羽毛布団を圧縮袋での収納は大丈夫?

羽毛布団についての質問のひとつに、「布団圧縮袋に入れて小さくして収納しても大丈夫?」というものがございます。

圧縮袋での布団の保管をテレビCMで見れば、大変コンパクトになり収納スペースが確保でき魅力を感じます。

だけど羽毛布団メーカーが、圧縮袋を推薦している説明は見たことがありません。良いものであれば収納用として推薦するはずです。なぜ布団メーカーは圧縮袋を推薦しないのでしょうか。

羽毛布団を強く圧縮すると、ダウンと側生地にダメージを与えてます!!結論は「羽毛布団を圧縮袋で収納はNGです」できる限り圧縮袋に入れないでください。

ふとん圧縮ふくろ

羽毛布団を圧縮袋での収納がNGの訳

羽毛布団を圧縮袋で保管すると言うことは、ふとんの中のダウンボールは押さえつけられ変形するのと同時に減圧された状態の中にあります。

側生地に表れるダメージ

ふとんを圧縮袋に入れて空気を抜いていき、弾力性がなくカチカチ?の状態まで空気を抜くとどうなるか?

ダウンの核の部分とフェザーの軸は硬く突起しているため、ダウンの核とフェザーの軸がふとんの側生地を突き刺すことがあります。側生地に穴があくと、そこからダウンとフェザーが吹き出す様になります。

ダウンボールに表れるダメージ

第一のダメージは、圧縮袋の中のダウンボールは密集状態で押さえつけられると、ダウンボールの羽枝は物理的に破損することがあります。羽枝の破損は保温と温度調節ができない事を意味します。

この状態は、押し入れの一番下に収納されその上に敷き布団等の重いものを置かれてペシャンコになったのと同じです。

第二のダメージは減圧によるものです。ただしこのことは実証されたものではなく、あくまで当店の考えとしてご案内いたします。圧縮袋なのに減圧とは不思議と思われるかもしれませんが、袋の中は通常の大気圧ではないと言うことです。

大気圧1013hpaを示す気圧計

この気圧計の写真は内側の目盛りが気圧を示し大気圧の状態なら1013hpaを示します。

写真の目盛りは1008hpaあたりを指しています。低気圧が近づいているのかもしれません。

圧縮袋に羽毛布団を入れて掃除機で空気を抜いていくと、真空とまではいきませんが減圧しています。

下の画像は、左側が空気を抜く前で右側は空気を抜いて袋内部の気圧が下がった状態です。気圧は台風の時に使われるヘクトパスカルhpaで表されます。今回の試みでは870hpaになっています。

圧縮袋内の気圧

羽枝の内部は空洞でセル状に仕切られています。羽枝は温度変化に応じて伸縮することで温度調節しています。

羽枝内部の空洞部分は減圧された状態で長期間保管されると、羽枝内部の空洞がダメージを受けます。このダメージはふとん全体に発生するため致命的なダメージとなると考えられます。

減圧された状態の羽枝の空洞は、富士山の山頂で今にも張り裂けそうにパンパンにふくれあがったポテトチップスの袋と同じ状態になっていて、限界点を超えると空洞は張り裂けて羽枝が折れた状態になります。

破損したダウンは再生しない

羽毛布団を圧縮袋に入れて強くカチカチの状態が長く続くと、ダウンの羽枝(ファイバー)の部分が壊れます。

ダメージを受けたダウンは、干しても元の大きさに戻る事はありません。羽枝が折れているとご理解下さい。保管期間に比例して破損します。そのため長期保管すると大部分のダウンは使い物にならない状態になります。

ダウンの羽枝が破裂しているとご理解ください。そのため羽毛の打ち直しリフォームしてもボリュームの回復は望めません

ふとん圧縮袋を利用時の注意点

どうしても圧縮袋を使わなければならない場合は、圧縮の度合いをゆるくするのがポイントです。袋の中のふとんがカチカチになるまで減圧しないで下さい。十分に弾力性がある程度にとどめて下さい。

またできるだけ短時間の使用に留めてください。引っ越し等で圧縮袋に入れる場合は早期に袋から出すか圧縮を緩くしてください。

羽毛布団の側生地から羽毛が吹き出したりダウンが少し顔を見せたら、外に引き出そうとせずに、反対側の側生地越しに摘まみ内側に引き込むようにして下さい。出ている状態にもよりますが、外側に引き出すと友達を連れて出ようとして更に穴が大きくなる場合がございます。

一度空いた穴は完全には無くなりませんが、穴の部分を揉みほぐし穴をつぶすことで吹き出しにくくなります。

羽毛布団をコンパクトに収納する方法

ふとんをコンパクトにする方法は、購入時にふとんが入っていた専用のケースに収納がおすすめです。羽毛にストレスが掛からない程度にコンパクトになり羽毛布団を収納する場合はお勧めです。たたみ方は、収納ケースの形によりたたみ方も異なります。

羽毛布団の収納ケース

購入時にふとんが入っていたケースを無くされた場合は、下の画像のような不織布の専用ケースも市販されていますが、平織りのシーツを広げてその上でふとんをたたみ、風呂敷包みにして収納されても問題はありません。

不織布のケース

押し入れに収納する場合は、湿気と結露に注意して下さい。収納前に乾燥して押し入れに入れても湿気る場合があります。

湿気対策としては、床面と壁面に直に接触しないようにスノコなどを使用して下さい。また1ヶ月に1度程度は押し入れの空気を換気して乾燥がおすすめです。また下積みは避けて下さい。

減圧が羽毛のダメージの原因とする訳

お客様からの連絡によると、1シーズン袋に入れ空気を抜き保管しただけなのに干してもふくらまないとのことでした。

この段階で加重によるダメージだけでは説明できない程破損していると推察いたしました。なぜなら原毛はギュウギュウ詰めに袋に入れられて輸出されメーカーに届くまでには2ヶ月程度掛かります。その際に輸出前とメーカーに届いた際のかさ高検査の値の差は通常ありません。

加重以外の原因を考えた時に浮かんできたのが減圧によるダメージではとの考えにいたりました。

筆者:野口 英輝

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