リフォームで羽毛布団のサイズ変更

羽毛布団のサイズ変更をしたいとのご要望があります。サイズアップもあればサイズダウンもあります。あるいは暑がりの方から、布団の厚さを薄く出来ないかとのご要望もあります。

打ち直しに適した状態の羽毛ふとんであればサイズ変更は技術的な問題はありません。中身の羽毛を取り出し羽毛を打ち直してサイズの異なる側生地に羽毛を吹き込み縫合すれば完了します。

例えば、ダブルからシングルにサイズ変更の場合は、シングルをシングルに打ち直すより安く出来ます。シングルSLをシングルロングロングSLLにサイズアップの場合なども問題なくできます。

しかし打ち直してサイズ変更する場合において、費用対効果を考えるとおすすめ出来るパターンと出来ないものがあります。

羽毛布団のリフォームでサイズ変更する場合の具体的事例と費用対効果について、リフォーム作業経験者である筆者が解説します。

リフォームで羽毛布団のサイズ変更

目次

  1. 打ち直してサイズ変更のパターン
  2. サイズダウン・ダブルからシングル等
  3. サイズアップ・シングルをロング等
  4. 羽毛布団の厚さの変更

打ち直してサイズ変更のパターン

布団が短くなったとか寝返りを打つと背中が寒いとか、ダブルサイズの布団で二人で寝ていたがシングルで別々に寝たいなど、サイズ変更のパターンは色々あります。

リフォームでの羽毛ふとんのサイズ変更は、打ち直しをする際に足し羽毛が必要な場合と必要でない二種類に分かれます。

サイズダウンする際は足し羽毛が必要でない場合が多いのですが、サイズアップする際は足し羽毛の量が多く必要な場合が多くコスパ的に迷われると思います。

リフォームによる羽毛布団のサイズ変更を、サイズをダウンとアップするパターンに分けて具体的事例と費用対効果を説明します。

サイズダウン・ダブルからシングル等

羽毛布団をサイズダウンする場合は、打ち直しにおいて通常は足し羽毛を必要としません。そのためご自分の羽毛布団が打ち直しに適していればコスパに優れています。

足し羽毛が不要なサイズ変更

通常のダブルサイズの羽毛布団には1.6kg(1.7kgの場合も有る)の羽毛が充填されています。打ち直しにより除塵・洗浄・乾燥しても通常は1.3kg程度は残ります。

そのため、羽毛布団をリフォームする際にダブルサイズからシングルにサイズ変更する場合は、打ち直しの際に足し羽毛が必要なく料金も安くてすみます。

リフォームで羽毛布団をダブルからシングルにサイズ変更は十分メリットはあります。使用期間が長い羽毛布団のリフォームの場合は、羽毛の洗浄は袋に入れずにダイレクトに洗浄する日羽協のプレミアムダウンウォッシュをおすすめします。

足し羽毛を必要とするサイズ変更

セミダブルをシングルにサイズ変更する場合は、シングルからシングルにリフォームする場合とコスト的には変わりません。新品時の羽毛量もあまり差はないため足し羽毛の量も少なくてすみます。打ち直しに適した状態であれば十分メリットはあります。

問題は、ダブルをシングル2枚にサイズ変更するリフォームの場合のように大量に足し羽毛が必要な場合です。二人用のダブルはシングルの2倍の大きさがあるイメージですが、長さは同じで幅がシングル150cmに対してダブルは190cmであり40cmの違いしかありません。

新品時の標準的な羽毛充填量はダブルが1.6kgでシングル1.2kgです。シングル2枚では2.4kgでありダブル1.6kgとの新品時の差は800gあり少なくとも800g以上は足し羽毛が必要なわけです。

筆者のリフォーム作業の経験では、ダブルからダブルにリフォームする場合の足し羽毛の量は400g程度必要です。

この足し羽毛400gの内訳は、新品時にダブルの羽毛布団に充填されていた1.6kgのうちの300gの羽毛がゴミ化していて100gがボリュームアップ分とご理解ください。再利用可能な羽毛量は1.3kgです。

打ち直し後のシングルの羽毛布団の羽毛充填量は通常1.3kg程度です。シングル2枚分だと2.6kg必要なので再利用可能な羽毛量の1.3kgとの差1.3kgの足し羽毛が必要になります。1.3kgの羽毛量はシングル1枚分に相当します。

ダブルをシングル2枚にサイズ変更するリフォームはコスパを検討されてはいかがでしょうか。

店主のおすすめは、ダブルをシングル1枚にリフォームして新品のシングルを1枚購入するパターンです。

上記の事例は標準的な充填量をベースにしましたが、ダブルで充填量が1.8kgから2.0kg程度の場合もあります。

この場合は計算上は足し羽毛が少なくなりますが、充填量が1.8kgから2.0kg必要なことは羽毛品質がよくないと判断すべきです。費用対効果の点でリフォームをおすすめ出来ません。羽毛布団のリフォームに失敗する可能性は高いと言えます。

サイズアップ・シングルをロング等

大きいサイズの羽毛布団にリフォームする際は、同じサイズにリフォームするよりも打ち直しの際に足し羽毛量が多く必要です。足し羽毛が多く必要なパターンと少量の事例を紹介します。

足し羽毛が多く必要なサイズアップ

シングルをダブルにサイズアップする事例を紹介します。

標準的な新品の両サイズの羽毛量はシングルが1.2kgでありダブルは1.6kgなので差は400gあります。少なくとも足し羽毛は400g必要となります。

使用期間が長い場合は、羽毛のダメージもあると想定すると、サイズの差分の400gにさらに300gから400gの足し羽毛が必要になり、合計700gから800gの足し羽毛が必要です。新品を購入された方がコスパ的に優れている場合もあります。

リフォームする元のシングルの羽毛布団が新しく羽毛のダメージが少ない場合は足し羽毛量も少なくコスパ的に許容範囲です。

元のシングルの羽毛布団の羽毛のダメージが大きい場合は、打ち直し時に足し羽毛量が多く必要になり、新品価格との差が出ないため耐久性の観点からデメリットが大きいと思います。

シングルの羽毛ふとんの充填量が1.4kg~1.5kgある場合は計算上は足し羽毛が少なくなります。しかし、充填量が標準より200gから300g多いことは羽毛品質がよくないことを意味します。この場合は寝具店などにご相談ください。

シングルをダブルにサイズアップする場合は、冬用の羽毛ふとんではなく羽毛量が少ない羽毛合い掛け布団にリフォームされてはいかがでしょうか。

足し羽毛が少量のサイズアップ

ワンサイズ大きい布団にサイズ変更する場合を説明します。たとえばシングルロングをシングルロングロングとかセミダブルにする場合は、新品時の差は100g程度であり打ち直しにおける足し羽毛量も同サイズにリフォーム場合に100g程度追加するだけです。

もちろんサイズ変更をするので側生地もサイズアップしたものを用意する必要がありまが、リフォーム時に布団のサイズ変更はコスパ的におすすめ出来ます。価格も新品を購入するより安くすむので十分にメリットはあります。

どちらの場合もご自分の羽毛布団が打ち直しに適しているかの判断する必要性はあります。

リフォームの際に羽毛布団のサイズ変更を検討する場合は、サイズダウンは基本的に問題はなくメリットがありますが、サイズアップとか足し羽毛が大量に必要な場合はコスパを考慮してください。

リフォームでの羽毛布団のサイズ変更は、足し羽毛の量でコスパを判断ください。足し羽毛の量は、サイズ変更前後の新品時の標準的な羽毛充填量を参考にしてください。

下の表は新品羽毛ふとんの標準的な羽毛充填量です。羽毛のダウンパワーとかメーカーの規格により各数値より100g程度多い場合もあります。

サイズ別標準的な羽毛充填量(+100gまで)
SL SDL・SLL DL QL
1.2kg 1.3kg 1.6kg 1.8kg

SL:シングル、SDL:セミダブル、SLL:シングルロングロング、DL:ダブル、QL:クイーン

打ち直した羽毛を充填する場合は、新品時の充填量より100g程度多く充填する傾向があります。

ダブルをシングルに変更コース

サイズダウンなので足し羽毛無しにて国産の超長綿60単糸と80単糸の2種類のコースを用意しました。各コースには3種類のキルト方式あり三択です。

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羽毛布団の厚さの変更

暖かさをアップするために布団の厚みを増す方法は、足し羽毛を少し多くする方法と2層キルトとかハイマチキルトにすればよいと思います。メリットはリフォーム前の羽毛布団品質に準じたものになりますが基本的に暖かくなります。

暑がりの方は、保温力を下げるために布団の厚みを薄くする方法は、2層であれば1層にするとか羽毛充填量を少なくするとか追加ダウン品質下げる方法があります。メリットとデメリットは羽毛量が少ない合い掛け羽毛布団とかダウン品質が低い新品の羽毛布団の価格と比較する必要があります。

筆者:野口 英輝

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