高断熱マンションでの羽毛布団の選び方

住宅事情も変わり高気密高断熱マンション・戸建てでは寝室の温度も冬は暖かく夏もそれなりに快適になりました。その結果、高気密高断熱マンションでは冬用の羽毛布団は暑いと言う方も増えてきました。

そこで高気密高断熱マンションとか戸建てで快眠するための羽毛布団の選び方と注意点についてご案内いたします。

寝室の温度と羽毛布団の保温力の関係

羽毛布団の保温力は簡単に言うと布団の厚さと関係しています。布団の厚さは側生地の重さも関係しますが、主に羽毛品質と充填量と内部構造のマチ幅とか1層なのか2層3層と言ったキルト方式の違いが関係としています。羽毛布団の仕様により快適使用温度帯が異なります。

都心のマンションでは冬でも室温が15℃以上ある部屋があり、メーカーは羽毛の充填量を少なくした1層キルトの羽毛布団を製造しています。

このことは高断熱マンションでは、通常の羽毛充填量とか2層3層キルトの本掛け羽毛布団では暑いと言う消費者の声が反映された結果だと思います。

一般的に快適にお休み頂ける羽毛布団は、個人の体質の違いもありますが最低室温が15℃、10℃、5℃あたりでおすすめする仕様が異なってきます。

高気密高断熱マンションとか戸建ての室温はどれくらいなのか?調べてみると外気温との差が7℃から10℃程度あるとのことです。さらにマンションでは部屋の位置によりさらに温度差があり得ます。

そこで寝室の温度帯を15℃以上、10℃~15℃未満、10℃以下の3段階に分けて快眠出来る羽毛布団の仕様を紹介いたします。ただし暑がりとか寒がりと言った個人の体質に違いがありプラスマイナス1℃程度温度帯は前後します。

最低室温が15℃~20℃での羽毛布団の仕様

室温が敷き布団の位置で15℃以上の寝室では冬用の羽毛布団より羽毛充填量を少なくした仕様の中厚手の合い掛け羽毛布団がおすすめです。このことは筆者が合い掛け羽毛布団の体感記録において約12℃まで使い続けたことからも断言できます。室温が15℃以上なら冬用の羽毛布団はいらないと言えます。

最低室温が20℃前後の場合は合い掛け羽毛布団でも暑い場合もあり羽毛肌掛け布団(ダウンケット)がおすすめです。最近は合い掛けと肌掛け布団がセットになったツインダウンと呼ばれている掛け布団もあります。

冬用の羽毛布団と合い掛け布団と肌掛け布団の違いは、羽毛の充填量の差とキルトのマチ幅の違いにより外観的には布団の厚さの違いであり本質的には保温力の違いです。充填量はシングルサイズだと、1000g以上が羽毛布団であり600g~1000g未満が羽毛合い掛け布団で、300g~400gが肌掛け布団です。

表生地と裏生地の仕切り布をマチ布と呼びこの幅をマチ幅と呼びます。このマチ幅は4cm以上が羽毛布団で3cm程度が合い掛けであり肌掛け布団の場合はマチ布を使わず表生地と裏生地をダイレクトに縫うものと3cm程度のものもあります。

寝室の最低室温が15℃~20℃の場合のおすすめ合い掛け羽毛布団の仕様を紹介します。

高断熱マンションで室温15℃以上でおすすめの合い掛け羽毛布団

室温15℃~20℃で快眠出来る合い掛け羽毛布団の仕様

  1. 羽毛はおすすめはグースダウンで400dp以上
  2. 充填量は、シングルは400dpグースなら700g~800g、440dpマザーグースなら700g、400dpダックダウンは900g程度が目安。ダブルの充填量は1.4倍。
  3. 側生地は超長綿で耐久性重視なら60番手サテン、寝心地重視なら100単糸サテンとか200双糸以上、耐久性と寝心地の両方なら80番手サテンがおすすめ。
  4. 布団の厚さに関係するマス目の境目にあり表生地と裏生地の間のマチ布の幅は3cm位がおすすめです。表生地と裏生地をダイレクトに縫う仕様は保温力不足です。
  5. キルトは1層キルトで5×6マスの30マスが掛け布団と体と敷き布団の間に出来る三角の隙間が小さくなりフィット性が良く快適です。マチ幅が3cmなので羽毛の片寄りはあまり心配ありませんが、より安定的にお使い頂くには羽毛の片寄りを防止した完全立体キルトがおすすめ。

寝心地を探求するなら羽毛をマザーグースにして側生地を超長綿の80・100番手とか200双糸以上の薄くて軽い側生地の羽毛合い掛け布団がおすすめです。

最低室温が10℃~15℃での羽毛布団の仕様

寝室の最低室温が10℃~15℃の場合のおすすめ羽毛布団の仕様を紹介します。

室温10℃~15℃で快眠出来る羽毛布団の仕様

  1. 羽毛はおすすめはグースダウンで400dp以上
  2. 充填量は、シングルは400dpグースなら1.2kg、440dpマザーグースなら1.0kg、ダックダウンは1.4Kg程度
  3. 側生地は超長綿で耐久性重視なら60番手サテン、寝心地重視なら100単糸サテンとか200双糸以上、両方なら80番手サテン
  4. キルトは1層キルトで4×5マスまたはフィット性を重視するなら5×6マス、出来れば羽毛の片寄りを防止した完全立体キルトがおすすめ。

最低室温が10℃以上あるのであれば、寒がりの方でなければ1層立体キルトで快眠出来ると思います。寒がりの方は2層キルトをおすすめします。

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最低室温が5℃~10℃での羽毛布団の仕様

最低室温が10℃を切る場合は、特別高断熱マンションであることを意識せずに通常の羽毛布団の選び方のページを参考にしてお選びください。

高断熱マンションでの羽毛布団選びと注意点

最低室温が高いマンション等で羽毛布団を選ぶポイントは、朝にご自分の寝室の最低室温が敷き布団の位置で何度かを調べることから始めて下さい。

ベッドでお休みの方はベッドのマットレスの高さの温度を調べてください。2段ベッドの場合は下段の高さの温度調べてください。マンションのカタログ等の資料を参考にする際は寝室の平均温度ではなく最低温度を調べてください。

新たにマンションに入居される場合は、合い掛け羽毛布団を購入されて使ってみて寒ければ冬用の本掛け羽毛布団を選んでください。合い掛け羽毛布団は年間4ヶ月程度は使えるので無駄にはなりません。

高断熱マンションでも北海道と沖縄では温度が違い北海道だと暖房無しだと最低室温が5℃と言うこともあり得ます。また、1棟のマンションでも部屋の位置が角部屋か中住戸か更に何階かの違いにより温度差がでます。

高気密・高断熱を売り文句にしたマンションとか戸建てにおいては、気密性・断熱性能に違いがあります。タワーマンション最上階の角部屋は高気密・高断熱でも寒い場合があります。

下図は1棟のマンションにおいて中間階中住戸の基準値を1として角部屋とか何階かの違いにで暖房負荷の違いを示しています。言い換えれば部屋の位置により温度差があることを表しています。

1棟のマンション内の部屋の位置が角部屋と中住戸とか何階かの違いによる室温の差のイメージ図

マンションでの羽毛布団の選び方は、寝室の敷き布団の高さでの朝の最低室温を基準に布団の保温力を選んでください。

室温が15℃以上ある場合でも保温力の高い上質のマザーグースのような羽毛がおすすめです。理由は上質の羽毛は保温力だけで無く温度調節機能に優れているため寝床内を快適な温度に保つ機能に優れているためです。

快適な寝床内環境は33℃±1℃湿度50%前後と言われています。この環境は敷き寝具が6割程度関係しています。室温に応じた保温力のある敷き寝具を準備してください。また、パジャマも室温に応じたものをご使用ください。

快適な寝床内温度が33℃±1℃と2℃の差があるのは、暑がり寒がりといった個人の体質の差があるためであり体質の違いも選ぶ際には考慮してください。高齢者の方は軽くて暖かな羽毛布団を好まれる傾向があります。

寝床内の湿度は50%前後が理想とされているため、羽毛布団の側生地は吸湿性と放湿性に優れた綿素材をおすすめします。ポリエステル系は吸湿性が悪く蒸れやすいので出来れば避けてください。またテンセルは吸湿性に優れていますが放湿性は良いとは言えないため暖かい部屋ではおすすめしません。

高断熱マンション等では寝室温度が高く汗をかく場合が多くなり、合い掛け羽毛布団においてもカバーなしで使用すると襟元部分等が汚れクリーニングに出すタイミングが早くなります。羽毛布団の寿命を延ばしたいならカバーを掛けて使用し収納時には汚れを確認してからしまってください。

筆者:野口 英輝

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