ムートンパッドシーツの選び方のポイントは毛の密度が高い高密度タイプのムートンをおすすめします。
ムートンパッドとムートンシーツの違いは厚さの違いであり、中綿を充填したパッドタイプか中綿無しのシーツタイプかの違いです。
ムートンは、元をただせば「羊」さんの洋服です。寒さから身を守るコートのようなものです。人工の化学繊維と比べその断熱性・保温性は格段に優れています。
まずは、羊の種類も40種類以上あり更に羊毛・羊肉・羊毛兼用種に分けることができます。その中でも、ムートンパッドに最適なのは、オーストラリア産・メリノ種です。
メリノ種をおすすめする理由は、羊の中で最も白く、最も細く、かつ捲縮(ケンシュク)が多いため、ムートンパッドとして加工性、弾力性、保温性の点で優れているためです。
ショーンラムとスプリングラム
羊の毛皮でも、羊肉の副産物としての皮を利用したものから、ムートンを作るために飼育された上質の原皮までございます。
オーストラリア産原皮においては、飼育期間も1年以上のものをシープスキンと呼び、1年未満のものをラムスキンとして区別しています。
上質なムートンはラムスキンであり、その中でもショーンラムスキン(ショーンの意味は毛刈りをした)とアンショーンラムスキンと区別しています。
メーカーによっては一度も毛を刈り採っていない生後5ヶ月までの羊の原皮をスプリングラムスキンと呼んでいます。毛刈りの有無よりかは、毛の質と密度がムートンパッドの寝心地に関係します。
ショーンラムとスプリングラムの違いは肌触りがなめらかさです。毛刈りをしていないスプリングラムがなめらかです。
生後5ヶ月未満のものはスプリングラムと呼びほぼアンショーンラムと言えます。ショーンラムは生後8ヶ月ほど飼育されているため毛先が傷ついている場合もあり毛刈りをして整えています。
弾力性、体圧分散の違いは、ショーンラムとスプリングラムによる差ではなく個々のムートンの毛の密度による違が大きいといえます。同じ密度、同じ長さの場合は、ややショーンラムの方が弾力性を感じます。また毛のベースとなる皮の部分も飼育期間が長いため丈夫でありムートンパッドとしても耐久性にやや優れています。
ムートンパッドの選び方において、1000種類以上ある羊の種の中でも、廉価版のものは食肉用の羊の皮を利用したものがございます。一方上質のムートンパッドには上記のメリノ種の皮が利用されています。
ムートンシーツパッドの選び方のポイントは羊の種(メリノ種)の選択から始まります。次に下記の加工工程などにより品質に違いが出ます。
ムートンパッドの原皮加工
ムートンは、原皮を加工することで初めて製品になります。
主な加工工程は、まず原皮を「なめし」「毛長を揃える」「染色」「裁断」「縫製」となります。
なめしの工程も上質品はクロムなめしを採用していると思います。この工程において手抜きをすると低品質になりますがコスト的には安くあげることができます。
また、成型の段階において同じ原皮でも縮める加工(高密度加工)をするのと、逆に拡げる加工をするのでは毛の密度に差が出ます。高密度のものは弾力性に富み耐久性も良くなります。
高密度ムートンパッド
ムートンの毛の密度が高いほど弾力性と体圧分散に優れ温度・湿度調節機能に優れています。
ムートンの毛の密度は、食肉の副産物の毛皮とか低価格のものは別としてオーストラリア産・メリノ種の場合3000本/cm²前後から6000本/cm²ぐらいまであります。
高密度ムートンパッドと呼ばれるものは毛の密度が4000本/cm²以上あります。天然の原皮の状態で高密度のものもあれば、高密度に加工処理されたタイプもあります。
ムートンの原皮の毛の密度
下記の様にムートンパッドの原皮の毛の密度ごとにサンプルを作成しているメーカーもございます。(画像クリックにて大きい画像を表示。)毛の密度はムートンパッドの選び方の基準の一つとなります。
ムートンパッドの体圧分散と毛長・密度
体圧分散をするためにはムートンの毛が体を如何に支えるかが問題です。毛の密度と長さ更には太さも関係します。毛の太さに関しては太すぎると肌触りが悪くなるため程々の太さに抑えるため飼育期間も限られます。
ムートンパッドの毛長は長ければ良いのではなく密度も伴う必要があります。高密度でない長毛の場合は毛が寝てしまい、空気層を創ることが出来ず体を支えることができません。
ムートンパッドを選ぶ際には、毛長と毛の密度を合わせて調べる必要があります。
ムートンパッドはハギの組合せ
ムートンシーツはいくつもの皮のハギをパッチワークのように縫製して作られています。加工工程においてハギを切り取り組み合わせる段階においてランクができます。
個々の羊により個体差があることもご理解頂く必要がございます。このハギは1頭の羊の皮においても部位により品質が異なります。
下の画像は、羊1頭の皮を裏側から見たもので、部位により毛の密度が異なる様子を示しています。数字は上画像の密度サンプルの数字です。
上質のムートンシーツを作るには、色合い、風合い等の条件が均一に揃ったハギを組み合わせて縫合するとできます。逆に不揃いになるとランクが下がってきます。当然羊の原皮のレベルも重要ですが、製造工程のハギの組み合わせにおいても品質レベルに差が出てきます。芸術作品とでも表現すべきレベルのものは当然お値段もするわけです。
ハギの組合せの均一性はムートンパッドの選び方の一つです。ハギを組み合わせるので厳密には色むら毛並みが均一に揃うわけではありません。
絵図の模様を表すムートンでない幾何学模様の場合だと四角いハギを組み合わせて作りますが、このハギが大きいものほど上質と言えます。小さいハギは大きいハギをまずは切り取って残った皮からも切り出せるため品質も不揃いになりがちです。
ムートンパッドの選び方はメーカー
ムートンパッドシーツの選び方は、信頼できるメーカーの製品か否か、通常有名なメーカーはラムスキンを使用していると考えられます。
次に毛の密度が高いものを選ぶことです。高密度加工をするとこれがムートンか?と思えるほどの弾力性が出ます。しかしお値段も確りとした価格になっています。
更にハギの形状が揃ったものが良いと思います。柄物の場合は柄の形状になりますが、身体が触れる中央部が均一になっていれば問題はありません。
後はメンテナンスのできるメーカーの製品がお勧めです。ムートンシーツの選び方はメーカーの確認が大切です。
ムートンパッドとムートンシーツ
ムートンシーツとパッドの厳密な違いはありませんが、シーツの方が中綿の量が少ない感があります。マットレス、敷き布団の厚さ硬さ反発力との組み合わせで選ばれるとよいと思います。
ムートンパッドの下の布団が厚く身体が沈みすぎると、ムートンの体圧分散機能が活かされないこともございます。
ムートンパッドの使い方
ムートンパッド・シーツの保温調湿機能を活かすには掛け布団との関係も重要です。例えば冬は羽毛布団にして、秋と春には合い掛け羽毛布団、更に暑くなれば真綿布団、更に暑くなるとエアコン無しではムートンはお勧めできないと思います。
ただ病院などで24時間エアコンがかかっている場合はムートンもよいかもしれません。
夏場はムートンパッドを綿とか麻のシーツなどで被って使うと空気層ができて適度な断熱性と保温性が得られます。その場合は夏用の羽毛布団とか麻掛け布団などとの組み合わせもお勧めします。
ムートンパッド・シーツは調湿機能に優れています。しかし、梅雨の時期になると温度と湿度が高くなり自然素材であるため羊毛の臭いが僅かにする場合がございます。羽毛布団のダウンと同様に僅かですが高温多湿の環境下では臭う場合がございます。エアコンで除湿するか干すことで臭いは和らぎます。
ムートンパッドのお手入れ修理
ムートンパッドを使用していると、どうしても毛の汚れヘタリが出てきます。
少々の汚れの場合は中性洗剤を水で溶いたものをタオルに浸ませて拭き取って下さい。汚れがひどい場合は、クリーニングに出さずにメーカーのメンテナンスに出されることをお勧めします。
修理もハギ単位で可能です。ただ上記の様にハギ単位で均一ではなく、修理の場合は、使い込んだ毛と新しい毛の違いと色合いが異なる為、新しいハギとの違いが目立つ恐れもございます。ムートンパッドシーツの選び方においてはメンテナンスの有無も大切なポイントです。