羽毛布団の洗濯
羽毛布団を長年使用すると汚れが気になります。最近は家庭で洗濯が出来る羽毛布団もあり、クリーニングに出そうかコインランドリーあるいは家庭での洗濯かで迷われています。
ほとんどの羽毛布団は、コインランドリーあるいは家庭での洗濯はできません。中にはクリーニングもできない羽毛布団もあります。
当サイトでは、羽毛布団の洗濯やクリーニングの可否の判定する基準、洗える羽毛布団の洗濯乾燥方法と注意点について寝具店の視点から解説いたします。
目次
洗える羽毛布団の選別方法
羽毛布団の多くは家庭では洗えないタイプです。ご自宅で洗濯できるタイプは冬用では少ないのが現状です。洗えるタイプの多くは、ダウン充填量の少ないタイプが多のが現状です。
家庭での洗濯ができる羽毛布団
家庭で洗濯ができる羽毛布団は、メーカーが洗濯ができると表示しているものです。その多くは側生地がポリエステル系でダウン充填量の少ないシングルサイズのダウンケットです。
冬用の羽毛布団で洗濯が出来るものは、側生地に羽毛の吹き出し防止のため織り目を詰めるダウンプルーフを施していない「ノンダンプ生地」で作られたタイプが多いのではないでしょうか。
水洗い不可の生地
シルクの側生地の羽毛布団は自宅では洗うことは出来ません。自宅で洗濯が出来ない生地は、クリーニング店に出されることをおすすめします。特に注意して欲しい側生地素材は、テンセル(リヨセル)、モダール(レーヨン)、ベンベルグ(キュプラ)は水洗いができない生地です。
テンセルの羽毛布団はクリーニングは店の技術力により可能な場合もあります。ゴアラミネート加工を施した羽毛布団は水洗いもクリーニグもできません。
羽毛布団の内部キルトでの洗濯の可否
羽毛布団のキルト構造は大きく分けると、ヨーロピアンキルト(ダウンケットによくあるダイレクトキルト)、立体1層キルト、2・3層キルトの3種類あります。家庭で洗濯可能なのはヨーロピアンキルトと、立体1層キルト(マチ幅が狭いタイプ)です。2・3層キルトの羽毛布団の乾燥は難しいためクリーニングをおすすめします。
洗濯表示での洗濯可否を判別
洗濯表示を確認することでも、自宅とかコインランドリーで洗濯できるかを判別することが可能です。
家庭洗濯機で洗える羽毛布団に付いている洗濯表示マークです。
手のマークが付いている方は手洗いなので洗濯機の手洗いコースを選択して洗って下さい。右の洗濯表示マークなら通常の洗濯コースにて洗うことができます。
ウォシャブル羽毛布団とのメーカーの表示がある場合はどちらかの洗濯表示マークが付いています。
一般社団法人日本寝具寝装品協会自主表示の側生地素材別3種類の羽毛布団の洗濯表示を紹介します。
洗濯表示の意味を左から順に説明を致します。家庭洗濯NG、漂白、タンブル乾燥、アイロンともにNGです。丸にFはドライクリーニングで弱い処理です。丸と×は丸洗いNGです。丸にWと×はウェットクリーニングNGです。丸にWと下に二重線はウェットクリーニングで非常に弱い処理の意味です。
洗濯表示の説明
- 上段は綿の繊維が50%以上の生地を使用したものに付くものです。
- 中段はポリエステル繊維が50%以上のものです。
- 下段はリヨセル/テンセル繊維を使用しているものに付く洗濯表示です。
この3つの洗濯表示に共通しているのは、どの生地も、家庭洗濯できない!、左から3番目の回転と熱や風によるタンブラー乾燥はできない!との表示が含まれています。
基本的にコインランドリーも含め洗濯ができる羽毛布団は少ないとになります。
洗濯表示は、付いていない場合が多いのですが通常この3種類のどれかに属します。
使用期間で洗濯可否を判別
羽毛布団も長年使用すると生地が劣化してほころび等が表れる場合があります。このような状態になると洗濯は出来ません。自分で洗濯ができる使用期間の目安は10年までです。洗濯の可否は自己責任でご判断下さい。
羽毛布団を洗濯する方法
最近、洗える羽毛布団があるのも事実です。そこでご自分で洗う際の手順を説明いたします。製品についている説明書に従って洗濯をしてください。
羽毛布団を洗濯する手順
洗えるタイプの冬用の羽毛布団は、大きさ、脱水、乾燥のことを考えるとコインランドリーの大型洗濯機がお勧めです。
羽毛布団からカバーをはずして、キルティング部分にたまったほこりを落とし布団を掃除して準備をして下さい。
羽毛布団の側生地に傷とか縫い目にほころびが無いか確認して下さい。傷とかほころびがある場合は洗濯は避けて下さい。側生地が破れているものを洗うと羽毛が吹き出してしまいます。
羽毛布団はかさばるので、洗濯機に入れるためには小さく折たたんでネットに入れて洗濯をしてください。
羽毛布団のたたみ方は、細長く3つ折りにして更に3つ折りにたたむのですが、洗濯時に汚れが落ち易くするために、羽毛布団は「Z・M」字のイメージの屏風たたみににして下さい。この様にたたむと洗濯時に水流がたたんだ奥まで入り汚れが落ち易くなります。
「の」の字のようにたたむと、たたみこまれた奥まで水が流れにくくなります。屏風のように折たたんで、ネットに入れてから洗濯機に入れて下さい。
羽毛布団を洗濯する際の洗剤は、ウールマークの製品などに使う中性洗剤を使い下さい。
羽毛布団を乾燥させる手順
速く乾燥させる方法は、脱水時間を長くすることです。
脱水後、羽毛布団の乾燥は湿度と関係があるので、晴れた日が2-3日続く時に行って下さい。できれば日陰の風通しの良いところで、干し方も竿を2本使い布団が「M字」のようにM字干しをして下さい。
生地が乾いたら側生地越しに中の羽毛をほぐしながら中までしっかり乾燥させて下さい。羽毛布団の乾燥は根気と手間と忍耐が必要です。
1日程度干したら中の羽毛を解す必要があります。この作業をしないと羽毛がダンゴ状態になってしまいます。
乾燥機の使用はあまりお勧めできませんが、乾燥は低温でできるだけ短時間にして下さい。高温の熱風は羽毛と生地の劣化につながります。
外観からは乾燥したかどうかは判断しにくいものです。ふっくらと乾燥したと思っても、さらに部屋干しで1日程度は布団に風をあて十分に乾燥して下さい。
洗濯後のダウンボールの状態
濡れたダウンボールの状態は、じゃんけんの(グー・チョキ・パー)のグーの状態で、更に一粒々々が絡み合ったような状態です。乾かす過程で絡み合った一粒々々が分離していき、グーの状態からチョキの状態にダウンボールが開いていきます。
しかし、ご自分で干したりコインランドリーの大型洗濯機での乾燥ではダウンボールが本来の姿に完全には戻りません。完全に乾燥できたと思っても中のダウンボールはパーのように開いたものもあれば、チョキとかグーの状態のものもあります。最悪、絡まったままの状態のものもあり、この状態では本来の保温力は期待できません。
羽毛布団の側生地の多くは、通気性が下がるダウンプルーフ加工がされています。洗った羽毛布団を乾燥させることは、通気性の悪い布で被った状態で濡れて絡み合った羽毛を乾燥させることです。
羽毛布団を洗濯する時期
羽毛布団の洗濯のタイミングは汚れが気になった時です。しかし突発的な汚れ以外は乾燥に時間が掛かるので、梅雨の時期を避けて週間天気予報で3日以上晴れの日が続くオフシーズンのタイミングをおすすめします。
羽毛布団の洗濯のタイミングとしては使用期間のどれ時点かと言う意味もあります。メーカーが推奨しているクリーニングの時期は数年使用した時点です。また上述のように使用期間が10年以上経過している場合にはクリーニング店にご相談された方が良いと思います。
羽毛布団を洗濯時の注意
家庭で洗濯する場合は洗濯機の大きさを確認してください。小さい洗濯機の場合はコインランドリーの中型か大型の洗濯機をおすすめします。コインランドリーの洗濯機は乾燥機付なので便利です。
羽毛布団を洗う洗剤は、アルカリ性とか漂白剤入りとか酵素入りの洗剤は使用しないで下さい。また、つけ置き洗いはダウンを傷めてしまいます。また、洗剤は生地に直接かけず水で薄めてからご使用ください。
中性洗剤が無く応急的に羽毛布団を洗う場合はシャンプーでも代用は可能です。
部分的に汚れた場合は、布団全体を洗うのではなく部分的に手洗いも検討して下さい。汚れたマス目部分を洗うことも可能な場合があります。
洗濯時には水温にも注意をして下さい。洗濯表示にぬるま湯とある場合には、お湯ではなく冷たくない水とご理解下さい。
お湯で羽毛布団を洗うと汚れが落ちやすいと考えがちですが、お湯で洗うとダウンの油脂分がなくなり割れやすくなります。
風呂桶での洗濯する場合は、水を含んだ布団を無理に持ち上げると生地が破れる恐れがあるので十分に水切りをしてください。風呂桶での洗濯はダウン充填量を目安にしてください。
夏用のダウンケットはポリエステル系の生地が多くあります。コインランドリーの洗濯機での乾燥は温度に注意して下さい。ポリエステル系の側生地は、洗濯後に高温で乾燥機にかけると生地が溶ける場合がございます。
洗い方と同じように重要なのが洗った後の乾燥です。洗濯表示通りに終わっても乾燥で手抜きをしては無事に完了しません。
洗濯後は羽毛布団を十分に乾燥させてから収納して下さい。生乾きの状態では絶対に収納しないで下さい。カビ、臭いのトラブルの原因になります。
乾燥までの作業を考えると、ご自分での洗濯はシングルサイズのダウン充填量の少ない羽毛合い掛け布団かダウンケットです。
羽毛布団をコインランドリーとか家庭の洗濯機で洗うと、多くの生地は洗濯によりダウンプルーフ加工が劣化するため羽毛が吹き出しやすくなります。ノンダンプ生地は洗うと通気性は落ちてしまいます。
高級羽毛布団の洗濯は、事前に販売店もしくはメーカーに相談ください。高級羽毛布団は技術力のあるクリーニング店に出されることをおすすめします。
家庭洗濯とクリーニングの差
羽毛布団の洗濯を考えた際に、家庭の洗濯機かコインランドリーそれともクリーニング店に出そうか迷います。その際の判別基準は羽毛充填量で判断ください。家庭の大きいサイズの洗濯機でも羽毛充填量は1000gまでを目安に考えて下さい。それ以上の場合は乾燥の事を考慮するとコインランドリーの大型洗濯機をおすすめします。
ダブルサイズの羽毛布団の場合は仕上がり具合のことも考慮するとクリーニング店がおすすめです。
クリーニング店は羽毛布団を洗濯して素早く乾燥させる技術力と設備を持っています。丸洗い不可の洗濯表示でも洗う技術力をもつお店があります。
プロとの大きな違いは洗濯機等の設備とか洗濯方法もさることながら乾燥方法にあります。プロは素早く水切りをして、水の片寄りがないように乾燥をしています。
羽毛布団を洗濯すれば中のダウンは絡まり塊状になります。この塊の状態から乾燥させてダウン本来の姿に戻す技術をクリーニング店は持っています。
まとめ
羽毛布団が汚れた際は、洗濯の可否を判定してから行って下さい。洗えるタイプの場合は乾燥の事も考慮して週間天気予報を参考にタイミングを計り行って下さい。
羽毛布団が洗えるか不明な場合はクリーニング店に出すことをおすすめします。特にダブルサイズとかダウン充填量の多い羽毛布団はクリーニング店に出すことをおすすめします。
洗える洗濯表示が付いているか、もしくはメーカーが洗えると説明をしている羽毛布団以外は洗濯できないと考えて下さい。
洗える羽毛布団は、説明書に従って洗濯をしてください。
羽毛布団の多くはタンブラー乾燥は出来ない洗濯表示です。羽毛と生地のダメージが大きくなるため、コインランドリーの大型洗濯機では十分に乾燥させることはできません。持ち帰り自宅での乾燥の手間と仕上がり具合を考えると、羽毛布団の洗濯はクリーニング店に依頼されることをお勧めします。
ご自分で羽毛布団を洗濯された方から、「なかなか乾かず羽毛がほぐれない」どうすればよいのか?とのお問い合わせが多くあります。この段階でご自分で洗濯したことに後悔をされる方が多くいます。技術力のあるクリーニング店に相談してください。
コインランドリーの洗濯機を利用した場合に、乾燥までに必要な代金とクリーニング料金を比べるとクリーニング店に出されることをおすすめします。
長年羽毛布団を使うと中のダウンは汗などで汚れます。メーカーにより推奨期間は様々ですが、目安としては6-7年使われたら羽毛布団はクリーニング店に出されてはいかがでしょうか。クリーニング店は独自の技術を持っています。
洗えるタイプでも回数が多くなるとダウンの劣化は避けられません。洗う回数を減らすためにもカバー交換をまめに行って下さい。
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