食肉用のグース鳥の雛を供給する農場のことをマザーグース農場と言います。
ポーランドでは飼育数の規模的には3000羽から5000羽が一般的です。細かく世話ができるのは3000羽程度が理想の様です。
マザーグース農場とは
マザーグース農場は、Animex社とかFBZ社などの大手の食肉加工会社の関連会社で雛になったグースを預かり飼育しています。
グースは水鳥ですが湖畔の自然豊かな農場もある様ですが、郊外の住宅が点在する場所にも多くあります。
農場の広さは規模により大小はあるものの、農場内は幾つかのブロックに仕切られて少年野球ができる運動場が数個ある程度です。ブロック毎に鶏舎があり冬場などは鶏舎内で飼育しています。
マザーグース農場の飼育目的
マザーグース農場は食肉用のグース鳥の卵を産ませることが主の目的です。産卵用なので雄鳥1羽に雌鳥4羽の割合で飼育しています。
産卵期を終えると食肉工場に引き渡すというサイクルを繰り返しています。食肉としての価値は低くミンチのような形態で流通しています。
寝具店の視点ではマザーグースは羽毛をイメージしますが、羽毛は副産物であり年に3回から4回程度採取して販売をしています。
1年未満のグースからは羽毛を採取しません。1年未満のマザーグースには未成熟ダウンが多くありダウンボールも小さいためです。マザーグースダウンには雄のグースダウンも含まれます。
羽毛についての詳細は羽毛布団マザーグースのページをご覧下さい。
マザーグース農場の飼育方法
以前は5年から6年飼育していましたが最近は雛から4年ほど飼育しています。1年未満、2年、3年、4年毎にブロック分けして飼育されています。
基本的に食肉用に育てるグースの卵を供給するのが目的なので、4年を過ぎると産卵する卵の数が減少するため以前は6年ほど飼育されていましたが最近は4年と期間が短くなっています。また鳥インフルエンザの影響があります。
冬の寒さが厳しい期間は鶏舎の中で飼育するようになります。鶏舎の中での飼育は雄鳥同士の喧嘩がおこり、ストレスもたまり健康状態も低下します。
鳥の世界でもイジメ問題が起こるそうです。弱い鳥などはその対象になり、羽根をむしられたり怪我をさせられたりします。傷ついた鳥とかイジメられている鳥は、体調を回復させるために隔離して飼育されています。
飼育データの管理
何時、何羽入荷したかのデータを記録する必要があります。羽毛の採取をした日時等の細かな記録を取らなければなりません。
どのような飼料をどの程度与えたとか、病気であれば薬剤の投与を何時どれくらいしたかなどの記録を取らなければいけません。
データの記録は徹底されており、トレーサビリティに必要な情報は事細かく記録管理されています。
西川(株)の羽毛ふとんには、Animex社とかFBZ社から直輸入された羽毛がしようされているものがあり、羽毛布団の縁に羽毛のトレーサビリティが可能なJ-TASラベル付いている製品もあります。このラベルがあるものはマザーグース農場も特定可能と思います。
マザーグース農場の現状
マザーグース農場の運営は近年厳しさを増しています。その主要な原因は野生の鳥から感染する鳥インフルエンザのウィルスによる壊滅的な打撃です。
そのためにインフルエンザが流行すると野生の鳥との接触を防ぐため、鶏舎の中で飼育するようになります。本来の屋外での飼育と違い羽毛の品質も低下するとのことです。鳥インフルエンザは農場主の1番の心配事です。
鳥インフルエンザに感染すると農場のマザーグースは殺処分となり全滅してしまいます。
食肉用グースの飼育期間は16-18週間ですが、マザーグースの飼育期間は年単位と長いため鳥インフルエンザが発生すると、それまで飼育した飼料代すら回収できなくなり農場の閉鎖を余儀なくされてしまいます。
こうなると食肉用グースも減少する結果となります。結果的にグースダウンの減少につながり高騰する結果になります。
2013年と2016年のインフルエンザの流行によりマザーグース農場の閉鎖も有りダウン羽毛の高騰しました。それ以降一時的な値下がりはありましたが、年々グースダウンは値上がりをしています。
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