マザーグース羽毛布団とは？羽毛の特徴や品質ランクと選び方をプロが紹介

マザーグース羽毛布団の特徴

マザーグースとはどのような鳥か？マザーグースダウンの本来の特徴？グースとの違いは何か？選び方や注意点？等々の疑問にこの道30余年の羽毛布団のプロが答えます。

一言でマザーグースを言うなら、雌4雄1の割合で1年～4年産卵用として飼育される親鳥です。飼育期間が1年以上と長いためマザーグースの羽毛は大きく成熟して羽枝が密生しているのが特徴です。

羽枝がフサフサと密生したマザーグスダウンは、少量でも保温力と温度調節機能に優れています。また、成熟した羽毛は丈夫で耐久性に優れていることも特徴のひとつです。

マザーグース羽毛布団の特徴は、暖かく軽くて快適に使用できることです。

しかし、残念ながらマザーグースダウンはマザーグースから採取された羽毛であること以外は統一した品質基準はありません。

そのため市場のマザーグース羽毛布団の品質は、高級品から通常グース並のランクまで幅広くあります。

尚、羽毛布団の寝心地は羽毛の品質だけでなく、布団の側生地素材とか内部キルト構造も関係しています。

そこで、30余年にわたり複数のメーカーの多くの羽毛布団に触れてきた筆者の手の感触と知識をベースに、「本来」のマザーグースの品質と魅力持った羽毛布団の選び方を紹介します。

結論を初めに申し上げると、「本来」のマザーグース羽毛布団は、西川をはじめ信頼できるメーカー製であり、羽毛品質はダウンパワー440dp以上ダウン率93％以上で、国産の側生地、生地素材は80番手以上の超長綿でサテン織り、国内縫製した立体一層キルトの羽毛布団です。寒がりの方は2・3層タイプをおすすめします。

目次

1. マザーグースとは
   1. マザーグースダウンの特徴
   2. マザーグース羽毛のランク
   3. マザーグース羽毛量と価格
   4. マザーグースとグースの違い
2. マザーグース羽毛布団の選び方
   1. 羽毛品質のチェック指標
   2. マザーグースに適した側生地
   3. マザーグースに適したキルト
   4. メーカーの信頼度での選び方
3. おすすめマザーグース羽毛布団

マザーグースとは

羽毛布団の羽毛の種類は、ダック(アヒル)・グース(鴨)・マザーグース(1年以上飼育されたグースの親鳥)の3種類あります。そのなかでもマザーグースは、下図の様に他の鳥と比べて体格が大きく採取されるダウンも大きく羽枝も密生しています。

羽毛布団のダウンの種類

マザーグースダウンの特徴

マザーグース・グース・ダックの3種類のダウンボールを拡大したイメージ図です。

マザーグースダウンは、ダックやグースの羽毛と比べ羽枝が長く本数も多く密であり、羽枝には小羽枝という枝が満遍なく生え羽枝の間が狭い特徴があります。

この特徴によりマザーグースダウンは多くの熱の移動を効率よく制御できます。これがマザーグースダウンが保温力と温度調節機能に優れている理由なのです。

マザーグースダウンは保温力に優れるため充填量も少なく軽い羽毛布団に仕上がります。

しかし、マザーグースダウンにはランクがあり低品質のものは通常グースより品質が劣るものもあります。

マザーグースダウンのランク

マザーグースダウンのランクを簡単に見分ける指標はダウン率とダウンパワーです。

このふたつの指標が高いほど良質のマザーグースダウンと言えます。

マザーグース品質基準

統一した品質基準がないためメーカーごとにマザーグースの品質基準は異なります。マザーグースのダウン率、ダウンパワー、鳥種混合率の西川品質と業界の実情を比較したのが下の表です。

西川(株)は、マザーグースを93％430dp以上とする基準を闇雲に設けた訳ではなく、データ分析からマザーグースの特徴が体感できる品質基準を設けています。

現状は、400dpでもマザーグース羽毛布団とするメーカーもあれば、95％440dpでも通常グースとするメーカーもあります。

マザーグースのダウンパワーの下限値はメーカーにより400dp～440dpと40dpの違いがあり驚くほどの保温力の違いがでます。

ダウンパワー差は、採取時期とか精毛度あるいはマザーグースの種の違いに起因します。

採取時期は晩秋の羽毛が上質であり、そのことを説明したラベルが下の写真です。夏に採取した羽毛はダウンパワーが低く保温力も低い特徴があります。

本来のマザーグースの品質は93％440dp以上もしくは少なくとも西川基準の430dp93％以上と当店では認識しています。

マザーグースダウンの産地とランク

マザーグースダウンの主な産地を人気ランキング順に並べると、ポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシア、ウクライナ、カナダ、中国などがあります。

国策事業として品種改良を重ねてきたポーランドとハンガリー産のマザーグースは高評を得ています。飼育場の自然環境・気候の違い・飼育方法・精毛工場の設備により品質差がでます。

ダウン率とダウンパワーが同じ羽毛でも、産地間での品質格差により価格差が生まれています。

一般的に寒さが厳しく温暖差が大きい地域で飼育された鳥の羽毛は上質です。

マザーグースダウンの色とランク

羽毛の色にはホワイト、シルバー(グレー)、ブラウン系があります。有名なポーランドのホワイト・コウダ種は言うまでもなくホワイトグースです。ハンガリーのホワイトグースのゴールドグース種などは有名です。

色による羽毛の性能の違いはありません。ホワイトマザーグースと比べると野生種に近いシルバー系の方がやや耐久性が良いと言われています。

詳しくは、こちらの羽毛の色のページをご覧下さい。

マザーグース羽毛量と価格

グランドマザーグースからマザーグースが生まれ、マザーグースから通常グースが生まれる様子を表したのが下図です。

1シーズンに1羽のマザーグースから平均55羽のグースが誕生します。

マザーグースは年3回・4回ダウンを採取しますが、採取量は通常グースダウンの量と比べて少ないことになります。

また以前はマザーグースの飼育期間が6年でしたが、近年は4年と短くしている農場が多くマザーグースの個体数は減少し羽毛量も少なくなり価格は値上がりしています。

マザーグースダウンの割合は、ダックとグースダウンも含めた総羽毛量の1％未満です。

マザーグースとグースの違い

マザーグースとグースの違いは、飼育期間の違いによるダウンボールの大きさと羽枝の密生度の違いによる保温力と温度調節機能さらに耐久性の違いです。

筆者の経験では、マザーグース羽毛布団の場合はダウンが適量であれば室温が5℃以下でも快適ですが、グース羽毛布団は室温が5℃を切ると物足りなく感じます。

グースの場合、保温力をアップするには羽毛を100g程度の増量すれば可能ですが増量は重くなるのと温度調節機能の低下につながります。

室温と羽毛布団の品質の詳細は、羽毛布団と室温の関係のページをご覧下さい。

マザーグース羽毛布団の選び方

羽毛布団は、ダウンと側生地とキルト縫製さらに羽毛布団メーカーのおすすめ度によりランクと価格は異なります。マザーグース羽毛布団を購入時にはこの4項目のチェックが重要です。マザーグース羽毛布団を選ぶ際のチェック指標をロゴ画像でご案内します。

温度調節機能に優れたマザーグースダウンは、冬用の羽毛布団だけでなく温度変化が激しい春秋に使う合い掛け羽毛布団もおすすめします。

羽毛品質のチェック指標

マザーグースダウンの品質ランクはダウン率とダウンパワーの指標で選んでください。品質ランクはダウンパワー値で430dp未満、430dp以上450dp未満、450dp以上の3ランクに分かれます。

おすすめは西川ブランドの93%430dp以上か日羽協の440dp以上プレミアムゴールドラベル品質以上ランクです。

西川ブランドにはダウンパワー表示がありませんが、プロが「西川の羽毛布団の選び方」のページにてコツをご案内いたします。

さらに厳選するなら産地とかダウンの色などもチェック項目に追加してください。ただし偽装問題から羽毛の産地国名あるいは地方名の記載があるかのチェックは重要です。

羽毛の産地が明確なマザーグース羽毛布団は購入する際に安心できます。

最近は、羽毛の産地に関してトレーサビリティが簡単に解るJ-TASラベルが付いた羽毛布団もあります。

ポーランドanimex社とかハンガリーFBZ社等の精毛会社名が記載されているマザーグースはより信頼度が増します。

輸入ルートにおいても違いがあります。西川(株)などはanimex社とかハンガリーFBZ社から直輸入(貿易手続き上のため商社は介在)するルートも持っています。高級羽毛布団にはこれらの直輸入された羽毛が使用されています。

羽毛布団を選ぶ際に見落としがちなのが羽毛の充填量です。充填量はダウンパワーにより適量があります。

標準的な充填量は、93％430dp～440dpのマザーグースの場合はシングルの羽毛布団は1.2kg(ダブルは1.6kg)です。充填量を少なくするには450dp以上のダウンを使う必要があります。

羽毛の洗浄度は、500mmでも問題はありませんがマザーグースの場合は通常1000mmです。プレミアムゴールドラベル・ロイヤルゴールドが添付されていれば1000mm洗浄されています。

プレミアムゴールドラベルが付いていればマザーグース羽毛布団だと勘違いしないで下さい。このラベルは440dp93％以上の条件を満たせばグースとかダックの羽毛布団にも付きます。

羽毛の臭いはマザーグースダウンの場合は無臭ではありませんが問題は無いと思います。

マザーグースに適した側生地

マザーグースダウンの特徴を活かすには、側生地は軽くて柔らかで吸湿性に優れた綿素材がオススメです。綿素材でも糸番手とか単糸・双糸・精紡交撚糸などの糸の紡ぎ方、さらにサテンとかツイルなどの生地の織り方により品質特性が異なり価格差があります。

綿素材でも超長綿で糸番手の数字が大きいほど細くしなやかな糸であり、細い糸で織られた側生地は薄くて柔らかく軽い特徴があります。合わせて細番手の側生地が通気性に優れるため蒸れ感が出にくくおすすめです。

綿の側生地素材の品質条件は、超長綿で単糸では80番～140番手、双糸では140双糸～340双糸、精紡交撚糸360t以上のサテン織りで日本製の側生地を選ぶことをお薦めします。ツイル・平織りは通気性が良く蒸れ感は少なくなりますが生地のペーパー音が気になります。

日本製羽毛布団との商品説明だけでは、側生地が国内で仕上げられたものか否かは解りません。同じ品質指標でも国産が概ね優れています。

側生地は国産と海外製があり、国産を選ぶには、極上の生地とか「国産生地」の記載とかオールジャパン認証制度の「J∞QUALITYラベル」の有無を確認ください。

最近は綿との合繊が人気ですが綿の割合は70％以上であるか注意してください。

マザーグースダウンは耐久性に優れますが上質の側生地は寝心地は良いのですが耐久性はやや劣るためマザーグースを使った羽毛布団の寿命は特別長いとは言えません。ただしリフォームする際はコスパに優れています。

マザーグースに適したキルトの種類

マザーグースの特性を活かすキルトは、軽量で温度調節機能に優れた立体1層キルトがおすすめです。立体1層キルトの中でも保温性に優れた密閉ハイマチキルトが一番おすすめです。ただし、寝室の温度が低いとか寒がりの方は2層・3層キルトが暖かくおすすめです。

下図は、立体1層キルト・2層・3層キルト・密閉ハイマチキルト(完全立体キルト)の断面図です。

立体1層キルトは軽量で温度調節機能に優れていますが、マス目の境目部分の布団の厚みが薄くなり熱が逃げます。この課題を解決したのが2層・3層キルトですが、層を仕切る布の重さ分は布団が重くなるのと布団内部の熱の移動が遮られ蒸れ感が僅かに増します。この2層・3層キルトの課題を解決したのが密閉ハイマチキルト(完全立体キルト)です。

キルトにおいても海外縫製は珍しくありません。(私感では海外縫製は90％以上！)丁寧な縫製を希望される場合は「国内縫製」の記載かJ∞QUALITYラベルの添付をチェックしてください。

日羽協のゴールドラベルは、海外生地を海外縫製して国内で羽毛が充填された場合も添付でき純日本製の証ではありません。

純日本製のマザーグス羽毛布団を見つけるコツは、日本製羽毛布団の選び方のページをご覧下さい。

メーカーの信頼度での選び方

羽毛とか側生地品質さらに縫製の丁寧さ等は、メーカーの信頼度をベースに各指標を判断しています。西川(株)、山甚物産(株)などの有名メーカー以外のメーカーの信頼度の目安となるのが経済産業省の認可団体である日羽協への加盟です。

こちらが日羽協 加盟社(正会員)一覧リストです。

マザーグースダウンの量は総羽毛量の1％未満であり、通常グース並の低価格のマザーグース羽毛布団はメーカーの信頼度を十分調べてください。

メーカー名の記載の有無は必ず確認ください。記載のないものはおすすめ出来ません。

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本来のマザーグースらしさが感じられる羽毛布団2選と暖かさ重視の羽毛布団を1枚、さらにマザーグースの合い掛け羽毛布団をご案内します。

こちらが当店のマザーグース羽毛布団ネットショップです。

筆者:野口　英輝

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