羽毛布団の蒸れの原因

寝床内の蒸れの原因は湿度が高すぎる為です。では湿度はなぜ高くなるのでしょうか。

湿度は温度と深い関係があります。寝床内の温度が高くなると湿度も高くなります。寝床内の快適な温度は33℃前後で湿度は50%位と言われています。

寝床内の温度と湿度はパジャマ・敷き寝具・カバー等も関係しますが、今回は冬用の羽毛布団との関係に絞り解説いたします。

蒸れる原因は、寝室の温度に比べて羽毛布団の保温力が強すぎるのと温度調節機能が低いのが原因です。

保温力と温度調節機能は羽毛布団の仕様によりランクが幅広くあります。

蒸れない羽毛布団を選ぶ際の課題となるのが、12月1月2月の3ヶ月間の保温力とこの3ヶ月間の前後では必要とする保温力に差があることです。

羽毛布団の保温力と温度調節機能

羽毛布団が快適に使用出来る温度帯は、羽毛品質・充填量・キルト構造側生地素材により違いが出ます。

室温に応じた羽毛布団の保温力と温度調整機能でないと暑すぎたり寒かったりします。暑いと蒸れ感が発生します。ただし同じ羽毛布団でも個人の体質により暑く感じる場合もあります。

羽毛品質はダウンの水鳥の種類とダウンパワーを調べることで判断できます。

ダウンパーと保温力の関係をイメージ化した画像

充填量はダウンパワーと室温に応じて適量があります。充填量が多い場合は保温力は増しますが温度調整機能は低下します。

キルト構造も2層・3層キルトは1層キルトに比べ保温力は強いですが温度調整機能はやや劣ります。

布団内部の熱と蒸れの関係

布団内部の熱は、布団外部からの輻射熱を無視すると体温と凝縮熱の二つです。

保温力が強く温度調節機能が低い場合は、体温の熱が寝床内にこもり暑くなり汗をかき湿度が高くなります。

凝縮熱とは水蒸気が同温の水に変わる際に出る熱のことでこの水は蒸れ感の原因にもなります。ただ、この熱は布団においては避けようがありません。

布団内部の温度調節を素早くすることで、熱がこもりにくくなり汗をかくことがなくなり蒸れなくなります。そのためには室温に応じた羽毛布団の保温力と温度調節がスムースに行える羽毛品質と充填量の布団を選ぶ必要があります。

側生地の放湿性と蒸れ感の関係

蒸れ感の原因である湿気を放湿することでも蒸れ感は軽減できます。

湿気を素早く取るには通気性の良い側生地が必要です。ただ一般的な羽毛布団の場合はダウンプルーフ加工がされているためどうしても通気性は低くなります。この課題を解決したのがゴアラミネート加工の側生地です。ただしゴアラミネート加工の側生地はクリーニング出来ない欠点があります。

一般的な側生地で放湿性に優れているものは、綿の細番手の糸で織られた側生地です。さらに織り方もサテン織りよりツイル織りもしくは平織りの生地が通気性に優れています。

ポリエステル繊維とか綿との合繊の側生地は放湿性が悪いので蒸れ感が出やすい傾向があります。

キルト構造と蒸れ感の関係

羽毛布団の温度調節は、布団内部の熱の対流をダウンの羽枝の開閉することで蓄熱したり放熱することで行われています。2層とか3層構造の場合は、層を仕切る布が布団内部の熱の対流を遮断するため熱がたまりやすく温度調節機能はやや劣ります。

ダウンの温度調節機能を活かすキルトは1層立体キルトがおすすめです。

蒸れない羽毛布団の選び方

寝床内が蒸れないためには室温に応じた保温力の羽毛布団が理想なのですが室温は1年を通じて一定ではありません。文頭で申し上げた課題をクリアする必要があります。

羽毛布団の保温力等のランクの見分け方をこちらの羽毛布団の選び方のページにて習得下さい。

蒸れにくい羽毛布団の条件は室温に応じた保温力であることです。ただこの保温力は秋春と真冬では異なります。そこで真冬の保温力を確保して素早い温度調節ができる羽毛布団の条件をご案内します。

室温が15℃以上ある場合には冬用羽毛布団ではなく、温度調節機能に優れた羽毛を使用して羽毛充填量を少なくした1層キルトの羽毛合い掛け布団などが快適に使用出来ます。

室温が15度未満になる場合(多くはこのケース)、羽毛は400dpならシングルで充填量は1.2kg、側生地は80番手以上の超長綿の側生地、1層立体キルト、寒がりの方はハイマチ立体キルトがおすすめです。

羽毛をマザーグース440dp以上にするなら充填量は1.1kg前後、寒がりの方は1.2kg暑がりの方は1.0kgがおすすめです。マザーグース羽毛布団の場合は側生地も通気性に優れた100単糸とか200双糸あるいは300双糸以上がおすすめです。

上記の条件の羽毛布団でも10月から11月とか3月後半から5月までは蒸れ感が出るかもしれません。その場合は羽毛合い掛け布団を活用をおすすめします。また冬・秋春・夏用と羽毛布団の種類を使い分けて快適にお休みください。

筆者:野口 英輝

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