激安羽毛布団のコスパ限界品質
羽毛布団を購入する際にコスパに優れて出来れば安いお買い得品はないか探されるのは当然のことです。ではどれくらいのお値段ならコスパ的な羽毛布団と言えるのでしょうか。
激安羽毛布団はネット通販では日常的に販売されています。結論から申しますとダウン品質と原価を知る寝具店からすれば冬用の寝具としてはコスパといえる品質には限界点があります。本記事では、激安羽毛布団の品質基準や選ぶ際の注意点についてプロの寝具店の視点から解説します。
価格にこだわらない場合は、こちらの羽毛布団の選び方のページをご覧下さい。
激安羽毛布団の品質
2023年12月に激安羽毛布団の状況調査のため、ショッピングモールにて「西川・シングル・羽毛布団・ダックダウン・安い順」に絞り込み検索してみました。検索結果のスクリーンショットが下の画像です(商品等の画像は伏せています)。
上記の検索した結果、以下の特徴が見られました。
- ダウン率:85%
- 羽毛充填量:1.0kg–1.2kg
- ダウンパワー:340–350dp(一部未表示)
- 立体1層キルト
- 価格:確かに安価
西川基準では、ダックダウンのダウンパワーは340dp以上であり、羽毛ふとんと表示する際の羽毛充填量はシングルの場合1.0kg以上とされています。
そのため今回は激安羽毛布団の下限品質を、ダックダウン・ダウン率85%・羽毛充填量を1.0kg・ダウンパワーは検索結果において高い値であり日羽協のエクセルゴールドラベルの基準の350dpとして、コスパについて解説を致します。
ダック85%350dp1.0kg羽毛品質とは
まずはじめに羽毛の知識として、ダックダウンはグースダウンと比べて保温力の割にダウンパワーが出やすいと言うことをご理解ください。また羽毛の保温力はダウンボールの働きが主でありフェザーではないためダウン率が高い羽毛ほど保温力に優れていることも合わせてご理解ください。
それでは、ダックダウン85%、ダウンパワー350dp、充填量1.0kgの羽毛布団について具体的にコスパが良いか検証してみます。
シングルサイズの羽毛布団で羽毛充填量1.0kgで仕上げるなら、一般的な寝室環境で羽毛品質はグースで95%440dp以上の品質は必要とされています。多くのメーカーの定番品はこの仕様になっています。
ズバリ申し上げると、ダックダウンでダウン率85%ダウンパワー350dp充填量1.0kgの羽毛布団は、室温が15℃以下になると保温力の問題でおすすめできない品質です。
激安羽毛布団の効果を検証
コスパは費用対効果cost performanceのことであり羽毛布団の効果performanceにも焦点を当てる必要があります。
残念ながらダックダウン85%350dp、充填量1.0kgの羽毛布団の保温力・温度調節機能と言った効果は寝具専門店としておすすめ出来るレベルではありません。
有名メーカーにおいて通常93%440dp以上のマザーグースダウンをシングルサイズに1.2kg充填している理由は保温力の確保が必要だからです。
85%350dp1.0kgと93%440dp1200gの羽毛体積の差は布団の中に入れた状態で178000ml(178リットル)あります。85%350dp1.0kg充填した激安羽毛布団は羽毛178リットル分の保温力が不足していることになります。
羽毛178リットル分の保温力と言っても実感がわかないでしょうが、350dpのダウンを約500g(計算式は178000÷350=509)充填した合い掛け羽毛布団1枚分に相当する保温力です。
この量の羽毛の保温量が有る無しでは大きな違いがあります。更にダックとグースのダウンは構造の違いにより同じ品質指標でもグースが保温性能に優れています。
ダックダウンの原価はザックリ言うならグースダウンの約半分弱です。それだけ保温力に違いがあることを市場価格が示しています。
シングルの羽毛布団の商品説明において、マザーグース93%440dp1.2kgの仕様の羽毛布団とダック85%350dp1.0kgの仕様の羽毛布団が同じく「暖かい」との説明は整合性がとれません。合い掛け羽毛布団1枚分の保温力違いがあるのです。
ダックダウン85%350dpであれば、保温力を確保するためにシングルサイズの場合の充填量は少なくとも1.5kgは必要と考えます。羽毛充填量が少ない場合は十分な保温力が無く十分なパフォーマンスは発揮できません。冬本番の寒さの中で掛け布団として十分な保温力がないと言うことになります。ただし1.5kgにすると重くなるのと張りが強くなり体にフィットしなくなり保温性が悪くなります。
寝具の老舗メーカー西川(株)においては「羽毛ふとん」の羽毛の充填量はシングルでは1.0kg以上であり、1.0kg未満は「羽毛合い掛けふとん」等と名前をかえています。羽毛充填量と保温力の関係は密接な関係があります。
85%350dpのダックダウン1.0kg充填の激安羽毛布団は真冬には保温力不足でありperformanceは悪いと言わざるを得ません。本格的な冬には、寝室の温度にもよりますが羽毛布団の上に上述の合い掛け羽毛布団を掛ける必要があります。
羽毛品質が低く充填量が少なく保温力の低い羽毛布団には「冬本番には重ね着がおすすめ」との説明がある方が親切だと思います。
通販サイトでは85%350dp1.0kgの羽毛布団でもボリュームがある写真が掲載されていることもあります。ボリュームを出すために側生地に軽量のポリエステル100%を使用していれば、蒸れ感と静電気が起こり寝心地がよくありません。
激安羽毛布団のコスパ限界品質
文字どおり激安羽毛布団は価格は安いのですがコスパを検証すると下記の様な問題があります。
激安羽毛布団はなぜ安いのか?製造コスト削減のため低品質ダックダウンを使用してダウン量を少なくしていないか(保温力の問題)?見かけをよくするためボリュームアップの方法としては、側生地をポリエステルを使用していないか(ムレ感とか静電気の発生)?ダウンのパワーアップ加工(すぐへたる)をしていないか?低ダウン率の羽毛によくある臭いの問題はないか?西川ブランドの条件を外すと更に安くなり再生ダウンの利用とか偽装が気になります。
30余年羽毛布団に携わってきた筆者の私見ですが、残念ながら85%350dpダックダウン1.0kg充填の激安羽毛布団の冬用寝具としてのコスパは悪い!!羽毛特有の臭いの問題がなければ合い掛け羽毛布団としてなら使用可能か?羽毛の品質はダウン率90%を切ると臭いの問題も多く発生するなど格段に悪くなります。
ただ羽毛布団の購入にあたりご予算の制限がある場合もあります。そこで激安羽毛布団のコスパを追求する下限条件をご案内いたします。言い換えるなら寒さが厳しければケットを重ねて頂く必要があるかもしれませんが、冬本番でも何とか羽毛布団としてご使用頂ける品質条件です。
激安羽毛布団のコスパ的な限界品質
- 羽毛の品質はロイヤルゴールドラベル品質である90%400dp以上
- ダックダウンでシングルなら1.4kg以上の充填量
- 立体2層キルト(充填量を1.5kgにしない代わりに保温力を確保するため)
- 臭いの問題から羽毛の産地は、ハンガリー、ポーランド、フランス、イギリス等の欧州産
- 信頼できるメーカー製の羽毛布団であること
2025年において、上記の条件の羽毛布団と「85%350dpダックダウン1.0kg充填の激安羽毛布団」との価格差は僅かです。
出来ればダックダウンよりグースダウンがおすすめですが、今回は「激安羽毛布団のコスパ」と言う冠が付いているのでダックダウンになりました。お値段を具体的に示したいのですが、ダウン価格と為替相場の変動が激しく掲載することは出来ません。上記の下限品質以上の羽毛布団の中からコスパに優れたものをお選びください。
コスパに優れたグース羽毛布団の紹介
寝具専門店からおすすめはやはりグース羽毛布団です。下記の商品もご覧下さい。また、関連サイトの「コスパ最強の羽毛布団の選び方」のページもあわせてご覧下さい。
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