羽毛布団の内部構造キルティング方式
羽毛布団の内部構造には色々なパターンがあります。保温性を重視したタイプ、羽毛の片寄りを防止したタイプ、保温力をアップするため多層構造にしたものなどがあります。内部構造は、軽さ、保温力、温度調整機能に深く関係しています。
目次
羽毛布団のキルト方式の種類
羽毛布団の一般的な内部構造には、下図の様に左からヨーロピアンキルト、立体1層キルト、2層(3層)キルト、ハイマチキルトがございます。
ヨーロピアンキルトは、格子状に仕切った部分が表生地と裏生地が直に縫合されます。そのためキルト部分に羽毛が無く熱が逃げ易く主に夏用ダウンケットに採用されます。
立体キルト、2層(3層)キルトは冬用の羽毛布団のキルト構造に用いられています。保温力は、ダウンと側生地が同じ場合はヨーロピアンキルト、立体キルト、2層(3層)キルトの順に暖かです。
1層立体キルト構造の特徴
立体キルト構造とは、格子状に仕切られたブロックの境目において表生地と裏生地がマチ布を介して立体的に仕立てられています。
上図の中央の様に表生地と裏生地の間にマチという薄い布が存在します。マチ布はダウンの片寄りを防ぐために格子状の境界部分の仕切り布のことです。
立体キルトのマチ幅と立体感
1層立体キルト構造は、軽い生地で上質のダウンを適量入れて仕立てることで軽くて暖かく調湿性(蒸れ)にも優れています。
マチ幅を狭くすると凹凸感は増し高級品のように見えますが、格子状の境界部分の厚みが狭くなり保温力が下がります。
例えば羽毛合い掛け布団のマチ幅は3cm程度です。この側生地に冬用の羽毛布団と同じ量のダウンを入れると極端な凹凸ができます。
凹凸感は保温力には無関係と言うよりない方が保温力はアップします。
ハイマチキルト
一般的な立体1層構造のマチ幅は5㎝程度ですが、マチ幅を8㎝とか10㎝と広くしたハイマチキルトの羽毛布団があります。
マチ部分の厚みも広く凹凸感が少なく、布団の厚みが平均化して理想な構造です。
このキルトの場合は、密閉キルトと呼ばれている羽毛のマス目間の移動を軽減する弁を付ける必要があり、価格は高くなりますがより理想的な寝心地でありお勧めです。
羽毛布団のマス目の数
羽毛布団の格子状のマス目の数は、シングルサイズで横方向に3列縦方向に4行の12マスのタイプ、横方向に4列縦方向に5行の20マスのタイプ、あるいは横方向に5列縦方向に6行の30マスのタイプがあります。
30マス以上のキルトの羽毛布団もありますがコスパ的には疑問を感じます。
マス目の数が増えるとフィット性が良くなり羽毛の片寄りを防げます。ただし、マス目の数が極端に多くなるとマチ布が増えるため少し重くなるのと、製造コストがアップするため価格は高くなります。
2層・3層構造の特徴
保温性を重視するなら、2層・3層構造がおすすめです。1層立体構造のマス目とマス目の境界部分はマチ布の幅しかなく薄くなります。
この問題を解決したのが2層・3層構造です。例えば、上の図のように2層構造の場合、上層と下層の凹部の位置がずれることにより羽毛布団の厚みが平均するため保温力が増します。
しかし、マス目の数が多くなり作業工程が増えるため少々お価格が高くなります。
2層・3層構造の保温力
1層の倍で2層構造なので暖かさも2倍ではとのご質問を頂くこともございますが、同品質のダウンで「同量」であるなら2倍も暖かくはありませんが、確かに1層より2層が少し暖かくなります。
2層キルト構造の重さ
ツインキルトとも呼ばれる2層キルトは上層と下層を仕切る布が存在するため、羽毛布団の重さは健常者には気にならない程度ですが僅かに重くなります。その分暖かいとも言えます。
シングルサイズの場合、マス目の数にもよりますが1層と2層の重さの違いは布団全体で約200g程度です。実際は体に触れている部分の重さだけなので気づかない程度です。
羽毛布団は側生地の種類によっても重さが変わります。
キルトでの温度調節と調湿機能の違い
一層立体キルトと二層・三層キルトの温度調節と調湿機能の違いは、二層・三層キルトの方が一層立体キルトと比べるとやや劣ります。
層を仕切る布の分はどうしても温度調節と調湿機能が低下しますが二層・三層キルトはその分暖かいと言えます。
寒がりの方には二層式、三層式キルトの羽毛布団がお勧めです。
ダブルフェイス羽毛布団
3層構造のなかでも保温性・フィット性・耐久性に優れてた西川(株)のダブルフェイスはおすすめです。独自3層キルトの中の空気層が微妙に温もりを調節しています。詳しくはダブルフェイス羽毛布団
2枚合わせ羽毛布団
冬には薄手の羽毛布団を2枚合わせ、夏は1枚にして使用するタイプがあります。便利ですが冬には2枚重ねになるので重くなるのと、夏の汗によるダウンの劣化が気になります。
キルト方式と耐久性
羽毛布団には、各マス目毎に羽毛を吹き込むために、隣のマス目と仕切る布には吹き込み用の筒を通す穴が空いています。この穴の仕様によっては、長年使用するとこの穴から羽毛が隣のマス目に移動して羽毛の片寄りが発生するものもあります。
内部キルト方法には、吹き込み用の筒を通す穴を逆止弁の様に閉じる密閉タイプのものから、ほぼ密閉(普及品)されているタイプのものがあります。長年使用すると多少は羽毛が移動してしまいます。安い価格で販売されているものには移動しやすいキルト方式のものがございます。
羽毛布団のキルトでの選び方
店主のひと言:羽毛布団のキルティング(縫製)方式・内部構造の違いは、微妙な違いですが暖かさと重さに違いがでます。
暖かさと重さの違いに関しては、内部構造が一層二層の違いだけでなく、ダウンの品質による充填量と側生地の素材と品質(糸番手)による側生地の重さも関係しています。
キルト方式だけの違いだけで保温力が大きく変わることはありません。保温力は羽毛の品質と量の違いによる変化が大きいと言えます。暖かい羽毛布団を選ぶには、2層あるいは3層キルトと上質の羽毛を通常より100g程度増量が条件です。
羽毛布団の耐久性は、密閉キルトの方がダウンの片寄りがなく耐久性に優れています。ただキルティングの精度丁寧さは国内縫製が安心できるのも事実です。
図のマチ布の部分の中央部の不当記号の「>」に注目ください。この部分において表生地に縫合したマチ布と裏生地に縫合されたマチ布を縫い合わせています。
キルティングが雑に行われると、この不当記号の「>」部分で縫製した糸が解けたりする場合もあり得ます。純日本製の羽毛布団の割合は少ないですが国内の縫製がお値段は少々高いですが安心です。
羽毛布団の寝心地は、キルトだけでなく羽毛品質とか側生地の種類によっても違いが出ます。羽毛布団の選び方は、キルト・羽毛・側生地の全ての違いを総合的に見比べる必要があります。
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