ダウンケット夏用羽毛布団の種類と選び方
ダウンケットとは、夏用の薄手の羽毛肌掛け布団のことです。冬用の羽毛布団よりダウンの充填量を少なくして保温力を下げた掛け布団です。基本的には冬用の羽毛布団の選び方と同じです。
秋春の合い掛け羽毛布団の前後におすすめの軽量の薄手の羽毛掛けふとんで、羽毛肌掛け布団とかダウンケットと呼ばれています。
掛け布団の循環サイクルでのポジションとしては、冬用羽毛布団~羽毛合い掛け布団~ダウンケット(夏用羽毛肌掛け布団)~タオルケット・麻肌布団など~ダウンケット~羽毛合い掛け布団~冬用羽毛布団のサイクルにおいて、1年に2回使う期間があります。
エアコンの寒さ対策として、タオルケット・麻肌布団などの代わりにダウンケットを使う方もいます。
なぜ夏向きに【羽毛の布団】が必要なのか?夏用羽毛布団はどのような品質がおすすめなのか?目的別に選び方のポイントを30余年羽毛ふとんを扱ってきた経験知をベースに解説します。
結論をはじめに申しますと、夏用羽毛布団は温度調節機能を重視したタイプとエアコンの冷え対策の2種類のタイプに分かれます。
温度調節機能を重視するタイプは、ポーランド・ハンガリー産等のダウン率90%か93%のグースダウンを300g~400g充填した超長綿生地の夏用羽毛肌布団がおすすめです。
エアコンの冷え対策用のタイプは、飼育期間の長いハンガリーとかフランス産等のダウン率85%から90%のダックダウンを300g程度充填した夏用羽毛布団がおすすめです。
おすすめ条件は両者とも【日本製】と【綿生地】であることです。詳しくは下段にて解説します。
目次
ダウンケットの使用目的と品質条件
ダウンケット羽毛肌布団が必要な理由は、【梅雨・秋雨の前後の寒さ対策】と【盛夏のエアコンの寒さ対策】であり寝冷えから身を守るためです。
梅雨秋雨の前後とは、具体的には5月後半から7月前半の【梅雨】と9月中旬から10月中旬【秋雨】の2シーズンを指します。この時期は1日単位、週単位での気温の変化が大きく、1日の寒暖差が大きく暑かったり寒かったり最低室温が20℃以下の日があります。
そのためこの時期の肌掛け布団は、ある程度の保温力と温度調節機能に優れているものが望まれます。
冷房の冷え対策の場合は、室温を好みの温度に設定できればよいのですが、家族と一緒に寝ている場合は、寒がりの方にはやはり肌掛け布団が必要になります。
梅雨秋雨とエアコンを使う盛夏では最低室温に差があります。そのためダウンケットも最低室温に対応した2種類が必要になります。また、夏用羽毛肌掛け布団を使う季節は、温度変化が激しく湿度も高い日があり湿気対策も合わせて考慮する必要があります。
温度調節重視のダウンケットの品質
梅雨・秋雨の頃は寒暖差が激しく最低気温が20℃をきる場合も有ります。この季節の羽毛掛け布団は、【保温力】だけでなく室温の変化に対応して寝床内の温度を快適に保つ【温度調節機能】に優れている必要があります。
室温の温度帯域としては22℃から25℃ですが、最低温度は20℃以下の日も想定しつつ最高温度はエアコンの冷房を必要としない27℃ぐらいまでの温度帯域です。温度調節機能重視のダウケットは、少なくとも6℃から7℃以上の温度変化に対応できるダウンの品質と量が必要となります。
おすすめの使用温度帯を室温22℃(想定最低温度20℃)から25℃(想定最高温度27℃)とた理由は、合い掛け羽毛布団の快適温度を調べた体感実験とダウンケットより保温力がわずかに低い真綿布団の快適温度帯を調べた体感実験に基づいています。
冷房対策のダウンケットの品質
冷房が必要な室温となると最低温度は25℃以上はあります。エアコンの設定は27℃から28℃が標準的な温度ではないでしょうか。
そのためエアコンの冷え対策のダウンケットは、保温力はパワフルでなくてもよく3℃程度の温度変化に対応できる品質で十分です。保温よりエアコンの風よけ目的と考えてください。
ダウンケットの選び方
文頭にて案内の通り、ダウンケットは室温の温度変化域が広い季節のものとエアコンの冷え対策用のタイプの2通りあります。
2つのタイプの主な違いはダウンの種類と側生地素材とキルトの違いです。冬用の羽毛布団の選び方においてはダウン品質とキルト方式について説明していますが、ダウンケットの選び方は、ダウン品質とかキルト方式だけでなく側生地素材の吸湿性と熱伝導率、さらに生地の通気度も注意深くチェックする必要があります。
蒸れ感と生地素材の特徴
この表は側生地素材の吸湿性と熱伝導率の違いを数値で表しています。
吸湿性が高いと蒸れ感が軽減され保温力もアップして、逆に低いと蒸れ感が増します。綿の吸湿性が7に対してポリエステルは0.5以下と低いのが解ります。
熱伝導率とは熱が伝わる速さの事で生地越しに熱をダウンに伝える速さの事です。熱伝導率が高いほど素早く温度調整ができます。綿とポリエステルの熱伝導率を比較すると綿が2.5倍以上優れています。
生地素材の通気度は上の表にはありませんが、ダウンケットに使われる綿素材の通気度は2cc/秒以下、ポリエステルでは1cc/秒以下です。通気度が低ければ蒸れ感は増します。
蒸れが気になる季節なので、ダウンケットの側生地素材は綿がおすすめです。ただし綿の生地にも織り方とか糸の太さなどの違いがあります。
温度調節重視のダウンケットの選び方
温度調節機能重視の夏用羽毛布団は、室温の温度変化が激しい季節に如何に快適な環境を作るか?温度変化に応じて熱をコントロールできるダウン性能が必要になります。この温度調節機能が夏にダウンケットを使うメリットとも言えます。
夏用羽毛肌布団のダウンは、夏向きなので保温力があり過ぎると暑くて眠れなくなるため保温力を程々に抑える必要があります。
この課題を解決するには、ダックではなくグースダウンを少量充填することで解決できます。
ただし、温度変化域が広いためダウンの品質はある程度上質が望ましく、ダウン率は少なくとも90%以上ダウンパワーは390dpもしくは400dp以上がおすすめ品質になります。お値段は高くなりますがマザーグースがよりおすすめです。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)のゴールドラベルで言うならプレミアムゴールドラベルとロイヤルゴールドラベル品質に相当します。
羽毛の充填量は、シングルサイズではロイヤルゴールドラベル品質なら400g、プレミアムゴールドラベル品質なら300g寒がりの方は400gがおすすめです。ダブルサイズはシングルサイズの1.4倍です。
側生地は吸湿性と熱伝導率の観点から、おすすめは蒸れ感が少なく素早く熱をダウンに伝える【綿】素材がおすすめです。高級なクラスをご希望なら糸番手の細い超長綿がおすすめです。
温度調節機能重視での夏用羽毛布団の選び方は、プレミアムとロイヤルゴールドラベル品質に相当の上質のグースダウンと蒸れ感が少なく素早く熱をダウンに伝える【綿】素材がポイントになります。
また、キルト構造はマチ布を使わないダイレクトキルトでも良いのですが、最低温度が20℃以下の場合もあることから立体キルトが保温力の点ではおすすめです。
またキルト方式においては、シングルでは20マスキルトが安いのですが25マスとか30マスキルトが体にフィットして保温性に優れます。
冷房対策でのダウンケットの選び方
冷え対策なので保温力もほどほどあればよく温度調節幅も狭くてよいダウンとなると、ダックダウンでダウン率85%以上ダウンパワー350dpの品質のダウンで十分です。
羽毛品質は高級なクラスでも良いのですが、汗ばむことを考慮すると中級クラスでも良いと思います。日羽協のゴールドラベルで言うならロイヤルゴールドラベルかエクセルゴールドラベル品質以上に相当します。ただし、後で説明する羽毛特有の臭い問題を回避するため、ダウン率は少なくとも85%以上をおすすめします。
羽毛充填量はダウン品質により異なります。シングルサイズでは、エクセルゴールドラベル品質もしくはダックダウンの場合は400g、ロイヤルゴールドラベル品質以上なら300gから400gがおすすめです。
ダックダウンは、グースダウンに比べるとダウンパワー値の割に保温力が低いため少し多く充填した製品をおすすめします。
このタイプはエアコンの冷え対策なので25℃未満の場合は寒く感じる人もいます。
写真の温度計は22.2℃ですが、西川製でダウン率85%の洗えるダックダウンを300g充填したダウンケットでは、少し保温力が必要かと感じたため筆者が撮影したものです。
汗ばむ季節なので汚れるため洗えるタイプの側生地も選択肢の1つです。側生地素材は蒸れ感と熱伝導率と通気度の事を考慮すると綿がおすすめです。
蒸れ感に焦点を当てると側生地は、ダウンの吹き出しを防止するダウンプルーフ加工がされていないノンダンプ生地も候補になり得ます。ただしノンダンプ生地を採用するには、ダウン同士が絡み合うスティッキーダウンを充填する事になり高価になります。
キルト方式はあまり保温力を必要としないため価格が安いダイレクトキルトがおすすめです。マス目の数は、ダイレクトキルトの場合は20マスキルトも30マスキルトも価格差は大きくないので25マスか30マスがおすすめです。
オールシーズン2枚合わせ羽毛布団
2枚合わせにすると冬用の羽毛布団になり、秋春には厚ての合い掛け布団を使い、夏には薄手の羽毛肌布団を使いオールシーズン対応できる便利な布団です。
しかし、夏に利用するため汚れは避けられないため、洗濯したりクリーニングに出すため夏用の羽毛肌布団の劣化は避けられず、冬用の2枚合わせで使用時の保温力が低下する結果になります。羽毛布団の寿命の観点からできれば夏用羽毛肌布団は単独で購入されてはいかがでしょうか。
ダウンケットを選ぶ際の注意点
ダウンケットを購入する際には、臭い、蒸れ、日本製、洗濯の可否等いくつか注意するポイントがあります。
臭いの問題
羽毛肌布団の口コミで多く問題になっているのが羽毛特有の臭いです。この羽毛特有の臭いは高温多湿になる夏に強くなるため以下のポイントに注意してください。
羽毛特有の臭いは未成熟ダウンが主な原因です。未成熟ダウンはダウン率の低い羽毛に多く含まれている傾向です。また、30余年羽毛ふとんを扱ってきた筆者の経験知から言うと、海外製のダウンケットにも臭いの問題が多いように感じます。
羽毛特有の臭いの問題を回避するには、低ダウン率のダックダウンとか海外製のダウンケットは口コミ情報など十分チェックしてください。
蒸れ感の問題
夏用の肌掛け羽毛布団においては、保温力・温度調節機能以外に蒸れ感の軽減が課題の一つです。蒸れ感は羽毛量とかキルト構造も関係しますが、側生地素材と大きく関係しています。
上質のダウンとして高評のマザーグースダウンを充填したダウンケットであっても、側生地がポリエステル系である場合は説明したようにムレ感が強かったり熱伝導率が低く温度調節機能が悪いのでおすすめできません。
綿素材の生地がおすすめですが、織り方とか糸の太さにより通気度とか熱が伝わる速さ、さらに重さとか柔らかさとか生地のペーパー音などに違いがあります。
織り方には、平織(バティスト)・綾織(ツイル)・朱子織(サテン)があり、多いのはサテン生地でペーパー音も小さい特徴があります。
糸の太さは番手で表され、単糸では40番手から100番手、双糸では200双糸から340双糸ぐらいまであります。糸番手の数値が大きいほど細くなり、織られた生地は軽くしなやかで通気度も良くなります。
純日本製かどうか
ダイレクトキルトのダウンケットは、ダウンを吹き込むのではなく袋状の布にダウンを入れた後からマス目状に縫製するため「日本製」=「国内製造」になります。
立体キルトの場合は、日本製と表示されていれば羽毛の充填工程は国内と考えられます。日羽協ゴールドラベルが付いていれば国内での充填と判断できます。全製造工程が国内の純日本製かどうかはわかりません。
海外製のダウンケットは臭いの問題が多い傾向です。
洗濯の可否
ダウンケットの洗濯は、メーカーが可能と表示しているものに限定して下さい。ただ洗った後の乾燥には時間が掛かることを了承下さい。また、乾燥機の使用に際しては生地の素材も乾燥機対応かどうかのチェックも必要です。
たとえ洗える羽毛でも洗濯すると羽毛と側生地の劣化は避けられず寿命も短くなることと、また元のように十分にはほぐれない羽毛もできることをご理解下さい。たとえ有名メーカーの西川製の羽毛布団でも同様です。
ダウンケットの使い方は、2種類に共通して言えることは汗ばむ日が多いためカバーを掛けてお使いいただき、カバー交換も短いサイクルで行っていただくことがポイントです。
ダウンケット羽毛肌掛け布団まとめ
夏用の羽毛布団は、温度調節機能重視の夏用の羽毛布団とエアコンの冷え対策用の2タイプに分かれます。
前者は基本的に冬用の羽毛布団を薄くした布団であり、ある程度のダウン品質と側生地品質が要求されます。冬用の羽毛布団との違いは、夏用なのでダウン量が少ないことです。
温度調節重視の夏用の羽毛布団は、梅雨・秋雨の前後の2シーズン利用することから中級から高級ランクのダウンをおすすめします。
後者は汗ばむ季節であることから、蒸れ感の軽減と汚れへの対応が必要でありダウンは高品質でなくてもかまいません。
クーラーの冷え対策用として羽毛布団にこだわるなら、日本製で臭いの問題が少ないダウン率が85%以上のダウンがおすすめです。
ただ、クーラーの冷え対策用としては、臭いとか蒸れ感の事を考慮すると羽毛布団にこだわる必要はなく通気性に優れた麻掛けふとんとか真綿布団なども選択肢のひとつになります。
夏用の羽毛肌布団を選ぶ際は、温度調節機能重視するタイプとエアコンの冷え対策用の2タイプに分けて、保温力と蒸れ感に着目して、羽毛品質、側生地素材、キルト、製造国などのポイントで選ぶ必要があります。
夏用のダウンケットはどうしても汗汚れが気になります。布団カバーの交換はまめに行って下さい。収納時のたたみ方は下記サイトを参考にして下さい。
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