羽毛布団の偽装問題

羽毛布団は中味が見えません。仮に見えたとしても一般消費者の方には羽毛(ダウン)の良し悪しの判断ができないのが現実です。偽装の問題が気になるところです。

そこで、日本羽毛製品協同組合(日羽協)による羽毛布団の試買テストが行われ羽毛の種類や品質を公的機関にて検査をして結果を発表されています。

結果は依然として偽装があり残念ながら好ましい状況ではございません。さらに原毛ダウンが高騰しています。更に羽毛の偽装問題が深刻化しそうです。

ゴールドラベル羽毛布団の偽装

過去から羽毛布団の中味の偽装問題はございます。これまでも何回も日羽協による試買テストが行われきました。そして、偽装をしているメーカーには日羽協より改善するよう指導されていますが、2年連続で羽毛布団の品質偽装をしているメーカーもあると聞いています。

ゴールドラベルの羽毛布団の偽装が酷い場合は退会に至ったこともあります。退会後はゴールドラベルを使用できませんが、日羽協のルールに従う必要はありません。

偽装をチェックするため2011年9月1日から2012年3月15日まで6ヶ月半にわたる日羽協の試買テストでは、ダウンの品質表示のラベル(プレミアム10点、ロイヤル15点、エクセル15点、ニュー12点)を付けた羽毛布団52点を購入しました。

試買した製品は公的検査機関(4ヶ所)において、品質表示の組成混合率(ダウン率)、ダウンのかさ高(ダウンパー)について検査をした結果、16社・18件が偽装していたことが判っています。52点のうち18点(単純計算で3枚に1枚)の偽装があったことになります。

しかし、2013年度の日羽協の羽毛布団の試買テストの結果では、上記のラベルを付けた製品30点を購入し、品質表示の組成混合率(ダウン率)、かさ高について検査をした結果、ダウン率で問題なかったのは20%であったと発表されています。

市場で販売されている10枚の羽毛布団のち2枚しか品質表示通りでないと言うことです。2013年度が3枚に2枚は合格でしたが、2014年どには5枚に1枚しか合格しない事になります。更に偽装が多くなったことになります。

上記の文章をより正しくお伝えする必要がございます。ダウンの品質表示のゴールドラベル(プレミアム、ロイヤル、エクセル、ニュー)を付けた羽毛布団の試買テストなので、西川ブランド、ロマンス小杉の製品には上記のラベルは添付されていないため、西川ブランドとかロマンス小杉の製品は試買テストには含まれていないと言うことです。

西川ブランドの羽毛布団にゴールドラベルをつけない理由は、西川基準とゴールドラベル基準の厳格さの違いにあります。

また、過去の試買テストで毎回、何ら問題なく合格しているメーカーもあると言うことです。2年連続不合格品つまり偽装品を製造しているメーカーもあると言うことです。

羽毛の産地偽装の記事

2016年5月7日の朝日新聞の記事によると、フランス産、欧州産ダウンと表示している羽毛布団6点を検査会社で調べた結果、5点が中国産ダウンである可能性が高いとの事でした。

ダウンの種類は記載されていませんでしたが、フランス産を中心に購入されたようなので、ダックダウンの羽毛布団の可能性が高いと思います。購入期間は2015年から2016年にかけてとされています。この記事を契機として偽装がなくなることを期待します。

ダウンの輸入量からも偽装が懸念

ポーランドからのダウンの輸入量は、ダウンの全輸入量の1~2%程度です。ハンガリーからの輸入量は総輸入量の5~6%程度です。

ダウンの輸入量には、寝具以外の業界、アパレル関係などにも使用されるダウンも含まれているので、単純計算により判断はできません。

しかし現状市場にあるポーランドやハンガリー産ダウンを充填したと表示している羽毛布団の割合は、輸入量と比較すると多すぎる感がございます。このことからも偽装があると感じられます。

羽毛の産地偽装の問題は、検査により判定は厳密には難しいのが現状です。ただし、鳥の種類の偽装、ダックとグースの判別はつきます。また、ダウン率も判定できます。

2016年~2017年にかけて世界的に鳥インフルエンザの大流行によりダウンの採取量は激減して高騰しています。

2022年に起きたウクライナ情勢によっても羽毛の採取量は減少し原毛ダウン価格は高騰しています。さらに偽装が深刻化しそうです。

信頼できるメーカーの羽毛布団を選ぶ

中味のダウンの品質は、解体して上記の様な検査をすれば判りますが、偽装の有無に関する検査をしなくても中味の品質を知っている人がいます。それは羽毛布団の側生地にダウンを吹き込んだメーカーの人です。メーカーはどのランクのダウンを入れたのか直に見て触れて知っています。またどれだけの量を入れたかも知っています。

販売店は羽毛布団をケースから出して拡げて、しばらく放置するなどして側生地越しに推測するしか方法はありません。偽装の有無を調べるため一品ごと検査に出せば別ですが、コストが掛かりすぎ現実的ではなく完全に偽装を見抜くことはできません。

羽毛布団を購入される場合にはメーカー名の確認が大切と考えます。品質偽装を心配しなくてもよい信頼出来るメーカーの羽毛布団を選ぶことをおすすめします。

原毛羽毛の高騰と偽装問題

2013年からの原毛ダウンの高騰は2倍に値上がりを致しました。更に為替レートの変動です。2012年後半に1ドル80円ほどであったものが2014年後半には1ドル120円になっています。80円だったものが120円になったと言うことは、ダウンが1.5倍になったと言うことです。

2016年から2017年にかけて世界的な規模での鳥運フルエンザの流行により原毛ダウンは高騰しました。すると2017年後半には中国で偽物のダウンと言うべきグルーダウンが作られるようになっています。2022年前期においてこの偽物のダウンを使用した羽毛布団は日本国内では確認されていません。

2022年のウクライナ情勢の激変によるウクライナ産羽毛の減少と為替相場の1ドル136円(2022/06/29)の円安にともない、原毛ダウンは対前年比で1.5倍以上になっています。さらに2024年には1ドルが160円台になっています。

ダウンを含め原料高になったことは益々偽装が懸念されます。やはり信頼できるメーカーなりフィルターとして機能する販売店を選ばれることです。当店においては偽装の心配のないメーカー品を扱うよう心がけています。

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