団の寿命を知らせるサインとタイミングをご案内致します。
羽毛布団の寿命のサイン
羽毛布団が寿命だと判断するサインは、羽毛布団を使用することでダウンが摩耗したり汚れにより新品時のように膨らまなくなることと、側生地が使用することによる劣化や汚れ、あるいは内部の仕切り布の縫合が解けてダウンが片寄りとして表れます。
羽毛布団の寿命のサインのリスト
- 側生地に穴が開くとか破れてダウンが吹き出した。
- 掛けカバーを留めるリンク状の紐が外れた。
- 羽毛布団が重く感じボリュームもなくなり暖かくない。
- 干してもボリュームが回復せず暖かくなくなった。
- 布団圧縮袋で保管後に袋からだしてもボリュームが回復しない。
- 毛布などのケット類を掛けないと寒気を感じる。
- ダウンの片寄りがひどく膨らみが出ないマス目がある。
- 身長が伸びて足が布団から出るようになり寒い。
- えり元とか足下の汚れがひどいとき。
- 汗とかカビの臭いが酷いとき。
長年使ってきた羽毛布団の側生地が破れたとかダウンが片寄った場合は、買い替えを検討するタイミングであることは判ります。しかし寝具の場合は、少しずつ劣化していくため買い替えのタイミングに気付きにくいものです。突発的な事故により側生地が破れた場合は代わりの布団がある場合は羽毛布団の打ち直しリフォームも選択肢のひとつです
上記の様な症状が出たときに羽毛布団が寿命かなと思ったら、下記項目を試しても改善しない場合は寿命だと判断して買い替えをおすすめいたします。
羽毛布団の寿命の判断
布団が寒く感じたなら、まずは寒さの原因が羽毛布団なのか敷き布団なのかを調べてください。仰向きに寝て背中が寒い場合は敷き布団に原因があります。お腹が寒い場合は羽毛布団だと判断が付きます。
羽毛布団の保温力の低下により寒い場合はボリュームがなくなっていないかを確認して下さい。羽毛布団のボリュームがなくなるのは、使用による摩耗・汚れ・湿気によるダウンのボールの縮みとか側生地が湿気や汚れて重くなるのが原因です。羽毛布団のボリュームがなくなると保温力が低下します。ボリュームを回復させる二つの方法を解説します。
羽毛布団のボリューム(保温力)は干すことで回復する場合があります。側生地が湿気て重くなっているとかダウンが湿気て膨らみがなくなり熱を蓄える空気層が小さくなっているのが原因です。朝起きたときに布団を圧縮して羽毛布団の耐久性をのばすため湿気をとる方法も散見されますがメリット・デメリット両方あります。
10年とか長い間洗っていない羽毛布団で臭いが酷い場合はダウンが汚れて毛玉状態になっている場合があります。その場合は羽毛布団をクリーニングすると側生地もきれいになりダウンもふっくらと膨らみを取り戻し保温力も回復する場合があります。
クリーニングの代わりに家庭での丸洗いやコインランドリーでの洗濯はおすすめ致しません。クリーニング業者ですらダウンの乾燥は技術力が必要です。ご家庭で羽毛布団を洗濯して乾燥ができず買い替えるケースは珍しくありません。
羽毛布団を干したりクリーニングしてもボリュームが回復しない場合は、寿命が尽きたと判断して買い替えかリフォームを検討ください。使用年数が10年以上の場合は買い替えがお得かもしれません。
また、使用期間が2年未満でボリュームがでなくなった場合は、パワーアップ加工のダウンの可能性があります。この加工がされたダウンは乾燥とかクリーニングしても回復は望めません。買い替えをおすすめします。
布団圧縮袋に入れて収納した後ボリュームが出なくなった場合は、ダウンが圧縮ではなく減圧によりズタズタに破損しているためボリュームは回復しないため買い替えをおすすめします。原因について詳しくはふとん圧縮袋での収納のページをご覧下さい。
身長が伸びて足が出る場合は布団の性能での寿命とは言えませんが、リラックスした睡眠がとれない状態なのでロングロングサイズに買い替えるか羽毛布団の状態が良ければ打ち直してリフォームも選択肢のひとつです。
新たに買い替える場合に古い羽毛布団の処分は粗大ゴミとしてだすかグリーンダウン(再生羽毛)に出す方法もあり、詳しくはこちらの羽毛布団の処分の方法のページをご覧下さい。
寿命を感じるタイミングは、ダウンの劣化による寒さであったり生地の破損と汚れによるものです。しかし同じ製品でも長く使われる方もいれば短い方もいます。どこに違いがあるのでしょうか?
羽毛布団の寿命の差と延命方法
羽毛布団の寿命の違いは何によるものなのか。素材の種類とランク、国内縫製、使い方、使う期間、手入れ、収納保管、メーカーによる違いがあるのでしょうか。
羽毛布団の寿命とランク
羽毛布団の品質の良いものは耐久性に優れているのでしょうか。そうだとすれば高級品の寿命は長くなければなりません。
しかし、現実は高級品に使われているマザーグースダウンは確かに耐久性に優れていますが、シルクなどの高級側生地の耐久性は決して良いとは言えません。側生地の素材と織り方、羽毛の種類や品質 、内部キルト方式は羽毛布団の寿命と深い関係がございます。
生地素材の品質と寿命
生地は、太い糸で織った厚い生地が丈夫であり高級品の真逆な特徴と言えます。生地素材では、シルク、シルク混、ポリエステル、綿ポリ、綿の順に丈夫です。
更に綿の中でも糸番手の数字が小さい太い糸のものが丈夫であり、糸の種類としては単糸より双糸が丈夫です。
ダウンの種類と寿命
ダウンの丈夫さは採取された鳥の飼育期間に比例するため、基本的にダック、グース、マザーグースの順に丈夫です。ダウンがダックとグースの違いは寿命の差と大きく関係します。
ダウンの品質と寿命の関係において、ダウンパワーは一つの目安になります。結論から申しますとダウンパワーが高い方が寿命も長くなります。
ダウンパワー値は保温力の指標でありこの値は使用年数に応じて低下します。元のダウンパワーが高ければそれだけ寿命も長いと言えます。
さらにダウン率が高いほど寿命は長くなります。ダウン率93%と95%の差は保温力もさることながらダウンの寿命の差として表れます。
ダウンの色により寿命に僅かな差があると言われています。野生種に近いシルバーとか茶系のダウンがホワイト系より耐久性に優れていると言われています。
羽毛の耐久性は羽毛の産地によっても違いがあり、ドライな気候で飼育された羽毛が耐久性に優れています。この違いを調べる試験が日羽協のかさ高性の圧縮回復性試験であり、具体的にはアジア産の羽毛より欧州産の羽毛が同じダウンパワーでも優れています。
ダウンの量と寿命
羽毛掛け布団のダウンの量は保温力だけでなく寿命とも関係があります。羽毛の品質にもよりますが100g程度増量することで寿命は延びます。
シングルとダブルの掛け布団では、ダブルの方がお二人で寝返りをするためどうしてもダウンの劣化が早くなります。
そのため西川の羽毛布団においては、マザーグースの羽毛布団でもダブルにおいては羽毛の量を100g増量している製品もございます。
羽毛の量が過度ではなく100g程度増量することで羽毛布団の寿命は延びます。
キルト方式と寿命
キルト方式では羽毛の隣のマス目への移動を防いだ西川の密閉キルトに類するタイプが安定しています。羽毛布団の側生地は、国内縫製のもありますが海外縫製が多くなっています。寿命の観点から縫製精度とか丁寧さにおいては国内縫製がおすすめです。
希なことですが、格子状のマス目を仕切る布テープの縫製がほどけると修理ができない場所もあります。修理ができなければ寿命と言うことになります。羽毛布団の選び方において耐久性に優れた製品をお探しなら純日本製にこだわるのも選択肢のひとつです。
羽毛布団の使い方と寿命の関係
羽毛布団の使い方は、カバーを掛けてお使い頂く事が基本です。また月に1回か2回程度の割合で、風通しの良い日陰で3時間程度干すことです。室内でも良いので風をあてて乾燥させて下さい。ふとん乾燥機の高温での使用はダウンにダメージを与えます。
布団は汚れが大敵です。カバーを掛けることで汚れはある程度は防げます。カバー交換をまめにすることでも寿命は延びると言えます。掛け布団カバーの基本的な掛け方はこちらの羽毛布団のカバーの掛け方のページをご覧下さい。
クリーニングと耐久性
羽毛布団の寿命を延ばすには、なるべくクリーニングの回数を少なくして下さい。ダウンはできるだけ洗わないで使えればベストです。
クリーニングすると、ダウンの汚れは落ちますがダウンの劣化も避けられません。強いドライクリーニングをするとダウンボールの油脂分がなくなり割れやすくなります。
クリーニング回数を少なくするには、カバー交換をまめにしてください。カバー交換をすることで側生地と中味のダウンの汚れも少なく良い状態で使用できます。クリーニングのタイミングも長くなり結果として長く使えます。
手入れ方法と寿命の関係
羽毛布団を暖かく使うには干して湿気を取る必要があります。しかし直射日光のもとで長く干すと、窓のカーテンが裂けやすくなるのと同じ様に側生地の劣化につながり寿命が短くなります。
干す際には布団をたたかないで下さい。たたくとダウンの片寄りとか縫製の糸切れが発生する恐れがあります。
羽毛布団を長持ちさせるには、乾燥は直射日光をさけて干し布団をたたくなど乱暴に扱わないで下さい。詳しくは、下記のリンクサイトをご覧ください。
羽毛布団の使用期間と寿命の関係
羽毛布団を汚れから守る方法の一つは使わないことです。当たり前と!お叱りを受けそうですが詳しく解説します。
羽毛ふとんには温度調整機能がございますが、この調整機能の限界を超えると寝床内が暑くなり汗をかきます。この汗がカバーを通過して側生地を汚し、更に内部のダウンを汚す結果となっています。ダウンの汚れは臭いの原因と寿命を縮めることに直結しています。
汗をかく季節には、合い掛け羽毛布団に交換して冬用の羽毛布団を使わないことで寿命が延びます。使用期間が短くしたら寿命が長くなるのは当然とご指摘を受けそうです。しかし、汗によるダメージは大きく汗をかく短い期間よりも、使わなかったことで延びる期間が長いと言えます。
羽毛自体の耐用年数は使用しなければ50年以上と言われています。羽毛の経年劣化はないと言っても過言ではなく、使用期間に応じて羽毛布団の寿命は長くももなれば短くもなります。
羽毛布団の収納保管方法と寿命の関係
羽毛布団の寿命は、使用による摩耗だけでなく収納の仕方と保管場所の環境にも大きく関係しています。
収納前にはカバーを外しホコリの除去と汚れ具合の確認が必要です。汚れが酷い場合はクリーニングが必要です。汚れたまま収納すると臭いとかカビが発生することもあります。
保管に際しては十分に乾燥して羽毛布団ケースに入れて、光の当たらない乾燥した場所に保管ください。高温多湿のでの保管は羽毛布団の寿命を短くします。
羽毛布団の圧縮袋で保管はおすすめできません。圧縮袋に入れて強く圧縮してひと夏でも保管したらダウンの寿命は尽きてしまいます。羽毛布団を取り出して干してもボリュームは回復しません。
収納保管方法について詳しくは下記サイトをご覧ください。また、こちらに日羽協の羽毛ふとんの正しい収納・取扱方法の動画が掲載されています。
羽毛布団の寿命とメーカーの関係
メーカーによる羽毛布団の寿命の違いはないはずですが、言いかえると品質表示通りであればメーカーによる違いはありません。しかし、メーカー毎に許容誤差に対する認識の違い、あるいは中味のダウンの偽装問題などがあるため、やはり西川など信頼できるメーカーの製品が寿命の点からも安心できます。
信頼できるメーカーであることは、寿命を重視しての羽毛布団の選び方の原点でもあります。
羽毛布団の寿命と寝心地の関係
羽毛布団の寝心地をレベルアップするためには、ダウン品質を上げることは当然のことですが、生地のランクも上げる必要があります。
しかし、生地品質を上げることは耐久性を上げることと並行しません。寝心地を良くすることは耐久性を少し犠牲にすることになります。
耐久性と寝心地の両方を考慮したときに、両方が折り合う生地品質は綿であれば80番手の国産の超長綿生地と言うことになります。
丈夫な羽毛布団に買い替えるポイント
羽毛布団は、ダウンと側生地と内部を仕切る布からなり寿命はそれぞれに表れます。羽毛布団の寿命を長くするには、上質のダウンの充填量を少し多くしてダウンと生地と仕切り布を丈夫なものにすることが第一の条件になります。さらには丁寧に縫合されている必要があります。
丈夫な羽毛布団の条件は、ダウンはダウンパワーの高いマザーグースダウンにすることで長持ちします。また、ダブルサイズより大きいサイズでは二人でお休みすることを前提にするならダウンの量を100g程度増量することで寿命は延びます。西川のダブルサイズにおいては羽毛の量を標準の1.6kgに100g増やした1.7kgの羽毛布団を見かけます。
ふとんの側生地は60番手の厚い日本製の生地が丈夫です。縫製は丁寧な国内縫製がおすすめです。
第二の条件としては、格子状に仕切られたマス目間をダウンが移動しにくい完全立体キルト方式などが、ダウンの片寄りがなく安定して長くお使い頂けます。
羽毛布団の寿命の観点から安心なのは、西川など信頼できるメーカーの国内生産の日本製です。
まとめ
羽毛布団を快適に長く使うためには汚さないことが重要です。そのためには、秋春に合い掛け布団に交換したりカバー交換をまめにすることです。さらに適度に乾燥させて湿気を取ることも重要です。
生地の摩耗とかキルティング部分の糸切れなどもカバーを掛けることである程度予防できます。また、ふとんの上に飛び乗ったり、干すときにたたくなど乱暴に扱わないことでも寿命は長くなります。
お子様用に耐久性が必要な場合は、丈夫な側生地に耐久性に優れたダウンを使いシンプルな構造を選ばれてはいかがでしょうか。
寝心地を優先させると少しばかり耐用年数は短くなるのは仕方がないことです。
羽毛布団を長持ちさせるポイントは、秋春に早めに合い掛け布団への交換とまめなカバー交換と適度な乾燥、さらに乱暴に扱わないことです。
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