超長綿とは
超長綿とは平均繊維長が約35mm(1.375インチ)以上の綿であり、感触がなめらかで光沢があるとの説明が多くあります。間違いではありませんが、超長綿と冠が付いた製品の価格差はなぜ生まれるのかと言う疑問が生まれます。
まず初めに綿花とは何かを説明します。
綿の繊維とは綿花からとれた繊維のことを言います。植物の『綿花』とは花ではなく、種を被うワタ状の繊維あるいは茎を含めた植物全体のことです。
写真の様に3分割とか4分割に分かれたワタの塊を解すと種と繊維に分かれます。
解した繊維の長さが35mm以上ある繊維を超長綿と呼んでいます。
繊維長が長ければ長いほど太さが均一で細い糸を紡ぐことができ、細くて太さが均一な糸で織られた生地は薄くてなめらかで光沢があります。
どれくらい長い繊維があるのか?超長綿の中には繊維長が90mmのものも存在します。
超長綿は、繊維長が35mm以上90mm程度までとランク幅があることになります。
超長綿を使用した製品には、糸番手とか原綿の綿花の種類として新疆綿、スビン、スーピマ綿、ギザ45、海島綿などが記されたものを見かけます。品質ランクがあり当然価格も幅広くあります。
今回は、羽毛布団の側生地60単糸と80単糸の違いについ解説します。この糸番手の違いを知れば超長綿の品質ランクの違いもご理解頂けます。
超長綿の繊維長と糸番手の関係
綿糸は綿花の繊維を紡いで糸に仕上げます。
工程は、綿花から種を取り繊維だけにして帯上のシートにして梱包されます。
この状態で輸出され紡績工場にて帯状のシートからゴミ等をとりさらに紐状に加工して、この紐状の繊維を二本合わせて更に細くしていき撚りを掛けたものが単糸になります。
例えば60番手とは、重さ1ポンドの綿繊維を840ヤードの糸の60倍に長くした糸でありその分細くなっています。
細くなることは繊維の本数も少なくなることであり、少ない繊維の本数を撚ることで糸にするためには繊維長が長くなければ糸に仕上がりません。
糸番手が大きい細い糸を作るには繊維長がより長いものが必要となります。
超長綿の繊維長と綿花の種類
原綿の綿花の種類として新疆綿、スビン、スーピマ綿、ギザ45、海島綿が有名であり上質であるとされています。
どのように上質なのか?繊維が細く平均繊維長が長いものが上質とされています。下図は綿花の繊維を1本ずつほぐし左から長い順に並べた写真です。右側によるほど繊維は短くなっています。
新疆綿、スビン、スーピマ綿、ギザ45、海島綿などは、平均繊維長が長く細いため上質とされています。
上の写真の右端の短い繊維長の繊維は糸に仕上げる工程の一つである精梳綿工程(コーマ櫛で繊維をすくイメージで短繊維、ネップ等の除去する)にてある程度は除去されますが完全に取り除くことは出来ません。
上質の超長綿は平均繊維長が長く35mm未満の繊維が少ないと言うことになります。
繊維は糸に撚った際に繊維の両端は糸の表面に毛羽として表れます。短い繊維が多く含まれている場合は毛羽が多く発生することになり光沢がなくなります。繊維長が長い繊維が多ければ毛羽も少なくなめらかで光沢のある糸に仕上がります。
超長綿の60単糸と80単糸の違い
60・80・100番手の糸番手の違いは、説明を受けながら側生地に触れるとわかります。
60単糸と80単糸と100番手は同じく20番手の差がありますが、生地に織った際には80番手と100番手の差よりも60番手と80番手の差が大きく感じます。
この差をグラフ化した画像をご覧下さい。糸番手と品質の関係は正比例ではなく指数関数的なイメージです。
生地の風合いとか重さと言った品質の違いは、カバーファックターという指標で表されます。ただこの指標は周知されていないため計算式のみ紹介しておきます。
カバーファックターは1インチ当たりの糸の打ち込み本数を糸番手の平方根で割った値です。
生地品質の違いは生地の重さで明らかに違いが出ています。
羽毛布団に使用されている超長綿サテン織りの側生地の重さは、100単糸で1平方メートルあたり105g-110gであり80単糸であれば115g前後であるが60単糸は140g程度あります。100と80番手の重さの差は5g-10gですが、80-60番手の差は25gと大きくなっています。
(尚、生地の重さは織り方により違いがあります。)
超長綿100サテンとは、35mm以上の長繊維を多く含む100番単糸を経糸と緯糸にサテン織りにした生地と経糸に80番糸を使い緯糸に100番糸を使った2種類あります。重さは後者が少し重くなります。
羽毛布団の製造原価に占める羽毛のウェイトが大きく側生地は羽毛に比べると小さいと言えます。国内加工の生地であることが条件ですが、同じメーカーで同じ品質の羽毛を使用している場合は60番手より80番手の方の羽毛布団がコスパ的におすすめです。
さらに新疆綿、スビン、スーピマ綿、ギザ45、海島綿等の綿花の記載があれば平均繊維長も35mmを余裕をもって超えています。これらの綿花の記載があれば更におすすめ度は増します。
まとめ
超長綿とは平均繊維長が約35mm以上の綿であるが、現物の生地は35mm以上で90mm程度までの幅が存在するため品質幅が大きくあります。
この品質差は、糸番手の大きさと原綿の綿花の種類などを調べることで品質レベルが解ります。最も簡単な品質指標は糸番手での判断です。
この糸番手と品質は正比例の関係ではなく、側生地での羽毛布団選びのコスパポイントは80番手と100番手の差より60番手と80番手の側生地の品質差が大きいため80番手以上をおすすめします。
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